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     2018.05.04 Friday

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     2015.09.06 Sunday
ある金曜日の午後5時。

早々に仕事を切り上げた他のスタッフ達は、二階のバーで盛り上がっているに違いない。特に今日は新しく就任した我々のCFI(Chief Flying Instructor)もいるだろうから私も上にいってひとつ挨拶でもしてこようかと、ネクタイを外して階段を上がりかけたのだが、そこで中国からきたある顔なじみの学生と立ち話になった。

彼は、中国のあるエアラインの準キャデットのような扱いでうちの学校に来ていて、先日MEIR(多発計器飛行証明)とCPLを終えてもう直ぐ帰国するらしい。いろいろ話しているうちに、日本ではどうやってパイロットになるんだ、と彼が言うので、日本人学生が辿る道のりを説明した。

日本人学生はニュージーランドの訓練が終わった後、就職できるのかどうか保障がないまま1000万円を日本の飛行機学校に納め、免許の書き換えをしなければならない。この訓練は、小型機でクロスカントリーとIFを、つまり海外でやったのと同じ内容のことをもう一度日本でやれというのだ。それで1000万円。[1] そして、雇われてもすぐに訓練を開始するでもなく、1年以上パイロットではない部署に回され、給料は会社にもよるが、おおむね副操縦士で年収6-800万くらいじゃないだろうか。

そうやって軽く説明すると、最初はどうしても分かってもらえなかった。ICAO加盟国同士でどうしてそんなに長い訓練が必要なのか、とか、あぁ、訓練ってあれでしょ、エアバスのレーティングとかそう言う話だよね?とか、とにかく話が噛み合ない。やっと日本ではまずライセンスの書き換えに小型機の訓練を1000万円払ってやり直さなくては行けないんだ、という特殊事情を理解してもらっても、学生がその訓練資金を自腹で払うということを理解させるのがさらに大変だった。彼曰く、

「パイロットが足りないのになんで航空会社が訓練費用を出してやらないんだ?」

と。そうだね、確かにね、このままじゃパイロット中国に取られちゃうかもね。と冗談まじりに言うと、真顔で本当にそうだよ、と。

エージェントを紹介してやろうか、と言われた。彼は、パイロットを航空会社に紹介する中国のエージェントに登録し、提示された複数の航空会社から行き先を決めたらしい。外国人もいるのか、と聞くと、わんさかいるという。外国でパイロットになる際にいつも足かせになるビザの問題も、会社が全部やってくれるらしい。条件はうちの学校の学費と同じくらいの登録料と、航空会社から内定をもらった状態でエアバスかボーイングのレーテイングを自分で取ってくること、だそうだ。総額で1000万円くらいだろうか。世の中そんな上手い話があるわけない。月収はNZDに換算して約20000ドルだという。ふん、20万円ね、まぁ駆け出しならそんなところだろう。。。。


2ドル?


年収?いや、月収って言った?

「もう一回聞くけど年収だよね?」

「いや、月収。20000ドルの、月収。」


まじかよ!

それじゃぁ登録料とレーティング費用なんか半年で返せてしまうぞ、と思ったが、実際にそうらしい。どうやら、中国ではとんでもないレベルの人材不足が起きていて、ブラックホール状態なのかもしれない。と、ここでハタと思い到る。

日本人の学生にも興味があるやついるんじゃないのかな。

だって、いくら母国とはいえ同じ1000万円払って、就職の保障もないまま訓練をやって、そこそこの給料をもらってパイロットをやるくらいなら、条件のいい外国で、パイロットとして自分の人生の時間を投資しようと考える人が出てきてもおかしくない。日本の航空業界は、そういう桁違いの条件でパイロットを囲い込んでいる国がすぐ近くにあるということをよく考えた方がいい。

