<< September 2016 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
     2016.09.15 Thursday
スーツ姿になった自分を久々に見た。

インストラクターの制服も一応ネクタイはするし、ちゃんとシャツにアイロンをかけ、靴は磨く。ただ、その上に着るものが問題だ。

北海道と同じくらいの緯度(南緯だけど)にある場所で、エアコンなしの飛行機のコクピットで働くには、シャツ姿ではきつい。ジャケットを着ることになるのだが、学校が支給する機能性を重視したという触れ込みの割には防寒性能が乏しいブルゾンに、一時帰国した時にAOKIのセールで買った黒いズボン(紺色だけどかなり私のは黒に近い)、黒と灰色のネックウォーマーに黒い毛の半指手袋(通勤からスマホの操作、プリフライトから寒いコクピットも一役でこなす万能手袋。拾った。)、東京靴流通センターで買った5000円くらいの防水ビジネスシューズ(冬の草地でのプリフライトは、朝露でビチャビチャになって、ン万もする革靴はすぐにダメになってしまう)と、携帯電話とノイズキャセリングヘッドセットのスペアバッテリーを入れるデジカメ用のホルスターを身につけ、空港の制限区域を歩くのに必要なハイビズベストをつけるととてもパイロットには見えない。そもそも学校の連中からしてパイロットというより「野郎ども」という呼称の方がしっくりくる気がするから仕方がない。

なんの話だったっけ。

面接でスーツを着た話だった。

空港から面接が行われる会場へは、タクシーを使った。バスでも行けたが、坂道が入り組んでいる上にあるビルで、迷ったり、遅れたりはもちろん、試験前に余計な頭を使いたくなかった。一階がカフェになっている。ガラスのエントランスドアに写る自分の姿を見て、不思議な気分になったのだった。最初のメールをもらってからおよそ二ヶ月弱。最初は詐欺かと思っていたが、本当に来てしまった。一次面接はHRの担当者との面接、テクニカルな知識の筆記テスト、パーソナリティテスト、そしてAbsolute reasoningと呼ばれる知能テストだ。

インターネットにはいろいろとこのエアラインに関する情報が落ちている。有料で過去問を売っているようなウェブサイトがあって、なんでもビジネスになるんですね、と思いながらすぐにクリックして購入した。数十ドルの出費で未来が左右されるなら迷わず買いだ。できることはなんでもせねば。

数日前には師匠の家に泊めてもらい、いろいろとアドバイスを求めた。のちに、このことが試験の行方を左右することになるのだが。。。

続く



     2016.08.30 Tuesday
パイロットの仕事に応募するときは、だいたい会社のWeb サイトで募集を知り、CVをEmailで送るか、実際に出向くかすることもあるが、大きなエアラインでは専用のリクルートページを持っていて、そこに色々な詳細情報を入れて、声がかかるのをじっと待つ、というところもある。今回の会社もそういうところで、その昔宝くじを買う勢いで詳細を入れてあった。もう忘れかけていたが、突然そこからこんな風にメールが来るとは。もしかしたら、志望動機を英語のチューターと練りながら時間をかけて書いたのが良かったのかも。

まぁでも世界中のパイロットに採用をかけているのだろうから、実際に呼ばれるのはかなり先になるんだろうな、とほとんど全く期待をしなかった。いや、期待をしないように気をつけていた。ウカレポンチにならないように。。。

と思ったら、5日後に別の人から返事が来た。面接に招待するからさらにいくつか情報を送ってくれ、とある。まじか、まじなのか、詐欺じゃないのか、と思いながらもやはりすぐに返事をする。参考として添付されているパイロットのベネフィットを見ると、今インストラクターとして働いているのがアホらしくなってしまうほどの待遇だ。(まぁ最低賃金で働いているのでどのような条件でもキラキラして見えるのだろうが)なんだこれは。本当に詐欺じゃないのか。

