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     2018.05.04 Friday

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     2012.04.01 Sunday
つづき>>

クロカンの訓練の目的が、お客さんをのせて「安全・定時・快適・経済」でOperationをできるようになることであるならば、全ての訓練の発想は、隣にお客さんがいたら自分はどうするだろう、という問いから出てこなければならないはずだ。こういうOperationを、ここでは仮に「Normal Ops」と呼ぶことにしよう。


このFuel Stationに無事に帰ってくることが一番重要なこと。


「Normal Ops」で、地図を頻繁に見ていること自体本当はおかしい。少なくとも最初の目的地までは、地図を見なくてもいけるようになってから、行くべきだ。だって、お客さんを乗せるなら、そういうところにいくでしょう。上空でパイロットが地図を開いただけで、お客さんは不安になるものだ。

「でも、Map readingの知識も重要じゃないか!地図が読めないパイロットでいいのか!」(←1年前の私。)

目的から逆算していないから出てくる考えの典型だ。では、地図を見ることが、Map readingの技術だというのか。

「えっ(そうじゃないの??)。。。」(←黙る1年前の私。)



うわー三角を目印にしようとしたのに三角が一杯ある!!(かつての私。)


「Normal Ops」では、地図で自分の位置を確認しているのではない。外の景色を見るだけで、自分がどこにいるのか分かっていて、通過時間がきたら地図にそれをメモしているだけだ。違う言い方をすれば、「知っている」という状態によってNavigateが簡単になるように「工夫」している状態だ。これだって広義には、Map Readingの技術に含まれないだろうか。

実際に地図を見て自分の位置を知るのは、知らないところに行くとき。つまり、Diversionや、初めての場所へのフライトだ。今までと違い、外を見てもここがどこかよく分からないという状態。こういうのが延々と続くのを放置していては、十分に「工夫」されているとは言いがたい。たとえよく分からない場所に行ったとしても、いかに早く地図をしまうことが出来るか。それがMap Readingという技術の本当の意味だ。

私がかかっていた「地図見すぎ症候群」は、地図を見て、地上を見て、地図をみて、地上を見て、当たりをつけて、でも不安で、また地図を見て、、、目があちこちに動くので飛行機のノーズも「ししおどし」のように落ち着かない。Aviateぐしゃぐしゃ。さらにその状態で、ETA(到着時刻)やらナブコンやらに意識を伸ばす。絶対に立ち行かない。


平野のNavigation が一番難しい。


今の私だったら、初めて行くところへは、地上のプランの段階で、絶対に間違えようのない大きな目標のみを選定して、それらをつたっていく。チャートから1mくらい離れたところに立ってパッと目に付く大きな目標(川を二つ越えるとか山と海岸線との距離感とか。)を掴んで、目的地上空につくまでに何が見えていれば安心して良いのかを頭に入れる。上空で安心するためにである。実際に飛んだら、測風などは行わず、プランした目標がプランどおり見えてくるか、どんな見え方をするのかを覚えて、地図を見なくても飛べるようになったら、その次のフライトで測風やETAの精度にこだわるようにする。


間違えようのないところを飛べ!




順番が重要なのに、全部やろうとする。その結果、事故はおきた。事故に至らなくても、Solo(単独飛行)でのヒヤリハットはある。特に恐いのは「やり残したことがあるのに次にいく」という性質のもの。Soloでは何故か気が急く。それは、教官が管理してくれていた「時間」を、自分で管理しなければならなくなるからだ。自分が午前中に飛び、同じ飛行機を午後違う人が使う場合は、その返却時間に頭をとられることがよくあった。時間の管理は、ANCAでは最後のAdministrateに含まれる。「ANCA」が「ancA」という状態になって、AviateのひとつであるLanding Checklistが抜けたりする。


着陸!

何か失敗をしたら(例えばプランが甘くて飛行機が返却時間に間に合わない!とか。)それをそのOperationで取り戻そうとしないこと。「急いで」間に合ったとして、そんなことに何の意味もない。決して急がず、Slow and Sureに。自分の一挙手一投足を頭の回路に通して「うまくいかなかったこと」を安全に地上に持ち帰るだけでよい。帰ったら怒られるかもしれないが、死んでしまったら怒られることも出来ないのだ。


ダメだったら、やり直し!
     2012.03.30 Friday
つづき>>

日本で事業用操縦士の訓練をしている先輩を見ていても、日本のクロカンは大変だなというのが分かる。

とにかく、やることが沢山ある。NZでは、まっすぐ飛べよとは言われるが、推測航法の正確さはそんなにうるさく言われない。Visが良いので、よく見て飛ぶほうがきれいに飛べるし、安全だ。ETAは細かく聞かれるが、テストで測風なんかしない。(その代わり、突発的なことが多いのでそういうことに冷静に対応するキャパシティを見られる。)


【DA20。コンパスとDIずれたりしないんだろうなー、でもトマオのほうが私は好きかなー。】


それが日本ではどうだ。ETAはもちろん飛行中にオーラルが始まる、LOPといってIFRの機材で自分の位置を割り出す、風を測る、測った風で次のレグのHDGを出す、ETPを出す、PNRを出す、、、最後のほうは想像だけど。一見、日本のクロカンのほうがすごいことをやっているように見える。確かにそういう面もある。これだけのことが上空で出来るのは、確かにすごい。私には、まだ出来ないかもしれない。でも、まてよ、これって一体何のためにやってんだ??



