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     2011.11.10 Thursday
例によって直前まで天気は微妙だったが、雲は上がることはわかっていた。何回も延期したので、部屋のセットアップはうまくなった。書類をぴっしりと並べて印象をよく。笑

さーてと、と言う声とともにDaveが入ってきて、薄板に小さな長方形を書いた。

「THIS is the paddoc. THIS is the wind direction. YOU are here.」

よかろう。

「HOW would you fly to make this paddoc?? Show me.」

ニヤニヤして何を聞くかと思えば。

着陸地点はPaddocの端から1/4入ったところ、その左右1マイルに1000ft点、その風上サイドに1500ftエリア。このエリアは1000ft点をピンポイントで通過するための調整に使う。だから、点ではなく広がりをもつ円であらわされ、点から円に向かって2本接線を引く。コーンに乗ったアイスクリームのような落書きが長方形の両脇にできる。どちらかのアイスの中に、風下に向かって持っていくことができればいい。

「Thats What I want to see today. Let's go to Selwyn.」

そうですか。見とけよー。

離陸直前に天気のレポートを聞いてWestにいくことに。さらにオペレーションをするDarfield上空まで,3500ftでいけという。まぁDepartureの変更もControl VFRも今までやったことがあることだし、確かに、おちついてやればどうってことはないのだけれど、本当にテストでやるとは。いや、テストだからやっているのか。さらにCHCH離陸時にEFATO(離陸後エンジン故障)課目を実施。にやっぱりこの人は不意を突いてくるのが好きらしい。私とDaveが乗るチェロキー(ZK-EBM)は滑走路の端っこからよたよた上がっていく。Go for Speedに気をつけて、一気にノーズを上げすぎないように。最後まで気は抜けない。

「Steep turn to the left 360 degrees, please.」

しゃぁ。

Ref. Point, Ref.Alt, Look out, PWR Full!

ノーズでまわして、滑らせないように気をつけて。。。エントリーさえしくじらなければ、うまくいく。バンク確立、バックプレッシャーセットで失速警報がなる。そこからさらにもうチョイバンクを。。。。VSIはびったり横を指して動かない。いい感じ。外を見て、VSIが少し上がる。バンクを深くしてすぐ戻す。Ref.Pointきた。リードを見てねじりこむように戻す。

「To the rifht, please.」

トルク効果によるエルロン入力レートの違いからくるラダー量と、VISのフェイク表示に気をつけて。これもノーズでまわしていればわかる。


「Max Rate turnか。私はSteep turn って言ったんだけど。。。」


。。。あれ?? そうだったっけ。


「でもまぁPerfectだったからいいや。」


はは、ありがとうございます。前回パワー制限下でやらされた手前(私自身が)よっぽど見せたかったんだろう。Air sickになりかけながら練習したMax rate turnを。。笑


DarfieldとKirweeという街のちょうど半分のところに、Air Strip(滑走路)があるという。目を凝らすと、かなり大きなGrass Runwayが NE-SW 方向に走っているのが見えた。08と26だという。DC-3という尾輪式の大型機が、遊覧飛行でこの付近を飛ぶことがあるのだが、その拠点だという。さらに言うと、隣に座っているおっさんは、そのDC-3のパイロットでもある。Darfieldでは何度もオペレーションしたが、知らなかった。ほとんどパドックと同じ色と形をしているので無理もないのだが。ここでForced Landingをするという。パドックを決めてしまっていいのか。それなら簡単だ。思ったとおりのパターンで、各種のブリーフィングをしながら降りていく。flapをうまく使って慎重に、だがしっかりとスピードを殺す。

「Perfect!!」

ふへへ。


さらにいくつかやったあと、すぐに「クライストチャーチへ帰れ」といわれる。本来この台詞は、Failが確定して試験を中断するときに使われる。一瞬どきっとしたが、今までのつかみからすると大丈夫だ。不用なプレッシャーを自分にかけるのはやめよう。必要のないことだ。

普通にjoining も滞りなく進み、135要件のP-Chartの計算結果をチラッと見せて SEAL RWYを選択する旨を告げたがGRASSでいいからノーマルランディングをみせろという。無難にこなして終了。燃料PUMPで握手。さくさく進んであっけなく合格してしまった。。。