ただ、もちもんデメリットがない訳ではない。ある中国の航空会社は、終身雇用と引き換えに、もし会社を辞めた場合は1億円以上の違約金を払わなければならないらしい。一度入ったが最後、出られないじゃシャレにならん。カルチャーも違うし、なにより民主主義国家でないことのカントリーリスクはちょっと計算できないものがある。(後で聞いた話によると、外国人にはこれは適用されないらしい。)

ふむ、と一通り思考をグルグルと巡らせて彼との話に戻る。

聞くと、今からフライトだという。金曜の午後5時に、訓練も終わった学生がフライト?しかも、よりによって学校で最も料金が高い双発機のセネカで、だ。

「1ヶ月前に会社の要件が変わって、A320で飛ぶにはトータルで500時間の飛行経験が必要になったんだ」

なるほど。おそらく保険とかそういう理由だろう。帰国日まで日があるから、飛んでおけと会社から言われたらしい。それでも、帰国日までにあと300時間以上飛べる訳ではないだろう、どうすんのと聞くと

「あぁ、会社がどこかにGAを紹介してくれて、そこで貯めろってさ。」

それは素晴らしい。飛行機は?172?

「DiamondのDA42っていうやつ。」

うーむ、所変われば常識も変わるやね。




[1] 私が日本でやらなかったのもここにどうしても納得できなかった、ということが大きい。
     2012.12.25 Tuesday
退職祝いでいただいた図書カード(3000円分も!同僚は私が何をもらったら一番うれしがるかよくわかっていたようだ)カードを握りしめ、本屋をホクホク顔で物色していると懐かしい本が目に入ってきた。



このブログをやり始めた頃を思い出した。実は、私が社会人からパイロットを目指すきっかけになった本もこの「THE PILOT」だった。仕事帰りに立ち寄った、田んぼの中にある宮脇書店でふと目に入ったのだ。私が見たものは2008だから、もう社会人からパイロットを目指してから5年経つことになる。[1]




あのころは華やかなグッドラック的世界を妄想してヘラヘラと真面目に、航空会社の自社養成を受けていたっけ。JEXとJAIRの最終敗退が最高成績[2]。あのときはずいぶんと落ち込み、当時の記事もクラい記事ばかりだ。でも、今になって思うのは、今の状況もそんなに悪くはないということ。まぁ考えてみれば当たり前だ。どんな結果が出ても、目の前の状況に合わせて自分のやりたいことに近づく為に動くのだから。どのみち手持ちの駒から最前の策を選び出すことには変わりない。勝手に終わりにしてはいけない。[3] 色んな色の絵の具でぐちゃぐちゃになったモダンアートのごとき紆余曲折が私の人生の本分なのだろう、それを美しいと思うかどうか?ピカソなら分かってくれるんじゃないかな!笑

さて、THE PILOT2013の中身をぱらぱらと見てみると、民間の学校、特に大学が増えた。東海大、桜美林大はもちろん、法政大や崇城大などと続々と4年生大学がパイロット養成コースをスタートさせている。私の時の2008年はJALとANA及びその系列会社が行う自社養成制度でほとんどのページが埋め尽くされていたが、今は影も形もない。なんというか、時代の流れを感じる。大河ドラマの平 清盛[4]が終わったばかりだが、諸行無常とはよくいったものだ。

航空会社がリーマンショックで自社養成を維持する体力がなくなっていたのがこの5年の話。パイロットの就職は氷河期だなんてよくいわれていた。そしてここへきてLCCが進出し、一気にパイロット不足に。今になって騒いでいるけど、さもありなん、である。

■関税か!
景気の波は読めない。パイロットになりたい人は、景気が悪いときに訓練しておいていざ応募が来たときに備えて準備しておけ!とよくいわれる。[5]それは正しいことなんだけど、その準備のために