お客さんを乗せてどこかへ行くとき、これらが出来るからってお客さんが喜ぶわけではないだろう。こいつらは、やる必要がないならやらなくていいことだ。じゃぁ何でこんなにしちめんどくさいことを、飛んでいる飛行機の中でやらなければいけないのだろうか。なにしろ、Heads downして風を計算し、今吹いている風はね、、と能書きを垂れているときにほかの飛行機とぶつかってしまったら一巻の終わりなのだ。そこをわかっているのか!ドンドン!(机をたたく音。かつての私へむけて)

状況によってはお客さんと自分の命を危険にさらすようなことを、一生懸命時間とお金を掛けてやっているのだとしたら、これほどあほらしいことはない。だから、徹底的に目的を知らなければならない。試験に出るから、という理由で訓練していたら、あまりにもったいない。あれもこれもそれも出来るように、上空で沢山のことが出来るようになることが素晴らしいのではない。完全に逆で、お客さんと自分の命を守るために、無駄なことは一切しないこと。これが最も重要だ。


私は、たった一つのことが出来れば良いと思っている。それは、楽しいフライトをすること。そのために重要なのは、いつ何を考えるか。厳密には、いつ何を考えないか、という仕事の優先順位。ANCAという考え方はたびたびこのブログにも出てくるが、フライトの優先順位を表すもので

1. Aviate 飛ばす
2. Navigate 位置を知る
3. Communicate 通信する
4. Administrate その他(仕事の管理)

とある。番号の若い順に優先順位が高い。日本のクロカンでやることのうち「うわー難しそー」と感じるのは、ほとんど4.だ。さっきも言ったが、やらなくても良い連中のために1.Aviateがぐしゃぐしゃになってはいけない。Aviateなどと呼び捨てにしてはいけない。「Aviate様」と言わねばならない。これがぐしゃぐしゃなフライトというのは、楽しくない。


【ワインの街、Blenheimに降り立つ。空港にワインの広告。】

お客さんを乗せるとすぐにわかる。飛行機に慣れていない人は、ちょっとピッチが下がってマイナス気味のGがかかっただけで悲鳴を上げる。私がお客さんを乗せたときに、出来ることが少なくなったのはこのためだ。だが、あれは優先順位を間違えなかったという点で、最高のフライトだったのだ。最終的には、Radioがきても、地図を読んでも、ナブコンをいじっても、時計を見ても、Approach Briefingをしても、Paxをケアしても、飛行機の鼻先がびた一文ぶれないこと。これがクロカンのゴールだ。

重要なのは、工夫すべきは「2.3.4.の連中」だということ。これらをいかに「Aviate様」に影響させずにやるのか。飛んでみて、飛行がぐしゃぐしゃになったら、それは「Aviate様」が未熟で後ができていないのではなく、「後ろの連中」の工夫が足りないからだ。私は、訓練中は逆に考えていた。勿論、「Aviate様」がうまくなってはじめて出来ることもあるだろう。だが、腕組をしてファイナルを降り、フレアをパワーだけでできるようになるのを待っていたら、(そういう人がいるんです)ラインにいくまでに紅の爺さんになってしまうだろう。(それも楽しそうだが。。。)


例えば、地図の見すぎという症状。昔よくかかっていた。これは何がまずいのか。

次回は具体的な考察に入るぞ。
     2012.03.29 Thursday
Cross Country Flight(野外飛行・通称クロカン)は、飛行機の訓練の中でも最も実践的な訓練のひとつである。


Timaruにて。うちのカブもきてる!


国によって定義は違うが、ニュージーランドでは25NM以上飛ぶフライトをクロカンと呼んでいる。大体は、HomebaseであるChristchurch国際空港から離れたところにある飛行場に飛んでいき、給油をして帰ってくるというフライトだ。8500FTから見るニュージーランドは筆舌に尽くしがたい。


こんなかんじ!(これはまだ低いけど。)


クロカン、はっきりいって、苦手だった。orz


なにせ、やることが沢山ある。飛行前から大忙しだ。ハンガーから飛行機を出して、プランを立てる。もたもたしていると離陸時間が過ぎてしまう。上がったら上がったでチェックポイントがすぐにやってきて、Position reportをしなければいけない、あわてて無線を取ったら周波数を変えるのを忘れてTowerに注意され、CH Informationという目的の無線局に位置を通報しようとしたら離陸した時間を記録していないことに気づき、そのまま上昇するポイントを通り越して地面が近づいてきて、自分がどこにいるか分からなくなって冷や汗をかく。。。


一発目はそんな感じ。(もちろん教官同乗。)



いつか行ったArthur's Pass を上から見る。南島の西と東を連絡する峠の中で、一番低いのがここ。西に行くときで雲が低いときは、このパスがダメだったら絶対にいけないのだ。


訓練中は、ずっと不安だったものだ。景色なんて楽しめたもんじゃない。なまじ日本で飛ぶことを頭においているから、ETPやら測風やらを欲張ってやろうとする。課題を詰め込む。常に次はなんだっけ、次はなんだっけと頭はいっぱい。できるわけないのに、できていないことに苦しむ。



教官と積乱雲を見に行ったとき。あれはまだカナトコができていないから、、、何ステージでしょうか。


それでもなんとかクロカンテストをクリアして、IFでみっちりやって、飛行機のコントロールに余裕が出てきて、CPLテスト直前にはお客さんを乗せるまでになった。でも、お客さんを乗せたら、訓練で出来ていたことはほとんど出来ず。とにかく安全に安全に安全に安全に安全にとやっていくと、ぶつからないように外を見て、揺れないように海岸の少し海寄りを飛んで、燃料とSARTIMEチェックすることぐらい。測風?ETA?着けばいいんです、という感じだった。そのときは、こんなものかと思った。いろいろやってきたけど、いざ自分が機長(記録上はいつもの訓練でも機長だけど、重みが違うでしょ)になったら、こんな初歩的なことしか出来ないのか、と。



湖の色。上から見て気持ち悪い!といった人がいる。。(-"-)  (黒い線はプロペラの残像です。。)


今思うと、勘違いもはなはだしい。



あれもこれもできるようになるのが、クロカンの目的だろうか。すごいクロカンってなんだろうか。


結論はまた次回。

     2011.08.12 Friday
Scottが持っているテストの採点表は、小学校の頃の通信簿みたいに「がんばろう」「できた」「よくできた」という3項目があって、評価ポイントにしたがってチェックを入れることになる。「がんばろう」がひとつでもついたら、フェイルだ。