デブリで言われたのは、よく全体が準備されていたということ、前回指摘した点が完璧に治っていたこと、EFATOではフラップをもっと早く使ってすぐに降りることなどを指摘。だが、テストリポートにはたくさんいい評価をもらった。うれしい。


もっとうれしいのは、担当教官のクニさんにとって、初めてのCPL生徒になれたこと。PPLから面倒を見てもらった、この恩師の記念に自分がなれたことほど誇りに思うことはない。一度悔しい思いもしたが、それとて教官と一緒に成長できた証といえる。さらに、一緒に訓練してきたTracy(男)というkiwi(同じ日に試験を受けて、同じFroced landing で落とされていた。)もこの日、10月29日に合格!!クニさん1,2 finishである。


Heeee-Haw! WE made it!! WE are Commercial Pilot Now!!!


     2011.11.03 Thursday
試験に落ちたという事実はひとつだが、その意味は無限につけられる。そして、悔しいのはその事実に対してではなく、自分でつけた意味に対してということが多い。自分の失敗には、ぐだぐだと言い訳を並べる前に自分の目的にプラスになるような意味づけができるようになりたい。

もし自分がラインパイロットになるなら、チェックに1度フェイルしてしまったとき(想像したくはないが。笑)自信を持って挽回するための練習だと思うこともできるし、インストラクターになるなら自分の生徒が試験に落ちてしまったときに、どんな言葉をかけてほしいか察するためのいい材料になるだろう。

どんなに受け入れがたいことからも、学ぶことができる根性があるかが大事なのだ。簡単なことではないけれど。


再試験日は約1週間後の10月29日に決まった。それまでに担当教官のKuniさんと対策を練る。まずはForced Landing を中心にDaveに指摘されたところをしっかりと直す。試験で気づかされたことは、Forced Landingは通常飛行の状態でパドックにある程度目処をつけておかないと、失敗する確率が増えてしまうということだ。エンジンはどこで切れるかわからない。慣れた空域では安全な場所がわかっていたのでその上でオペレーションをしておくという戦略で安心していたが、それではひとたび不慣れなところにいくと崩れてしまう。実践的ではない。

どうしたらいいだろうか。再テストまでの1週間で見えてきたのは、一度選んだパドックに自信が持てないと、うまくいかないということだ。

これしかない、というパドックを選びそこが100%正解だ!とわかっている状態であれば、パターンを作ったりPax Briefをしたりといった仕事に問題はない。むしろ簡単である。一方、迷いながら決めて、グライドしながらさらに本当にこれでよかったのか、などと逡巡し、高度が低くなったところで羊がパドックでのんきに草なんか食んでいやがるのを発見したりすると「うわー」と思う。その「うわー」がほかの仕事を邪魔してしまう。当たり前だが、本当にエンジンが止まったら羊がいようが降りるしかないわけだが、羊をプロペラで切り裂きながら不時着しました、なんていうのはあんまりスマートではない。

「うわー」なパドックを選ぶときは大体、何も準備していなかったとき突然エンジンが切れて、グライドしながら初めて探す、というようなときだった。成功率を上げるには、やはりあらかじめ安全な場所、着陸に適切な場所を知っておく必要がある。それができなければ不時着できないという意味ではない。コンセプトの問題だ。実際にフェイルした試験でも、ちゃんと着陸できる状態にもっていくことはできた。でも、もし風が強かったら、届かなかったかもしれないという危うさを残した。成功率をより100%に近づける(お客さんだったらそうしてほしいと思うでしょ)には、やはり準備だ。届いたのにフェイルしたという意味は、ここにある。ここを直さなければいかん。

OK、じゃぁ準備は準備として、対策のひとつだ。もうひとつ大事なのは、自分の準備がどんどん打ち破られて不覚にも「うわー」な状態になってしまったときのこと。そのとき「うわー」に任せて自分の頭を羊でいっぱいにするようなことはあってはならない。一歩引いて、頭に余裕を持たせる。言うほど簡単ではないし、この段階でできるかどうかはわからないが、この着眼点を持てたことはいいことだとおもう。