「訓練費用1300万円払え、いつ就職できるか分からないけど!」

というのが今、日本で自費でパイロットになる訓練をしようとする人たち(正確にはちょっと前の人たちか)が置かれている状況だ。[6] 私のように社会人から一念発起して訓練に臨む人の中には、失敗したら人生がめちゃくちゃになりかねない金銭的リスクを背負い込まなければ、パイロットへの情熱を燃やし続けることはできない人もいる(と思う)。そんな状況でパイロットが足りないと言われても、、そりゃぁそうだろうとしか言いようが無い。やる気のある人はたくさんいる。パイロットも足りない。ところが現状をみるとまるでパイロットの世界に入ってくるな!と言われているようだ(と私は感じた)。個人的に、当局はパイロットの養成計画を真面目に考えてるのかしらと疑問に思う。

日本もニュージーランドも国際民間航空機関ICAOの国際基準にのっとって事業用操縦士(CPL)と双発計器飛行証明(MEIR)のスタンダードが決まっているはずだ。[7]国際的に同じ基準で交付された免許を2国間で書き換えるのに1000万円かかる免許があったら教えてほしい。[8]

100歩譲ってこれが、ジェット機に移行するために使われるお金だといわれれば少しは納得もいくが[9]そうではなく、海外で取ってきた小型機の免許の一部を日本の同じ資格に書き換えるためだけに使われるというのだ。NZで訓練中、外国人の友達に日本に帰ったらどうするんだ?という風によく聞かれたが、日本でCPLとMEIRのコンバージョンに15万NZドル(NZの費用はPPL CPL MEIRで7万NZドル=約450万円くらい 米国ならもっと安いかも)かかるということを合理的に説明することは不可能だった。[10]



■先を行く人たち
なんて愚痴りながらページをめくっていくとニュージーランド特集とある。ふむ、ニュージーランドの空で楽しくも厳しい訓練をか。うむ、イギリス式の細かい厳しい訓練か。なるほど、JAAは日本みたいに細かいって言うしな、なんだかんだ言って、みんながんばっているんだなー。

その中に私のPPL CPLを担当してくれた師匠[11]そっくりな人がいてびっくりした。私の師匠は学生が飛行機について分からないというとすぐにメカニックに引きずっていって現物を見ながら話をしたり、飛行機からの前方視界がいかに制限されているかを教える為に、機内に学生を残して自らはハンガー内を中腰で飛行機からすり足で下がっていったり、生徒と一緒に地面に寝っころがって飛行機の下側のJack-up pointを指して「○○ビ」とか言っ とにかくそういう「わかりやすさ」を常に研究している人だった。私がスランプを克服できたのもこれが本当に大きい。多くの人が教官という仕事をエアラインへのステップアップと捉えているなかで、教官であることそのものを楽しんでいる師匠の姿勢は、私の進路選択に潜在的に多大な影響を与えたことは間違いない。

私の前にいる人もどんどんステップアップしている。愚痴もほどほどに、私も後ろに続く人の為に止まるわけにはいかないのである。(でもおかしいと思っていることは本当。)みんなはどんな気持ちで訓練しているんだろうか。




1. 航空学生を受けたときから数えるともう10年以上だ。
2. 4次から多いところでは6次試験まである。取り柄の無い自分を如何に魅力的に見せるかという技術は上手くなった。笑
3. 終わりにしようとしていたのは私の中の一部の私だったが。
4. 視聴率悪かったらしいけど、私は好きでした。
5. 自社養成や航大は別。彼らは最初に入れなかったらパイロットは諦めろ!だ。
6. 日本でパイロットになるにはいろいろな道があるが、費用がン千万ということには変わりはない。航大なら税金が、自社養成なら会社が、大学なら親が払う。繰り返すが、小型機の免許までで、だ。
7. 国によって飛び方に多少の違いがあるのは認める。でも少なくとも私に取って1000万円は「多少」の金ではない。日本の飛び方は特別だから「多少」ではないというのなら、それはいよいよ問題である。その場合はICAOに加入する資格は無い。
8. ニュージーランドの自動車運転免許は日本の免許から(条件付きで)52.1NZドル(2012.12.25現在)+翻訳料(45NZドルくらい)で書き換えられる。
9. 実際にはジェット機のタイプレーティングなんか120万円もあれば取れるので全く合点はいかないけど。
10. とりあえず「俺たちは日本に関税1000万円払うとエアラインパイロットになる権利がもらえるんだ。」という説明で納得してもらった。
11. MEIRを担当してくれた師匠はまた全然違うタイプ。「学生は訓練の最初から最後まで徹頭徹尾悩んでいるのにいつの間にかそのレベルがテスト合格以上の次元になっていて当然テストは合格」というイリュージョンを起こす人。またこのブログに度々搭乗するエアラインに進んだ師匠は主に精神面での支えに。私のスキルはこんな強力な布陣の元に培われた。