Tick in the right box は、直訳すれば「チェックが正しいチェックボックスについた」である。「がんばろう」が0だったと言う意味だ。だから、合格。結果的に安定快経の基準からはお粗末な判断になったが、、なんとなくではなく自分なりの考えと根拠を持って判断したのが効いたのかもしれない。とにかく、SCOTTは、フェイルとは判断しなかった。

このCPL XCからは、ものすごく大切なことを学んだ。

もちろん地上で飛行機を壊したことが最もショッキングな出来事だったが、この事件で私がPPLまで積み重ねてきたものを一旦すべてばらばらにする必要があった。でも、それは絶対に必要なことだった。これがなかったら、私はどんなパイロットになっていただろうか。


プロペラとは、


亜音速で回転している三刀流の剣だ。人間なんか一瞬でばらばらにしてしまう。そんなものを鼻先で回しながら進んでいる時に見えている景色は、


こんな感じ。正面の黄色いコーンは、


こんなに離れている。


翼にちょうどくっつく位置にあるオレンジのコーンは、


この写真の幅一杯のところに置かれたコーンだ。小さくて見づらいが、左右で距離が違うのがわかる。恐ろしいと思わないか。



私にできることは、この出来事からどうにかプラスになることを引き出すことだ。結果的に整備士とも仲良くなれた。タキシング中の事故を防ぐために効果的なトレーニングを開発しろと学校に言われ、ウエストメルトンでチェロキーを動かしながら訓練のアイディアを出した。何よりTHREATに対する注意深さが100倍くらいになった。よし。


レーンのスレスレを行くチェロキー。なんと、自分の座る左席から遠い右の翼をケアするあまり、左にぶつかる傾向が!!やってみて初めてわかる落とし穴。

実際、まだまだタキシング速度が速い学生を見かける。このままでは、第二のASHが出るかもしれない。日本人に対してなら「たるんどる!」と一括すればいいかもしれないが、たとえばインド人にそれは通じない。昨日食べたカレーが日本人には辛過ぎたんだと思われるのが関の山だ。私が今持って、感じている認識を、他の学生にそのままインストールするには、うまいパイロットであるだけでは足りない。自分の考えを相手に伝える能力と、それを逐一確認する注意深さが絶対に必要だし、どの段階の学生に教えるかも重要だ。PPLの最初にやるタキシングエクササイズとしてコレをやっても、あまり意味はないかもしれない。PPLが終わる頃に身に着けた「翼間隔」を、改めて確認する場所にしたほうが効果的な気がする。

テストが遅れて、最後はIFRの訓練とかぶっていったが、実は相乗効果もあった。IFRのスキャニング(計器の連続確認)を体験したあとでVFRを飛ばすと、楽だ。今まで何をしていたんだろうと言うくらい飛行機がずれない。「飛行機は目を離せばずれるものだ」という認識が叩き込まれるからだと思う。もうひとつ上のレベルに行けば「飛行機は目を離してもずれないものだ」に変わるかもしれないが、今はまだだ。笑

こういった細かい相乗効果に加え、大本の、自分がどんなパイロットになるのかという点について、IFRと重なることで得たより深い認識もある。誤解を恐れずに言えば、それは「プロ意識」ということになるが、ここで簡単に「プロ意識」という言葉は本当は使いたくなかった。それはPPLから今まで150時間ほど飛んだ自分と、初めて飛行機を操縦した時の自分、あるいはもっとさかのぼって訓練を始めようと日本で準備していた時の自分で、同じ「プロ意識」という表現から受ける印象や最初に思い浮かべる意味が全然異なるからであり、この文章を読んでいる人に私の認識が、100パーセント正確に伝わらないと思うからである。

100パーセントに近づけるには、まだ少し説明が必要だが、適切な言葉が見つからないのでとりあえず今はそう呼んでおく。



ウエストメルトンの主。


固定スラット!!


モトクロスのリアサスに似ているな。



訓練は続く。ついにIFRだ!!
     2011.08.07 Sunday
後編2などと。だらだらと長くなってしまい心苦しい。スミマセン。

ちょっと説明を入れると、NZではPPLを取った後、CPL(お金をもらって仕事をするパイロットに必要な免許)ライセンスのうち、クロスカントリー(XC)部門のフライトテストがあり、PPLが終わった後はそれに向けてXCフライトの訓練を重ねる。飛行時間がテストの要件に達した時点でXCテストが受けられる。その後、計器飛行照明(IR)の訓練を開始するが、IRのテストには200時間の総飛行時間が必要なため、XCテストが終わった後もじゃんじゃん飛ぶ。私は、XCテストの予約が遅れたため、じゃんじゃん飛んでIRの訓練に食い込んだぐらいでやっとXCのテストを受けることができた。

一連の記事は、このCPL XCテストついての回想を書いているところである。

Forced landingを終えた直後、お約束のEFATO(離陸直後のエンジン故障)をかました後、SCOTTがすかさず

「1500FTに雲、視程800m。」

外を見たって雲なんかひとつもない。視程もKaikouraが見えるんじゃないかというくらいいい。だからといって

「雲なんてないですよ」

などと真顔で反論をしてはいけない。Imaginally Ceiling。試験官が雲と言ったら雲なのである。Precaution landing を想定しなければならない。法律上の最低気象条件を切ってしまう前に、どこかいいところに飛行機を降ろすこと。Forced landing with power。近くにCulverden(CU)があるので、川沿いにこのままCUに続く道まで進んであとはCUまで道をたどる。予想通り、練習どおり。まったく余裕をかましていたら、SCOTTが私の目の前のパネルに手を伸ばし、ALTERNATOR(発電機)の電源を切った。

う。

ここで一瞬脳みその回路が乱された。発電機故障か。電流計をペンでとんとんしながら

「電流流れてないみたいだけど??」

そりゃあんたが今スイッチ切ったからね。同時に私の頭のスイッチも変なところにつながってしまった。どうする、とたずねるSCOTTに、

「I'll carry out precaution landing.」

SCOTTは不満げである。ちょっとまて、なんか違う。発電機が故障すると言うことは、飛行機はバッテリーだけで飛んでいる。そうか、まずはバッテリーの節約だ!