1回のフライトで10回以上スロットルを切る。Forced landing祭りの一週間はあっという間に経った。土曜日、リベンジの日だ。
     2011.10.31 Monday
上昇しながら、Daveのダメ出しを受ける。

「あそこのPerfectなパドックに何故降りなかったんだ??」

「いや、あなたが言ったところにプランを変更しようとしたらダメだといわれたので、、、」

「一度パドックを決めたら、プラン変更は認められない。ほとんどあのパドックしかなかったじゃないか、ついさっきまで君のスタンダードがよかったからあえてヒントも与えず切ってみたのに。。。残念だが今日は君の日じゃなかったようだね。」

いや、ヒントくれるならほしかったんですけど。。。って、フェイルですか!


orz


イカンイカン。まだ飛行機は飛んでいるのでがっくりしている場合ではない。PICは私だ。LOOKOUT、LOOKOUT、LOOKOUT。CHに帰るため、タワーにクリアランスをもらう。やり取りに感情を出さないように気をつけて最後は、Flapless Landing。給油所に着いて、エンジンをきったあとに、とりあえずもう一度


orz


給油して、さっさと部屋に戻る。部屋では担当教官のクニさんに不合格が伝えられているところだった。狭い部屋のなかで、ホワイトボードを背にA320の査察機長の講義が始まった。

「エンジンが止まったら、自動的に次のことをしなければらない。」

1/ Carb Heat on, Close throttle
2/ Maintain derection
3/ Trim for the glide
4/ Access a wind
5/ Pick a paddoc
6/ Plan a descent

「これをやることで、乗客と君の命を救うことができる。なのに君はそれを完全に無視して、ただこのでかいパドックにStraight Inした。ドンドン!(ボードをたたく音)本当にひどいものだった。何故あんなことをしたんだ。」

何故といわれて、とっさには答えられなかった。もちろん、上記の6つのことは知っていて、練習でもちゃんとできていた。100%あなたに賛成する、と答えて、理由を考えてみた。

-Westでは練習中にある程度パドックを知っていて、エアワークをしながらその上空を確保し、Forced Landingに備えることができた。あまり練習をしていないSelwynではその情報が不足していたので、早くエリアを確保し、不時着に備えて目星をつけておくべきだった。

-だが、練習してきたことと微妙に違うことが重なって、風やパドックに見当をつける余裕、つまり「Situation awareness」を失っていた。

-その結果、エンジンを切られたときに風とパドックを探すという一番手間のかかる仕事が残ってしまい、ほかのチェックをする時間が失われた。

-さらに「Selwynには海に向かって平らででかい平野がある」という先入観から適切でないパドックを選び出し、直後にそのパドックではパターンが描けないことに気づいたが、変更は認められなかった。

-Straight in しか道はなく、高度判定もおろそかになってひどい不時着になった。

結果的にパドックには届いたが、必ず、正しいパターンを描いて降りなければならない。風が強かったら、届かなかったかもしれないからだ。

対策は二つ。
-Situation Awareness を保持すること。どんなことがあっても、頭を8割以上使わないようにする。
-エンジンが切れたときの6つの手順を、もう一度整理して運動神経に叩き込む。頭が8割になったとき、残りの2割をキープするためには、練習すればできることは頭を使わずにできるようにしなければ成らない。できないわけではなかったが、試験官が示してくれた手順を再現すること。


Westでできたことが、Selwynで簡単に崩れてしまうということは、ただのアンラッキーでは済まされぬ。私の技量の構造的な問題で、プロパイロットになるために絶対に直さなければならないことだ。真の原因(Situation Awarenessの保持)は見えたので、それを直していこう。

君は、パイロットになるのではないよ、とDaveが言った。

「君は、パイロットになるのではない、Energy Managerになるんだ。チェロキーの持つ150馬力なんてのは、私が飛んでいるA320みたいな大きな飛行機と比べて、ほとんど何の力も持っていないのと一緒だ。覚えているか、Forced LandingからGo Aroundするとき、君はフラップを上げながら同時に姿勢をかなり大幅に上げた。その結果、スピードが落ちて、飛行機にかなり負担をかけていたんだ。フラップを上げたら、揚力が減るのでAOAを上げるという発想は間違っていない、だが、姿勢を上げていく加減が問題だ。最初は"GO for Speed"だ。さもないと、飛行機が悲鳴を上げる。私は、そういう飛行機を見るのは好きじゃない。」