その日のうちに、面接日の飛行機を予約した。
     2016.08.24 Wednesday
その変なEmailが届いたのは、2015年の11月のことだった。

「あなたの飛行経験が本国の切り替え要件に達しているかを見るために、以下のフォームに記入の上ご返信願います。」

なんだこれ。妙な迷惑メールだな。なんで俺がパイロットだって知っているんだろうか。だまそうったってそうはいかねぇぞとうすら笑いを浮かべてメールを最後までスクロールすると、ある有名エアラインのロゴがある。いやー、よくできた迷惑メールだな、ほらこれ見てよと妻に見せに行く。

「これってエアラインからの面接招待なんじゃないの?」

。。。いやーまさかそんな節操な話があるかね。IF timeもないというのに。いやー、まさかね。まさかまさか。と言いながら食い入るように文面を読む。添付の書類にフライトタイムの詳細を記入して送れとある。気がつくと、何回も見直ししたアプリケーションを丁寧な英語書いたEmailに添付して送っていた。

「こんなのみーんなに送っているよね。宝くじみたいなもんだからね。」

不自然な笑いを浮かべてぬか喜びを警戒した。

     2016.07.15 Friday
先日、上級インストラクター資格のB-category instructor ratingの試験を終え、無事に合格した。



C-catも大変だったが、B-catも大変だった。Cはフィジカルに、Bはメンタル的にタフだった。というのも、実は一度試験を受けて落としてしまい、後がない中での受験だったのだ。今回はそのへんのことを書こうと思う。


数ヶ月前。一度目の試験を受けた。B-cat要件の倍以上のフライトタイムとなり、自分より経験の少ないKiwiもサクサク受かっていた。みんな「C-Catの焼き直しに毛が生えたくらいだよ」と言っていて、まさか落ちるとは思っていなかった。

で、落ちた。orz

改めて感じたのは、試験というのはナマモノだってこと。一発勝負。やれ、と言われてできなかったら、さくっと落ちる。仕事で学生に偉そうなことばかり言って、肝心の教官が試験に通らなかったら世話ない。「簡単な試験」なんてものはないのだ。ぶっこいていると、足元をすくわれる。

2度目の試験、これを落としたらそこでキャリアは終わりだ。前日の緊張度はものすごかった。でもそれは意図してやったところもある。緊張のピークを前日に持ってこようとしたのだ。落ち込むネタには事欠かなかった。前日のCFIとのトレーニングフライトでも「学生みたいなミスしやがって」「今までお前がやってきたトレーニングが間違っていたんじゃないのか」「数字に頼りすぎて、感覚をおろそかにしてきたツケが回ってきたな」「同じレベルの連中はもっとうまいぞ」などと、カッターナイフで心臓の壁を外側からスライスしていくような言葉の数々を軽いリズムでいただいていたからだ。orz

今回本当に厄介だったのが、学生に対してはできることが、トレーニングで見せられなかったこと。自分より経験のある人を隣に乗せると、無意識にお伺いをたてる心持ちになるようで、判断が鈍る。自分のやりたいようにやればいいだけなのに、なぜか急いだり、焦ったりしてどんどん自分を追い込んでいってしまうのだ。畳の縁を歩くのと、同じ幅の板の上をを50階建てのビルの間で歩こうとするのは、内容としては同じだが、成功率には大きな差が出るだろう。

1度目を落としたのも同じ感じだった。少しずらした時に隣のじいさんが吠えて、たったそれだけのことでペースを持ってかれた。PICを渡してはいけないと理屈で理解していても、体がハマるのだ。緊張し、体が固くなり、飛行機の上下動を体性感覚(Seat of Pants)でキャッチできなくなる。頭のフォーカスがコクピットの中に移っていく。外のモニタリングを無意識のうちにおろそかにしてしまい、風の強い日に取り返しのつかないところに流されたりする。無意識に、というのが曲者だ。隣が騒ぎ出し、思考が阻害され、フライトが破綻する。まいったな、これは根が深いぞと。

解決策は、気にしないことと、人に相談すること。

いろいろ気にしないことにした。とは言っても、皆がさくさくと受かる「簡単な」試験に合格できないってことは、何かが根本的に足りないんじゃないだろうかとか、自分にはもうこれ以上は無理なんじゃないか、せいぜいC-cat止まりってことかなど、そういう自己否定の思考はどうしても生まれてしまう。そういうふうに考えるな、といわれても、ふとした時にまるでアドベクションフォグのように流れ込んでくる。止められないので、それすら放っておくことにした。人と比べてもしょうがないし、これは自分との戦いなので、そうやって浮かんでは消える思考を日々傍観していた。気にしても仕方ない。落ち込む、ということもひっくるめて了承することにしたのだ。