「ライト全部切ります。」

「What else can you do?」

「ここはCLASS Gなので We don't need any radio equipmentsでありまして、TRANSPONDERは発信時に巨大な電力を消費しますです!」

「What else?」

「Precaution landing, because We are flying only on the battery at this moment.」

「Alright...」

不満げである。まずい。だがPICとしてDecisionをした以上、いかねばならぬ、滑走路上を牛が徘徊するCulverdenへ。Precaution Landingである。科目としてのPrecautionはよどみなく進んだ。練習していたので当たり前だ。CUは南北に滑走路が走っており、今日は風がなかったのでどちらを使ってもよかった。南向きを使ったのは、その後Touch and GoでCHに戻るはずだとふんだからだ。CHはCUの南にある。考えようによっては、これもCPLか。金を出すのが自分か、お客さんかの違いだ。

Touch and Goでやっぱり帰投。上昇。CHへのRough HDGをとり、ETAを出す。最初の頃は、これだけのことが大層難しかった。今は4秒でできる。最初はすべて100KT計算。指や手のひらで測った距離に6をかけるだけだ。その後、必要に応じてTASなりGSなりで修正。空域の上限を確認して、高度を3000FTと決めた。

さーて、もう一がんばりだ、つまらないミスをしないように。SARTIME、FUEL、エアスペース、ABRIEF、大丈夫だ、、、さっきの発電機故障以外は。


こうして、安全 快適 経済 定時という4つのテーマに沿って行われる、CPL XC FLIGHT TESTが終了した。最後にCHのCONTROL ZONE内に帰ってきたときは、ほっとした。PPLの頃は、タワーとの交信が恐ろしくて仕方なかったが、今は管制区内のほうが安心できる。CLASS Gの無法地帯のほうがよっぽど怖い。


地上に降りて、飛行機を片付け、BRIEFING ROOMでSCOTTと向かい合う。

前回よりフライトがTIDYになっていてよかった、特にHDGと高度の維持はよくできていた。
HOKITIKAでは離陸前、あるいは直後にFISCOMにコンタクトしてFLIGHT PLANのAMENDをするべきだった。
ETA、FUEL、SARTIMEの更新にも問題はない。
と、ここまではほぼ自己評価と一致する結果である。

「で、Precaution landing だけど。」

やっぱりきたか。

「Precaution landing の定義は??」

「Forced landing with powerです。」

「Do you have to make FORCED LANDING for Alternator failure??」

「I thought it was the best choice at that time.」

「If you were above the mountainous area, would you make that precaution landing due to Alternator failure??」

「Maybe the battery was too weak to accomplish the flight. What if we have an old battery and it might have less capacity compared to the bland-new one?」

「Do you think the aircraft essentially requires the battery to fly on?」




しまった。。。




飛行機の電気系統は、車と違ってエンジンの点火システムと完全に分離された状態になっている。発電機がイカれても、バッテリーが落ちても、MAGUNETOというちょうどガスコンロを点火する時にはじけるような音を出すあれと同じ構造が点火プラグに電流を流す仕組みになっていて、プロペラだけは回り続けることができるのだ。AIRTECHで習った時に感心してへーへーいいながらMAGUNETOのカットモデルをカチャカチャやっていたものだ。知っていたはずだったのに!!

確かに、お客さんを乗せていて、山間で発電機が故障したからといってすぐに降りるとは限らない。早く降りたほうがいいにはいいのだが、そこで発電機を直せなければ、お客さんを目的地に届ける手段がなくなってしまう。お客さんをどうケアするのか。天候など他の理由で飛べない状況であれば仕方がないが、飛べるのなら目的地か、あるいは少なくとも発電機を修理できる設備を持った代替飛行場に着陸するべきだ。だって、エンジンは大丈夫なんだから。

安全 快適 経済 定時。安全を損なうことはなかったが、他の三つをごっそり落とした判断だ。

だ、だめか、、、


「You've got all the ticks on the right boxes.」


は?なんて??BOX?どういう意味だ??困惑する私をいぶかしげに見つめ、

「CONGRATS ASH.」

手を差し出すSCOTT。どうやら合格したらしい。

CPL XC TEST まとめ編 へつづく (スマセン)
     2011.08.05 Friday
空を見上げて、空の青に比べて雲の白が半分以上ある状態をCEILINGという。VFR機は通常、CEILINGの上を飛行してはいけないことになっている。地面が見えなくて危険だからだ。今、目の前のHOKITIKAにはCH INFORMATIONからの情報によるとOVC3500。オーバーキャスト3500フィート。空がすべて白くなっている状態なので、完全なCEILINGである。実際、山の向こう側に雲がべったりしているのが見えてきている。目的地のHOKITIKAに行くには、135(商業運航)の法律にのっとって、この雲の下を飛行することが合法かどうかを判断する必要がある。そのためには、3つの質問に答えなければならない。ここで知らずに雲に入んなきゃいいんだろ、とタカをくくって雲スレスレを飛び、試験に落ちた同期(KIWI)が何人かいる。

1.雲は、地上から1000FT以上?
2.くぐるとして、その高度は3000FT AMSL OR 1000FT AGLより上?
3.1000FT下取って、500FT AGL切らん???