     2012.11.16 Friday
子供に夢は何ですかと聞けば、皆たいていこう答えるとおもう。

「ぼくの夢は、〜になることだい!」

で、実際にその夢とやらにコミットし始めるとその成りがたさにびっくりする。夢が破れる瞬間を想像することが恐怖なわけだが、この半ば自動的な「夢」の捉え方は果たして夢をかなえるのに良い方法なんだろうか。

私は今、まさにそれにコミットしている段階だが、「パイロットになりたい」と強く思うことはこの夢を叶えるのに必ずしもよい選択肢ではないのではないか。そう思う。まずはインストラクターになって、少し後にB3のコクピットに座るぞ!と、ポジションが欲しいと思うことは、ある時期強力なモチベーション源になるけれど、それが手に入らなかったらどうしよう、という恐怖が誘導抵抗のように常につきまとう。翼の最大揚力を引き出そうと仰角を上げて行くときに似ている。揚力が大きいほど、抵抗も大きくなる。


ポジションか、好奇心か。
一方、そういう抵抗から自由な人もいる。

今週の週間モーニングには、バガボンドが掲載されている[1]。吉岡一門を殲滅したあと、その残党に追われながら放浪している武蔵は今、とある痩せた土地を持つ農村に落ち着いている。そこで伊織という孤児の畑を手伝っている。そこへ細川藩の侍がやってきて、剣術指南役としての仕官をオファーするのだが、武蔵はそれを断った。その場に寝転び、「強くなるのはやめた」と。強く「なる」のではなく、強く「ある」ことにしたという。強く「なる」にはどこかに行ってだれかに認められなければならないが、強く「ある」ことが出来ればどこにいるかは関係ない。したがってここに、このいびつな農村にこのままいる、というのだ。なんとまぁひねくれたやつよ。

武士の家計簿」は、江戸末期の加賀の話だ。そこに出てくる侍は、兵士ではなく御算用者と呼ばれる役人であり、下級武士である彼らのうち、大半の者の関心ごとはやっぱり出世というポジションだ。ところが主人公の猪山直之にあっては違う。(もちろん誇張はあるだろうが)彼にとって重要なのは、出世という椅子取りゲームではなく、ただ「そろばんをちゃんとやりたい」というミもフタもない知的好奇心だけだ。なんだか、アインシュタインみたいだ。

宮本武蔵や猪山直之やアインシュタインのような態度は、夢はかなえるものという前提そのものをひっくり返す。夢はかなえるものではなく、楽しむものであるということか。そう視点を変えれば、失うことに対する恐怖という誘導抵抗を限りなく小さくできる。[2] そういう態度で私はパイロットをやっていたいと思う。




1. 作者多忙につき不定期掲載なのだ。
2. さぞ細長ーいアスペクト比のでかーい翼なんだろう。
     2012.08.14 Tuesday
私がニュージーランドで教官をやると決めたころから、そのタイミングを待っていたかのように続々と日本での採用募集が始まった。。。

Peach Aviation株式会社(Peach) 乗員部門 副操縦士候補要員


スカイネットアジア航空株式会社(ソラシドエア) 運行乗務員(副操縦士要員)