で、ここまではまぁいつもと同じと言えば同じ。自分の心をコントロールしようとあの手この手をつくすのだが、ここからが今までの私とは違う。いろいろな人に、弱音を吐いて回った。意図的に。今までは、強がりとカラ元気と気合だけでやってきたのだが、今までのやり方でうまくいかないので、何か変えないといけないと思ったのだ。一見、情けないことのように思えるが、人に弱みを見せることの方が、勇気がいることだ。そして、その見返りも大きい。

人に話すと、みんな色々言ってくれる。「他人ごと」の意見だから「リラックスすれば大丈夫だよ」みたいな意見が多いが、その中にたまに、自分では気付けなかった視点が見つかることがあるのだ。プロシージャ中に、外ではなく、必要以上にコクピットの中に視点と意識が向き、それが外部のモニタリングをおろそかにし、自分の置かれている状況を客観的に把握できなくなっているということは、同僚のインストラクターとディスカッションをしている時に発見した。緊張のピークを前日に持って行くやり方は、エアラインパイロットの師匠が言っていた。自分の実力がないわけではなく「実力を出すための空間作り」に失敗しているのだと気付いたのは、師匠のフライトをオブザーブする機会を得たことで気がつくことができた。全て自分でやろうとして、隣のパイロットがお荷物になったフライトは、破綻する可能性が高い。毎晩飯を食いながら妻にも相談。親身になって聞いてくれた。かたじけない。

自分が無意識に、つまり認識の外でやっていることは、自分の頭だけで治すことはできない。誰かに鏡になってもらうことで、初めて発覚するのだ。本番中は、ひたすら外に意識を向け、試験官と目を合わせてコミュニケーションをとり、リラックスして飛行機を飛ばすことに意識を向けた。体の柔らかさや声の調子をモニターして、自分の実力が出ていることを確認しながら注意深くフライトを組み立てていった。仕事をしながら、退職するまで安定してチェックに受かり続けなければならないので、今回の経験は本当に役に立った。皆にはただの簡単なC-Catの焼き直しかもしれないが、私にとっては多くを学んだ大事な試験だった。

いやー。真面目なこと書いてるねー。さて、ビールはどこかなと。
     2016.07.08 Friday
久々にNoteを更新しました。



スポンサードリンク

ツイッター。
主にブログに書く元ネタのメモ帳として使っています。

プロフィール
飛行機訓練終了後、日本で1年間翻訳で稼ぎ、 今年1月にNZに再渡航しました。 インストラクター試験には合格しました。 3ヶ月無視され続けることに耐えてやっとインストラクターの端くれに。 とりあえず、両親に感謝。
メールフォーム設置しました。
飛行機の訓練や免許取得、NZでの生活など、私が何かお役に立てることであれば出来る限り誠実にお答えします。お気軽にどうぞ。右下をドラッグして入力エリアを拡大できます。また、送信ボタンを押して内容を確認後、送信できます。


本棚できました。

おすすめリンク先。
  • » ■うさこの日々。
  • » ■IAANZ(フライトスクール 日本語版)
  • » ■IAANZ(フライトスクール)
  • » ■海外でパイロットへの道 IN NEW ZEALAND
  • » ■無料留学エージェントのサザンクロス
  • » ■手数料を節約して便利に海外送金する方法
  • » ■NZ大好き.com
  • » ■点描-brog-
  • » ■BLOG クライストチャーチ最高!&NZ生活 / 生活情報
  • » ■鳳文書林(航空図書 航空図 航空用品)
  • » ■国土交通省
  • » ■気象庁
  • » ■無料ブログ JUGEM
  • » ■ニュージーランドアカデミー

  • PR
    ランキング参加中
    にほんブログ村 転職キャリアブログ 20代の転職・転職活動へ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 海外生活ブログへ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 海外生活ブログ ニュージーランド情報へ
    にほんブログ村
    JUGEM PLUS