ふむ、次の試験までのテーマは決まった。
     2011.10.26 Wednesday
テストに自信をもって臨むには、自分の得意技を持つべし。それで試験官をうならせて、自分のペースに巻き込むべし。

以前にも書いたが、Max Rate Turnとは飛行機の最大性能を引き出して、できるだけ速く向きを変える機動だ。私はこれが得意だった。エントリーさえしくじらなければ、VSIがまったく動かない状態でぐるりと一周することができた。
Reference Point / Reference Altitude 3000ft/ Look Outと声に出し、スロットルレバーを押し出そうとしたときだ。

「ただし、パワーは一定でやってみなさい。」

そうきたか。。。

鋭く旋回するために飛行機を傾ければ傾けるほど、操縦桿を引いて高度を維持しなければならないのだが、その際大きな空力的抵抗が発生する。これに打ち勝つためには、パワーを入れなければならない。Max Rateは、通常フルパワーだ。今回は、そのパワーを使うなという。これは、飛行機をあまりバンクさせることができないということを意味する。45度バンクを使うSteep Turn ですらパワーを足すので、40度くらいか。練習の時には考えたこともない機動だが、定義上、これはMax rate turnと呼べる。なにしろ「飛行機の最大性能を引き出して、できるだけ速く向きを変える機動」である。パワー固定という条件のもとの、Max Rate。

さっきから、普通のマニューバに一ひねり加えたものを要求してくる。いつもと違って面白いが、これはテストだ。少しペースを乱されていると感じる。Slow Flightの旋回をしながら湖のほうへ出る。高度やスピードに動揺が出てはいけない。自分のペースを取り戻さないと。

Daveの指が、Mixtureレバーを引き下げた。予告なし!Forced landingだ。

若干不意をつかれた。普段と違うことをやらされて、風とパドック(不時着場所)の検討をしていない。まずい。だが、風はすぐにわかった。弱い南風だ。左手に広がる海から吹いてくる。左手下方にはSpitsと呼ばれる細長い海岸線(陸地)があり右側にはそのSpitsで海と隔てられた大きな湖がある。その前に飛行機の姿勢を再度チェックだ。横滑りしていないか、スピードは最大滑空距離の75ktになっているか。トリムを取り直す。通常は風下にパドックを取るのだが、風は海から吹いている。風下は湖の上なので取れない。風上側を見ると、Spitsの湖側に小さめの畑、海に近いほうには、だだっ広いただの空き地がこれでもかと広がっている。パドックを決めるのに時間がかかりすぎだ。このままではまずい、早く決めろ。とりあえず広くて平らなところだ、いつも訓練しているDarfieldにあるやつみたいに、大きいやつをとるんだ。

左手前方に広がる、海側のだだっ広い空き地をパドックに選び、Daveにそう告げる。Daveの口調がとたんに厳しくなる。

「本当にそこにいくのか?」

イケてないことはわかってる。だが滑空して十分届く距離だ。手前の、Spitsの湖側にある畑は小さすぎる。実際にエンジン故障が起こっても、この大きいパドックにいくだろう。ただし、パターンは作れない。パターンというのは、Forced landingをギャンブルにしないために、飛行機が飛ぶべき航跡のことだ。選んだパドックの約1マイル横を、風下に向かって(つまり着陸する方向とは逆に向かって)地上から1000ftで通過できるように飛行機を飛ばしていく。ここ(1000ft pointという)に入りさえすれば、あとはパドックに向かって旋回していくだけで、自動的に飛行機が風上に向き、高さも調節できる。