副操縦士訓練生候補者募集要項 スカイマーク


北海道エアシステム(HAC) SAAB340B型機 運航乗務員(副操縦士) 募集要項



なんですか、いじめですかこれは。orz (笑)

まぁこういうことも予想できたけど、実際に目の当たりにすると正直かなりこたえる。でもこれらの募集に応募するには、もちろん日本の事業用操縦士と計器飛行証明が必要だ。つまり、どのみち私は今すぐ動くことはできない。日本の学校のコンバージョン訓練はどこも大体1年弱だから、対象となるのは、次の募集かタイミングによってはその次だ。それより何より、多額の訓練資金が必要だ。これから訓練を始める人のために、海外の訓練を終わった後にお金がどのくらい必要かちょっと計算してみよう。


【日本でコンバージョンをする場合】
手元にある朝日航空の見積もり(一般配布されているものです)によると

 事業用操縦士:約277万円(海外CPLあり)
 計器飛行証明:約586万円(海外計器あり・朝日の事業用を卒業した場合のみ)
 合計:863万円

八尾に1年住むとなると、がんばって家賃4万で計算しても月10万は必要だろうから生活費が+120万よって

983万円。

私は1年働いて大体230万円くらい貯金する予定だから、調達が必要なのは


983万 - 230万 = 753万円。


朝日航空の提携オリコローンで出した見積もりは(人によって家族構成や信用リスクが異なるのであくまで参考です)は450万円。


753万 - 450万 = 303万円。


あと300万円たんねぇ!!どこだ!どこに落ちている300萬!!


この300万が何とか工面できれば(国の教育ローンやJA、地域信用金庫の教育ローンなどが狙い目だ)これから(多分)始まるLCCのパイロット採用の波に上手く当たるかも知れない。ピーチが予想より早く未経験者の募集を初めてびっくりしている。そのうちジェットスターも続くだろう。リーマンショックのような天変地異が起きなければ。


【海外で教官から這い上がっていく場合】
せっかくなので海外の場合の見積もりを書いておくと

C-catコース (約3ヶ月間):約2万NZドル = 128万円(1ドル=64円計算)
生活費:3ヶ月25万円 (2011年度の1年の自分の実績が約100万円だったことから)
車購入:10万円
航空機チケット:約7.5万円(片道・LCCジェットスター1月末渡航)

合計 = 約170万円(3ヶ月)

230万 - 170万 = 60万円(生活費約7ヶ月分)

さらに、もしC-cat試験に1回落ちてしまった場合の費用を考えておく。私がCPLで一度フェイルしたときのお金を参考にすると▲4000ドル (= 約26万)

60万 - 26万 = 34万円(生活費4ヶ月分)

帰りのチケット代7.5万円(仮)

34万 - 8万 = 26万円(生活費3ヶ月分)


【試験に落ちてもとりあえず大丈夫という兵站戦略】
試験に落ちると生活費の3ヶ月分がぶっ飛ぶ(!)が、一応1回の試験に落ちることを想定しても就職活動が3ヶ月はできる兵站戦略になっている。この間に教官として採用してもらい、なんとか生活に必要なキャッシュフローが生み出せれば、作戦は成功。兵站が切れれば、作戦失敗となり、撤退となる。うーん、こうなるとかなりきつい。やっぱり人並みの生活をすることを考えると、C-catは落とせない。あとは、日本から持っていく最初の貯金額をどれだけ増やせるかが鍵だ。本業以外に個人的に請けている翻訳の仕事や、最近見始めたこういう仕事で(Webデザインや広告バナーの作成等が得意な人は有利かも)できるだけ多くお金を貯めていく必要がある。


さあ大変だ。












     2012.08.13 Monday
訓練をしていたとき、ジョンという、優秀な同期がいた。彼は、何の事情だか忘れたが同期の中でも少し遅くフライトを始めたにも関わらず、ガンガン飛んで、さっさと教官になった。確か同期の中で2番目くらいだった。当時から、教官みたいな雰囲気を醸し出していて私より2歳年下だけどずいぶんと貫禄があった。