1.がNOなら、135ではCEILINGが地上から1000FTがミニマムなので、くぐれない。
2.がNOなら、(つまり飛行する高度が一定以上低ければ)雲スレスレをいけることになっている。くぐれる。
3.2.がYESの場合、(つまり飛行する高度が一定以上高い場合)雲から縦に1000FT離れなければならない。
そして、そのときの高度が通常の最低高度である500FT AGLを切ってはいけない。切っていないなら、くぐれる。

今回のケース。OVC3500ただし、これはAGL(地上からの高さ)だ。
1.YES AGL3500だ。
2.YES 雲スレスレを飛んだ場合、3000FT AMSLまたは1000AGLより高いのでスレスレは飛べない。
3.YES HOKITIKAのELEVATONは146FTなので、2646FT AMSLで飛べば雲からちょうど1000FT下を
  飛ぶことになる。高度計の表示は海面高度(AMSL)だ。2500FT AMSLでいこう。


山の向こうに雲が見えてくる。天気ってやつは本当に面白い。後ろには雲ひとつない晴天なのに、前にはびっしりと雲雲雲。さっき計算したTOP OF DESCEND(TOD:降下開始点)は、3度(5%)の降下角で下ろした時に、ちょうど空港の2マイル手前でJOINING HEIGHTになるように設定したものだったが、3度で下ろしていたのでは雲の下に降りるのに間に合いそうにない。かといってTODを早めるわけにも行かない。目の前には、まだ雪をかぶった高い山があるからだ。

とりあえずその高い山を越えて、降下開始。TODはほぼ計算どおりの地点だ。450〜500FT/minで降りるとちょうど5%になるのだが、それでは間に合わないことがわかったので、乗客のCONFORTも考えて700FT/minでの降下をきめた。にゃろ、それでも間に合わないか!パワーを絞ってスピードを遅くする。前に進むスピードが遅くなり、これで雲の下には間に合いそうだが、飛び越える予定だった小さい山(ちび山と呼ぼう)がルート上にあるので、迂回しなければならない。速度が遅くなり、ルートから外れるので、ETAは少しずれるかもしれない。

そんなことはどうでもいい。

ここからはプチMOUNTAIN FLIGHTになるので、優先順位を切り替える。訓練中は、そうわかっていても今まで組み上げたフライトの結果である「目的地のETA」に固執してしまうことがあった。今は大丈夫だ。積み重ねてきた大切なものをかなぐり捨てて、今ここ、に集中すること!今一番重要なのは、山にぶつからないこと、HOKITIKAから上がってくるTRAFFICに注意すること。無線は頼りにならない。こちらから位置を通報はするが、ちび山の向こう側にHOKITIKAの空港はある。山の陰に隠れて無線の電波が届かないかもしれない。ちび山の向こう側からいつ小型機が飛び出してくるか知れない。もしここでエンジンがとまったら?ちび山から放射状に針葉樹林が広がっている。この上を2000FTそこそこで飛んでいるのはあまり気持ちのいいものではない。多少大回りになるけど、平野部が残っているところをたどっていこう。SARTIME OK、FUEL TANK CHANGE。ETA??んーあと10分くらいじゃ?多分、そのくらいさ。

HOKITIKAには誰もいなかった。

地上に降りて、SCOTTに燃やしたFUELを計算しろ、と言われて燃費を測ってみると、18L/hと出た。随分いい。燃料計算は通常25L/hでやっているので、28%も計算より燃費がいいことになる。。。本当か??笑 燃料は2回量ったので間違いない。ただ、DIP STICKという木の棒を差し入れて量るので、傾いたりしていると誤差がでる可能性はある。まぁ、燃費がいいに越したことはない。よかったよかった。

次どこ行くんすかと聞くと、まだ決めていないと言う。「どっこいこっかなー」と、まるで修学旅行の寺めぐりのコースを決める中学生みたいにつまらなそうにVNCを見つめるSCOTT。

「ALRIGHT, LETS GO TO LAKE SUMNER THOUGH.」

LAKE SUMNERはここから真東に50マイルのところにある、山間の湖だ。ははぁ、ここからMOUNTAIN FLIGHTの要件を満たす魂胆だな。そして、CULVERDENかどっかでPRECAUTION LANDINGやってSOUTH BROOK ARRIVALで帰るんだな。。。通常は上空でこのようなDIVERSIONが指示されるのだが、ラッキーなことにSCOTTが地上で指示を出してくれたことに加え、私が地図を折りなおしている間にTAXIINGをはじめてくれた。しめた、ここで定規使って距離測っちまおう!HOKITIKAと目的地の湖にそれぞれ大きめの丸を描き、それを直線でつなげる。距離と方角を測って準備完了。HDG 070M 52マイルだ。35分くらいかな。

離陸。でも本当は飛ぶ前にFLIGHT PLANのAMENDを入れるべきだった。山間は直進性の強いVHF帯の電波が届きづらい。これから山に入ることがわかっていたのに、それをせずに上がってしまったおかげで、結局ほぼLAKE SUMNERが見えるところまでいってやっと電波が入り、AMENDできた。おそまつ。

FLIGHT PLANは、LAKE SUMNER -> NZCHとしたが、LAKE SUMNERについてもNZCHに針路を向けようとしない。やっぱりな。このまま東に飛んでCULVERDENコースだな。思い浮かべるのはIMAGINARY CEILING、PANPAN CALL CULVERDENのELEVATION、100AGLの計器高度、CULVERDENからCHへのROUGH HEADING...

「ENGINE FAILURE!!」

SCOTTが叫ぶ。

にゃろ、そうきたか。CARB HEAT ON, THROTTLE CLOSE, SPEED 70, TRIM TRIM TRIM!! 7500FTからのFORCED LANDING。風はほぼない。「ほぼない」と一応自分の認識を伝えて、PADOCKとFINAL の方向を伝える。今日は風よりもPADOCKの状態が重要、SLOPEやCONDITIONなど。落ち着いたところでTROUBLE CHK。高度があるので、何回かS字状に旋回しながら、常に翼の先端でパドックを撫でるようにポジションを取りながら降りていく。DWで近づき過ぎてファイナルターンが急になり過ぎないように。うーん。割と余裕を持ってできた。


後編2へつづく。笑
     2011.08.02 Tuesday
上昇しながら、OFF TRKを目測する。ほとんどずれていない。地図に書かれている線の上をビッタシ飛んでいるようだ。FJRはスロットルをフルパワーにしてもRPMがレッドラインを超えない。EYAなんかになると、上昇中でもRPMゲージが右に振り切ってしまって、うっとうしい。FJRはいい子なのだ。コールサインは発音しづらいけれど。FOXTLOT JULIET ROMEO。ほとんどフォクショッジューリッロミーと言っている。