今回は、このパターンが一切ないということだ。単純に風上にあるでかいパドックに向かって一直線に降りている。なんてこった。これではギャンブルじゃないか。私だったら、あそこにいくけどな、といって、Daveが例の小さな畑を指差した。高度が低くなってはじめて気づいたが、Spitsと比べて小さいというだけで、実は十分に広い。Visual Illusionに見事にハマった。今ならパターンをつくってそこに着陸できる。プランを変更してそちらに向かってもいいか、と聞くと、だめだという。一度決めたパドックに降りろ、そしてどうなるか見てみるんだ。

どうもこうもない、パドックに向かうしかない。後1000ft高ければ、180度旋回して1000ft pointを風下に向かって通過するパターンがつくれたかもしれないが、もう間に合わない。この科目では絶対にやってはいけないことをもれなくやっている。Trouble checkもPax Briefing もやっていない。こんなアホなことになるとは思わなかった。とりあえず今は飛行機を飛ばそう。この風なら、このままいっても絶対に届く。若干高めに入るようにもって行って、近くに着たらflapを下げて降りることにした。だが、その高さの判定も終始まっすぐ降りていったために不正確になり、Flapをおろすのが遅れてスピードが乗った状態でなんとかパドックに滑り込んだ。接地寸前にGo aroundして上昇に移る。

「That was TERRIBLE!」

Daveがこちらを見ながらいらだった口調でそういった。


     2011.10.24 Monday
土曜に弱い寒冷前線が過ぎて、相対的に高圧部となったCanterbury。テスト日の日曜になってやっと天気が回復した。ただ、午前のうちはゆるい南風が残っているため、雲が低い可能性があるかもしれない。TAFという空港の天気予報によると、朝から22005kt BKN2500。雲が2500ってことは、山に向かって標高が高くなっていくWestでのテストは厳しいかもしれない。失速系のエアワークを見るために、地上から2500ftまで上がる必要があり、Westでは海抜で3500ftまで上がらないとこれが取れないからだ。さらに3000ft以上を飛ぶ際は雲から1000ft垂直距離をとらなければならないので、実際雲が4500ft以上ないと法律上飛べない。Selwynという海側の訓練空域に行く可能性もあるが、普通はがんばってWestにいくようだ。

朝一番にハンガーに行き、試験部屋に必要なものをきれいに並べる。すぐにハンガーに行き、飛行機を点検して表に出す。もう何百回も繰り返してきた動きだが、今日でチェロキーのプリフライトをするのも最後かもしれない。中へ戻ると試験官のDAVEがちょうど到着したという。急いで部屋に戻ると、Air New ZealandのIDを首からぶら下げた40代くらいのおっさんが中に座っていて、笑顔で手を差し出してきた。

「こんなにきちんと準備された部屋は初めてだ、ありがとう。」

好印象。自己紹介をして、早速log bookの確認。Ground workはすでに終わっているので、軽い口頭質問のみでさくさく進む。ちゃんとKDR(テスト間違えたところの復習レポート)の内容を一枚一枚確認している。私は自分が間違えたところ以外に、関連項目も含めてまとめてあったのでここでも好印象。ひーこらいってやった甲斐があったってもんだ。フライトテストの説明では、リラックスして、普段どおりの実力を出せばいい、NO TRICKSだと。

Peterとは大違いだ。

ひととおりのチェックを終えたあと、今日はSelwynにいこうといわれる。雲が低いので予想はしていたが、本当にきたか。あまりForced Landingの練習をしていないエリアだったが、言い訳はできない。5分でレセプションといわれる。フライトのAuthorizationもTWRへのNotificationもすぐにできるように準備していた。時間ぴったりにDaveが現れ、レセプションを出る。ここまでは上出来だ。

外に出て飛行機まで歩いていく間に、Pax Briefing(お客さんへの注意事項の説明) をすることになっていたが、省略していいという。練習してきたのに残念だ。その代わり彼がどんな仕事をしているのかを聞いてみた。Air New ZealandでA320のキャプテンをしているという。先ほどからの態度や雰囲気からも感じるが、いかにもキャプテンという雰囲気だ。一言で言えば、

Peterとは大違いだ。笑 (Peterのことを嫌いだといっているわけではない、念為。)

プリフライトでは多少マニアックなところを聞かれたがチェロキーのエンジンベイ内にあるものはほとんどすべて把握していたので、問題なし。機体に目立つ塗装のはげを指摘して、こういう状態で飛行機を保管してはいけないな、と苦言を呈していた。トマホークやアルファと比べて、チェロキーは古い。ボディの表面にある直径1mmくらいの穴を指してなんだと聞かれたがわからなかった。よく見ると、小さな亀裂の末端にその穴は開いている。これは、整備士がこの小さな亀裂をそこでストップさせるために施した処理だという。見た目は仕方がないのかと思っていたが、確かにCorrosionは機体の強度にかかわってくる。よく整備されているが、そろそろ引退を考えるべきかもしれぬ。

機内に入り、あらためてPax Briefingを流す。ドア、緊急脱出手順、シートベルト、緊急用装備の説明、コントロールに触れないこと、機内は禁煙であること、今日のフライトの目的地、予想飛行時間、天候状況、その他の注意事項、、、旅客機に乗ったときにアナウンスされる内容と同じ内容だ。実はこれらは法律で定められている。チェロキーといえど例外ではない。ここからは普段どおり。自動的に体が動く。チェックリストをもれなくこなし、離陸前のBriefing で今日考えられるThreatを読み上げ、Max Performanceで離陸。

試験の項目にはないが、単なるTransit中にStraight and level, descend, climb という基本マニューバを繰り返し繰り返し要求され、VSIがとまるところまで完全にトリムを取りきることを強調された。一定の姿勢で一定のPerformanceでまっすぐ飛ぶこと。いかにもライン機のパイロットという感じだ。

Turn系をそつなくこなし、落ち着いたところでMax Rate Turn。私の得意技だ!!
     2011.10.18 Tuesday
今日のテストも延期。遠方から来るはずだった試験官は朝からBKN900の雲が出ているのをみて、学校に現われすらしなかった。まぁたしかに、この雲じゃぁな、とあきらめてエントランスから出た瞬間に、テスト空域のある西の空に光が差し、きれいな水色を見せ始めた。その辺にバナナの皮があったら、大急ぎで走っていって思いきりすっころびたい気分だ。まったく。

まぁ天気に文句をいってもしょうがない。こうなったらあと一本ソロで飛んで、得意のMAX RATE TURNを成功率、完成率ともに120%まで持ち上げよう。着眼点は「keep in balance」だ。最近はかなりいい調子でこのマニューバができてきたのだが、成功率が100%ではなかった。バンクを確立したあと、飛行機のノーズをずらさないように動かすと、ターン中にずれることはない。問題はエントリーのごく初期で、バランスが崩れていることがあり、飛行機が一瞬ヨーイング、揚力のベクトルの方向が微妙にずれて「いつも同じようにできない」という状況になっていたことだ。

ラダーでコントロールするべきヨーイング、それがぐじゃぐじゃになるのは、単発プロペラ機の特性を知っているにもかかわらず、実地に応用していないから。一方向に回転しているプロペラの反作用を考えれば、飛行機がどちらに旋回するときによりラダーを踏み込まなければいけないのかすぐわかるはずだ。それなのに、左右の旋回で同じようにラダーを踏むとはどういう了見か。

ちなみにMAX RATE TURNは、飛行機の最大性能を引き出してやる急旋回のことをいう。大きなバンク角をとり、翼が作り出す揚力のベクトルを旋回する方向に大きく傾ける。さらに操縦桿を引いてその大きさを目いっぱいまで引き出し、エンジン出力をフルパワーに。操縦桿を引くことで発生する大きな抵抗をパワーで打ち消すためだ。これらの要素を一緒にして、高度をビタ一文ずらさずにできるだけクイックに小さく回るのが、ゴール。このマニューバの目的は、緊急回避だ。雲やトラフィックをとっさによけたり、戦闘機でいえばミサイルをかわしたり、敵の旋回半径の内側に入って攻撃するための機動だ。