OXFORDの通過時間をとる。以前は、自分がどこにいるのか不安で不安でその時間を今後何に使うのかわからないまま闇雲に地図に×を書いては、時間を記録して無駄に忙しかった。今は違う。OXFORDで時間をとることは、BRIEFING ROOMにいるとき、もう決めていたことだ。ここで倍角修正をするのと、GROUND SPEED(GS)算出の基点にするためだ。クロカンで大事なのは、何をするべきか、ではなく、何をしなくてよいか、という観点を持つことだと思う。コクピットに無駄な仕事なんか入れてはいけない。遅いと言っても、180km/hでぶっ飛んでいるのだ。

あと21マイル進むと、ひょうたん型をしたLAKE PEASONの上を通過するはずだ。そこでもう一度時間をとり、OXFORDから何分かかったか(EET)をもとにGSを出す。100KT計算なら、20マイルは12分(6の段/10)だから、あと10分くらいは、外の景色を楽しむ余裕がある。(もちろん「見張り」と言う意味で。念為。笑)上昇中のレグでGSを測ると、高度差による風の影響が出てくるが、今日は風が強くないので大丈夫だろう。重要なのはHDGを固定して真っ直ぐ飛び、真対気速度すなわちTASを維持することだ。

TASは速度計についているダイヤルを回して、速度計の表示そのものに補正をかける。天井についているアナログの温度計を見て、その温度と現在の気圧高度を速度計の目盛り上であわせると、いつも90KTを指していたところに100KTの目盛りがスライドしてきて、TASが100KTだとわかる。飛行機は空気の中を飛ぶので、こういうことが起こる。

機種方位(HDG)を示すDIRECTION INDICATOR(DI)も、地球の自転と機械自身がもつ部品間の摩擦によってCOMPASSが示す正しい表示から少しずつずれていく。こいつらも時々チェックして、ずれていたら都度手で直す。DIを固定しているからと言って、HDGを維持しているとは限らないのだ。

通常クロカンで使われるWORRIERやARCHIERという飛行機は、GLASS COCKPITといって計器が機械ではなく液晶画面に表示されている。対地速度(GS)、真対気速度(TAS)もコンピュータが計算して画面に出してくれるし、COMPASSとDIを電気的にシンクロさせて、ズレを自動で直すシステムが使われている。値段は高いが速度が出るのと安定感があるのでクロカンが快適になるし、GPSを表示しておけば、自分のPOSITION FIXとダブルチェックもできる。使えるものを使えばより効率的なオペレーションができるということだ。

トマには、上記のような高級な機材が付いていないので、より人間が面倒を見てやらなければならない。トマホークでクロカンに行くやつなんか、今はほとんどいない。私は、TASの算出の原理や、COMPASSで飛ぶことの重要性がわかるので、悪くはないと思う。何を学びたいかによるのだろう。

そうこうしているうちにLAKE PEASON。高度は7500FT。75%のPOWER SETTINGは、7500FTでは2500回転を超える。奥の深いSTRAIGHT&LEVEL(等速直線水平飛行)が始まる。 PPLまではATTITUDEをあわせること、4本指をしっかり見つけることにこだわっていたが、最近はパワーセッティングを注意してみている。トマはプロペラが固定ピッチなので、すぐにずれる。IFRのように、パワーを固定してS&LになるところにATTITUDEをあわせると、自然に速度も合う。その時のPOWER SETTINGの根拠は、もちろんFLIGHT MANUALに書いてある。

翼の前縁真下に湖の中心が来たことを確認して、TIME。こういう作業をしている時こそ、HDGに注意を払う。ちらちらと前を見ながら、自分でラミネートした地図に油性ペンで時間、GS、目的地HOKITIKAへの到着予定時刻(ETA)を書き込んでいく。今まではこういう作業はひざの上においてあるFLIGHT LOG上でやっていたが、最近は頭を使っている最中はLOGは書かないことにしている。視線が下がるし、LOGが汚くなるだけだからだ。作業は地図でやって、書いてあることを、後で暇な時にLOGに書く。なんなら地上に降りてからでもいい。ちなみにこの地図に書いた油性ペンの文字は、ホワイトボードマーカーでなぞった後にスポンジで一拭きすれば一瞬で落ちる。理由はわからない。GREGが教えてくれた。

スムースである。防音が十分でないコクピット内は、大き目のエンジン音で満たされている。視界のほぼ360°にわたって真っ白な脊梁山脈が連なっている。以前はこの上に浮かんでいることが怖くて仕方がなかった。どれがどの山かまったくわからないからだ。今は違う。今はその奥にHOKITIKAがあることを知っているし、さっき通ったLAKE PEASONもみえているし、CANTERBURY平野もまだかすかに見える。もしエンジンが止まっても、高度があるしすぐ下にある川に沿って不時着できないこともない。SARTIMEもFUELも大丈夫だ。そうだ、降下を開始するところはどこにしようかな、HOKITIKAは1700FTでJOININGか、だいたい6000FTおろすから5%で下ろすとして18マイル手前か、切りよく20マイル手前にしよう。あ、CH INFORMATIONにHOKITIKAの天気を聞いとくか。あとは他には、、、なにもやることがなくなってしまった。マネジメントがうまくいっている証拠である。まぁ見張りだけしっかりやっておこう。


違う日にとった違う場所の写真。でもこんな感じ。

HOKITIKAの天気は地上でのブリーフィングどおり、雲がべったり3500FTにある。ただ、BKNがOVCに変わっている。雲の量が増えて晴れ間がどこにもないということだ。SCOTTがなんとなくソワソワしだしている。おおーここはCPL XCの目玉、「この雲、下通れますか大会」だ!