CPLの訓練は、教えてもらうというよりも針の穴を通すような繊細なコントロールを練習して、発見して、自分でうまくなっていくものだ。その練習も闇雲にやるのではなく、空力学(Principles Of Flight; POF)の理合を応用してうまくいかない原因を分析し、仮説を立ててそれを飛行機に乗って確かめる。自分の仮説が実証されてVSIが壊れているんじゃないかというレベルで高度をずらさずにターンできたときは、訓練空域の上空で孤独に顔がニヤけている。

うまくなり方もPPLのときとは明らかに違う。PPLのときは、確実に積み重ねた分だけ、少しずつうまくなる感じであったが、最近はフライトごとに伸び代そのものも増加率を持っているように感じる。要は、指数関数的に、最後になればなるほどぐあっと伸びる。そういうように感じる。面白い。

お金があったらいつまででも飛んでいたいなー。
     2011.10.14 Friday
本日、CPLのフライトテストのはずだったが、雲が低くて飛べず。初めてのテスト延期となった。前日、つまり一年前入学したのと同じ10月13日に受けたTAKAは無事合格、ちょうど一年とは。やるじゃねぇか。

天気が悪くても地上での口述・記述試験はできる。前回MEIRを受けたPeter爺さんが今回も試験官だった。私が答えている間、びったりと私の目を見て動かない。地上から独特のオーラをぶつけてくる。負けねぇ。この延期で彼と飛ぶことはなくなった。最後にもう一度挑戦したかったのだが、残念だ。次の予約は担当教官のクニさんが走り回ってなんとか火曜日に枠を確保してくれたが、試験官の最終確認待ち。もしかしたら帰る時期を延ばさないといけないかも知れぬ。


【NZ最高峰 Mt.Cookのふもと、Glenternnar。久々の(そしておそらく最後の)VFRクロカンには、お客さんを乗せていった。PIC(機長)という言葉の重みが、地球の重さと同じになる。この日はこんなにいい天気だったのに!!】


MEIRの後、双発のセネカから単発のチェロキーに乗り換えて早や3週間だ。この短い間に、しかし、発見したことは山ほど在る。

一番の収穫は、Attitude Flight の片鱗に手が届きかけていること。PPLのころからゴールにしていたテーマだが、max rate turnという急旋回のエアワークを練習しているうちに、発想の転換が起きた。

Attitude Flightとは大雑把に言えば、計器を見なくても思ったとおりに飛行機の姿勢を作って、高度と速度を維持することができる能力のことをいう。飛行機のノーズを水平線に対してある高さにセットすると、飛行機の姿勢が決まる。その姿勢は、翼に当たる風の角度を決め、その角度はそのときのスピードと相まって作り出される揚力の大きさを決める。その揚力が飛行機の重さとつりあうと、飛行機は上昇も下降もせず真っ直ぐ飛ぶことができる。

「外を見て飛ばせ」「Attitudeを見つけて、セットしろ」「計器を追うな」

この1年間でもう何度も何度も聞かされたインストラクションだが、飛行中は風もあるし、気圧や温度による空気の密度の違い、飛行機の個体差、そもそも山間部には水平線がないことなど、上記の釣り合いを崩す要因だらけだ。Attitudeといったって実はそんなのは外だけ見ていてはほんとうにはわからない。必ず計器とのクロスチェックでセットした姿勢が正しいかどうかをモニターしなければならないのだが、Attitudeセット、計器のモニター、Attitudeリセット、というサイクルを繰り返していくと、いつの間にか計器の針を追う動きになり、(そりゃそうだ)上記のインストラクションが来る日も来る日も繰り返される。アドバイスに従おうとすればするほど、Attitudeではなく計器の針を追う動きになってしまう。「計器を見なくても」というAttitude Flightのゴールそのものに矛盾を感じるようになる。ジレンマだ。


【Glenternnarには、Alfaで行った。360度パノラマだが、日陰がなくてすんげー暑かった。】


発想の転換とは、あえてまとめるとするれば、S&L中とTurn中に分けて考えることなのだが、自分で飛んでつかむしかないと言えばそうだ。私もそうだった。つかんだことのその結果を、CPLテストで出してこよう。


雲上がれこの。

     2011.10.01 Saturday
最後の試験が2週間後に迫っている。

その試験とは、CPL(Commercial Pilot Licence)。この資格を取って、NZでの訓練は終了。うわさによると、CPLのPETER(先回の記事に出てきた人です。。。)は、もっと怖いらしい。なるほど。まぁがんばろう。CPLでは双発機のセネカから離れて、単発機に戻る。そこで、こんな飛行機に乗ってみた!


【A2160 'Alfa'】

もともとフランスで作られていたR2160 ROBINという飛行機を、NZでライセンス生産したもの。なんとMADE IN New Zealandの飛行機だ。操縦桿がスティックタイプのもので、戦闘機のようだ。前から乗ってみたかったが、チェロキーに対して+$5/h、トマホークに対しては+$10/h。。。若干高いということで、XCの時は乗っていなかった。(といっても通常XCに使うWorrierと同じ値段。両者ともスピードが速いので、長い距離を飛ぶ場合はトマホークより安くつく場合がある。)

MEIRが終わった今、口座には16000ドルほど残っているという。双発機の時間をかなり抑えることができたのが大きい。お金の目処がついたのでAlfaに乗ってみたというわけだ。(ちなみに、訓練費の節約という点では、双発機の訓練をどれだけ抑えられるかが鍵だったが、本当はもっともっと双発機に乗りたかった。お金は節約できたが、何でもかんでもミニマムで行けばいいというわけではない。)


【操縦席はこんな感じ。】

これがまたものすごく面白い飛行機だ。

たとえばトマホークと比べると、翼が短く、エルロンが機軸に近いところについているのでバンクの際に機体がキビキビ動く。コントロールに遊びがない感じ。操縦桿の操作によく追随してくれるので飛行機との一体感がつかみやすく、楽しい。うむ、とにかく楽しいのだ。これぞ、飛行機。とばねぇ豚はただの豚である。



【新しく訓練の要件に加わった「Terrain awareness」というレッスン。山合いを低高度で飛び、そこにあるリスクを改めて認識させるのが目的らしい。教官との同乗教育が義務化されているこの訓練でAlfaを試してみたというわけだ。このビデオには載っていないが、さらに高度を下げ、フルパワーで地上から100ft(約30m)でぐねぐねに曲がった川を追え、といわれて飛ぶ訓練はレッドブルエアレースみたいでものすごく楽しかった。】


CPLの試験は、大きく2つに分かれている。ひとつは、クロスカントリー(XC)で、これは航法が主役。もうひとつは、旋回や不時着時の動作など、エアワークと呼ばれる飛行機の動きの正確さを試されるもの。そして、CPL XCはすでに終わっている。残るはエアワークの試験。通常はこの最後の試験のことを指して「CPL」と呼んでいる。

すぐにAlfaのType Rating(機種ごとの操縦資格)を取って、昨日までエアワークをやっていた。もともとアクロ用に設計され馬力のある飛行機なので、エアワークのひとつである「Max Rate Turn」をやると3Gくらい入ってスロットルに添えた手がかなりの重さになる。視界もいいし、このままAlfaでCPL試験をやってもよかった。そうした場合は、新しい飛行機に短時間で慣れるというテーマでCPL訓練をすることになる。それはそれでいい挑戦だろう。


【古巣、NZWL「ウエストメルトン」に再び。サマータイムも始まって5時以降も飛べる。人がいない。飛び放題。】


クロカンだろうが、エアワークだろうが、CPLというからには安全・定時・快適・経済 という、フライトの総合的なマネジメント力を見られるのは言うまでもない。要は、

「こいつを明日から金銭的な対価をもらって飛ぶパイロットにしていいのか??」

というのがポイントだ。航法の正確さ、マニューバの正確さなどは、このコンセプトの結果として出てくるものに過ぎない。だから、本当は使う機体はどれでもよかった。

いろいろ考えた結果、最後のCPLの試験はPA28-140チェロキーに戻ることにした。理由は金曜日にこの150馬力のチェロキーに乗って、PPLの頃を思い出したからだ。Alfaとは異なった意味で、一体感を感じる飛行機。この飛行機で、1年間の自分の成長を定点評価してみたい。兎に角、いい飛行機なんです。チェロキー。

後2週間で、目指せ±0ft!



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