後編へ つづく
     2011.08.01 Monday
CPL XCのFLIGHT TESTは、延びに延びた。なにしろ、もう8月である。

先週からRECEPTIONに何度も足を運んでテストテストとわめいては予約を入れてもらっていた。天井に温度計が付いているFJRがよくて、その旨頼み込んで前日にプリフライトをして風防を磨いて準備万端!!なのに雪!!とか、WESTERLY!!とかで延びた。

延びたのには理由があって、天気もそうだが、私がTOMAHAWKでクロカンテストを受けようと言うところが大きかった。通常、この学校のクロスカントリートレーニングは、PIPER WORRIER、ARCHIER等の高性能機で、燃料をFULL TANKにして飛んでいく。TIMARUだろうがHOKITIKAだろうが満タンだ。こいつらは足が速いのと、何かあったときの残存燃料は、多いほうがいいというのが理由だ。

ところが、トマは最大離陸重量(MAUW)が他の機体と比べて小さいので、人間が二人乗るとガソリンを減らさなければならない。試験官は学校のインストラクター(B-CAT)のうち、資格を持った人が担当するのだが、うまくないことに、こちらの教官は若干大柄な風体の人たちが多いので、誰とでも飛べるというわけではない。自然、飛行機の予約ができて、天気がよくて、軽めの試験官(まぁSCOTTだろう)が空いている日、というめぐり合わせが必要になり、それで延びてしまったのだ。

本日、飛行機はEYDで入れられていたのだが、土曜日に学校に来て受付のC-CAT見習いクンにFJRに変えてもらっていた。なにしろ何回もプリフライトをやった機体だ。窓はぴかぴかだし、オイルは規定量入っているし、予備オイルも放り込んであるし、FUELだって左右のタンクに48Lずつ入っている。試験官のSCOTTと私と荷物5kg入れた状態で、MAUWぴったりにしてある。機体が変われば重量も微妙に変わるし、いろいろやり直さなければならない。面倒だし、当日になって「やべー!オイルが規定量入っていない!!」なんていうのは、プロとして間抜け以外の何者でもない。

だから変えてもらった。

クロカンのテスト規定には、準備は1時間以内でやること、とある。これを守る方法は、いろいろあるだろう。人を使っても良いだろうし、オイルも窓拭きも燃料も、その日に急いでやってできるならそれでいい。やり方は人それぞれでどんなふうにやってもいい。(この変は、日本と違いそうだ)でも、1時間以内という結果は出さなければならない。そのために必要なのは何なのか、そこから考えてフライトをくみ上げていくこと。このへんの力も試されてるんじゃないかなと思う。(大げさか)


さて、天気はよし。1028hPaの高気圧が国中を覆っている。高気圧の中心は東の海上にあるので、反時計回りのゆるい風が海から吹き込む西海岸ではBKN30などの雲が見られる。全体的に大気がSTABLEな状態なので、朝はFOGに注意だがCHには出ていない。湿度が低いからだろう。SCOTTにそう報告すると、

「西海岸のどっかにいこう!」

どっかって・・・自分で決めて良いらしい。じゃぁ、慣れているHOKITIKAで。いや、着陸料が安いGRAY MOUTHに・・・いや、まて、やっぱりHOKITIKAで。(む、及び腰だと?なんとでもいうがいいさ。)そこから先は、上がってからテキトーに決めるらしい。そうですか。


RWYはSEAL02。どの道GRASSはこのときCLOSEだったが、135(商業運航)要件で作った離陸距離からGLASS RWYではなく、長いSEALを使いますと一応伝える。START UPからLINE UPまで万事滞りなく進む。自分で改変を重ねたDEPARTURE BRIEFINGをして頭にフライト全体のイメージを作り、ジェット機のように2000RPMで一度計器をチェックしてフルパワーで離陸。

TWO CHAIN DEPARTUREの出口であるEYREWELL VORからHOKITIKAに引いたTRKをINTERCEPT。IFRであるかのようにHDGにこだわる。ちょうど15マイルくらいいったところにOXFORDの町、その先にMt.OXFORDがある。それを目印にしてOFF TRKを知る。最近は、この「15マイル付近」というのが使いやすい。このくらいでOFF TRKが見えると、早目に倍角修正で直してビッタシTRKに乗せやすい。これをきっちりやるためにも、HDGは守りきる。倍角修正は上空の実際の風に対する修正なので、しっかりやれば理屈上TRKはずれないはずだ。それがずれるというのは、風が変わったか、HDGの計算と維持が甘いか。高度が変われば前者もあるだろうが、自分の力量からいって、後者に嫌疑がかかってもしかたがない。だから今日はがんばる。ちなみに15マイルいったところのOFF TRKは1マイル4度。2マイルで8度。あとは九X九 4の段。10マイルなら6の段。20マイルなら3の段。30マイルなら2の段。日本人でよかった。

GSを出すところはあらかじめ決めてある。最近まで、HALF WAYを無暗にとって、そこで取ったGS(さらにはETA)が合わねー合わねーと文句をたれていたが、HALFWAYを知るための目印がなければ、いくら地図に1/2と大業に書いてあってもむなしいだけである。さらにHDGと同様、ちゃんとTASを一定にして飛ばす意識があったかというと、やっぱり怪しい。NAVIGATEの前提となるAVIATEの精度がグラグラだと、当然、NAVIGATIONは不正確になる。当たり前の話だ。でも、S&Lこそ難しい。トマはどんどんDIずれるし。

今まで学んだことのすべてに注意を払いながら、7500FTに向け、HDG 283Mで上昇中。


中篇につづく
     2011.07.06 Wednesday
人間が乗り物に乗って移動するという贅沢をあきらめない限り、事故を「0」にすることはほとんど不可能だとおもう。

もっと遠くに、もっと速く、という欲求をかなえるために、自分たちの身体の造りと強度では到底耐え切れないほどのエネルギーをひときりに集めて、圧縮して、車輪やエンジンやタービンを高速で回すことでそれを実現している。事故を「0」にしたかったら、乗り物には乗らないことだ。

プロパイロットを目指す人間がこんなことをいうのは、無責任だと思うだろうか。

逆説的だが、そういう事実に目をそむけないことが、事故を「0」にするか、少なくともそれに限りなく近づくために必要なことなんだとおもう。統計的には一定の確率で事故は起こるが、被害の程度は小さい事故で食い止めるようなシステムを作ることはできると信じたい。そのためには、事故は起こるもの、という事実を受け入れることが前提条件だ。一定の確率で起こる事故を、どうコントロールするか。「ときどき事故は起こるが、航空機の事故では誰も死ぬことはない。」航空業界が、そんな風に捉えられるような日が来ればいい。



【MOTUEKAにEYF見参!!CH-MK//-KI//-CHで300NM達成。】


上記は、交通事故というテーマを業界レベルで考えたときの私の問題意識だ。これを個人的なレベルに落とし込んで考えると、やはり自分でやった直近の事故が想起される。結果的に、CARELESSになって足元をすくわれた。べこべこにへこんだあの翼の先端を見たときの気持ちは、忘れられない。昔、駅の駐輪場でバイクを盗まれた時のような感覚だった。いつも目の前にあった景色が、そこにない。何かおかしなことが起こっている。ただ、依然としてポケットには携帯電話が入っているし、それを使って教官に連絡を取らなければならない。誰かにこのことを話さなければならないのだ。事実が目の前にあるのに、なんとなくリアリティがないのは、それほど受け入れがたい光景だからだろう。でも誰かに連絡を取った時点で、それが烙印のように自分に焼きついてしまう。過去にもやっていた人の話を聞いていたから、それを糧にできなかった馬鹿野郎だと思われるだろうし、実際に自分でそう思っている。それが確定する瞬間が近づいてくるのがわかって、恐ろしかった。翼の表面がへこんだだけでこれだ。プロペラで人の胴体を切り裂きました、なんていう光景だったら、どうなっていただろうか。


最近は、自分の行動が変わってきているのを感じる。

とにかく、焦らなくなった。

これまでは、たとえば「CPL XCの準備は、プランからすべてを1時間で終わらせるべきだ!」という教官の言葉をそのまま受けて止めて、準備中にタイムリミットの1時間が近づいてくると、「はやくしなきゃはやくしなきゃはやくしなきゃ あ、WEATHERのプリンタ壊れた。この馬鹿プリンタめ!!」

とか、

たとえば、「安全のみを見ていたPPLから、効率という要素を入れ始めるのだから、タキシングしながらいろいろてきぱき進められるようにならなければならんならんならーん!!!」

みたいなことを繰り返していた。焦ったり、急いだりするとなんとなく「がんばっている」ような気分になるのだ。「深刻に」なることで、真剣さをかもし出していた。当たり前だが、物事に「深刻に」取り組んでいるからといって、それが正しい方法であるとは限らない。


準備が1時間で終わらないからといって、実際にオペレーションに入ってから自分をプッシュして時間を短縮したって何の意味もない。急がなきゃ、とか、なんとかしなきゃ、という気持ちを持った時点で、プランがまずいのだ。最も重要なのは、その「まずい!」を、そのオペレーション中に取り戻そうとしないことだ。テーマがあって、それが未達成になりそうだったら、リラックスしてそれを地上に、安全に持ち帰ればいい。そうして、次のプランに活かせばいい。もしかしたら教官にはがっかりされるかもしれないが「急ぐ」ことで結果的につじつまを合わせて「できました」と報告することに、なんの意味があるだろうか。

誤解を恐れずに言えば、最近はプリフライトも給油もログの記入も天気の分析も、意図的に「だらだら」やっている。絶対に、急がない。変だな、とおもうだろうか。プロを目指すなら、ひとつひとつの行動を「てきぱき」やるべきだろうか。

逆だ。

行動自体をだらだらやっても、時間通りに出発できるようにするにはどうすればいいか、と考えるべきだと思う。「てきぱき」やるという考えでは、その「てきぱき」を崩す何かが起こったときに、自分が「急ぐ」ことでしか状況を立て直せない。そして、オペレーションというのはそういう何かが常に起こる。冒頭に言ったように、事故は「起こるもの」として捉えなければならないのは、その芽がそこらじゅうに転がっているからだ。



【SKYDIVING用の飛行機洗い中。NELSON AVIATIONがあるのもここMOTUEKA (NZMK)だ。IFRの訓練中だという日本人の方にも一人、お会いした。】


今日、TIMARUのターミナルに駐機してあるイーグル(D1900)の横を、LINEUP のためにタキシングしているときだった。出発直前なのだろう、お客さんが続々と乗り込んでいる。ぶつからないように何度も翼の先をチェックしながら通り過ぎようとしたとき、まるで博物館の展示品をひとつひとつ眺めているような風情で、D1900のノーズギアやピトー管を見つめている人物がいた。

パイロットだ。

非常にゆっくりと、「だらだら」した印象を受けた。本番でだらだらできるのは、プランがいいからだ。実際、イーグルは私が離陸した直後、おそらく定刻に離陸して、フルパワーで3000あたりをあえぎながら昇っている私のトマホークを一瞬で抜き去り「5500FTを上昇中だよ♪」という無線とともに北東のどこかへ消えていった。ちゃんと結果を出している。笑

ああいう風になろう。
     2011.07.03 Sunday
Today, I was supposed to complete the 300NM cross country flight.

I came to school at 0730AM, completed preparation at 0900AM, and set 1030 for my departure time to avoid possible low cloud or valley fog in the mountainous area en route. At 1015AM, I was running the engine up on the grass.

WHEN I was just about to taxi on the taxiway delta for short of grass 02, I noticed that this awesome fog was drifting into the airfield from west.




At 1130AM, really bad,



At 1140, my latest time of departure had come.


At 1150. SKY CLEAR!



Such a perfect day. orz



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飛行機訓練終了後、日本で1年間翻訳で稼ぎ、 今年1月にNZに再渡航しました。 インストラクター試験には合格しました。 3ヶ月無視され続けることに耐えてやっとインストラクターの端くれに。 とりあえず、両親に感謝。
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