最近、自分が教官になることを考えて、制服を着た自分を想像してみて、その様子を外から見てみるとジョンみたいな貫禄がイマイチ足りないことに気づく。多分、原因は今までやってきた訓練への態度にあるんだろうと思う。


【日本人とKIWIの訓練】

私は最初日本を目指していたから、とにかく上手くならなければいけないとおもった。私の、日本に帰った後の戦略は、「日本で一番大きい学校に入って、その中で『先頭集団』に入り、チャンスをつかむ」だった。その為に1年間という長めの(やろうと思えば海外で短期で取ることはできたし、お金も半分で済む。)期間、日本とよく似た気候のニュージーランドでみっちりやった。それも全部、日本を見据えて誰よりも「上手くなる為」だった。

基本的にそういう姿勢だから、自己評価は低かった。やらなければいけないことはたくさんあって、その各々に相当高い水準の目標を置いていたから無理もない。それはそれで短期間で上手くなることには功を奏したと思う。一番お金のかかる双発IFRの訓練を短期間で終えられたのは、仲間と協力し合ったのもそうだがその前提として、自分自身が技量の向上を追求し続ける姿勢を崩さなかった為だろう。でも「できない自分」と向き合い続けるのは結構ストレスでもあった。

一方で、KIWI(ニュージーランド人)はどうだ。みんなへらへらしていて(笑)基本的にリラックスしている。もちろん、ちゃんと勉強はするし、やることはしっかりやるけど、日本人みたいにデブリーフィングを何時間もやって自分のできることとできないことの切り分けをしたりはしない。さっさと家に帰り、サイダーでも飲みながらFacebookに今日のフライトの写真をUPしている。

だから当然試験に落ちるやつも出てくる。実際、私がMEIRの試験を受けたときは、直近の3人が連続でフェイルしていた。認知的不協和に苦しんできた訓練と引き換えに、その態度が報われた気がしたのも確かだ。

でもKIWIの中でもジョンみたいなやつがいるわけだ。そして、ジョンが日本人みたいにやっていたかというと、そうではなかった。真面目ではあったが「できない自分」に苦しみながら技量を向上させている印象は微塵もなかった。むしろ自信満々で、フェイズが進んでいくにつれ今すぐ教官ができるんじゃないかという雰囲気をまとい始めていた。


【上手くなることと責任をもつこと】

私は、前述した背景から「上手くなる」ことを目標にした。ジョンは、おそらく「まずは教官になる」ことを目標にした。ジョンと私を隔てているものは、絶対にやらなければいけないことと、できればやるといいけどやらなくてもいいことをドライに線引きすることだと思う。

「上手くなる」という目標は、実は目標として適切でない。これはパイロット人生を通じた理念でありこそすれ、目標にはなり得ない。その気になれば、引退するまで上手くなり続けることはできるだろう。つまり、上手くなることを目標としてしまうとある時点で達成を宣言してみたところで、「できればこれもやったほうがいい」ということが際限なく出てくる。線引きができない。マックスレートターンでVSIがぶれないとか、推測航法でETAが30秒単位であわせられるとか、確かにそういう「上手さ」も自信にはなるけど、それを追求し続けている間は「貫禄」は生まれてこない。

あくまで想像だけど、ジョンはシラバスを参考にテストに向けての到達目標を決めて、自分のパフォーマンスが再現性をもってそれを達成できたらよしとしていたのかもしれない。技量の向上を際限なく追求する「学生」の立場をある地点でやめて、自分がやってきたことに積極的に自信を持つ。その自信はいつか貫禄となってにじみだしてきて「あいつなら教官できるだろう」という空気をまとうことに成功した。そして私がVSIやETAに一喜一憂している間に、教官コースを終えて「予定通り」教官になった。


【最初の仕事の性格が訓練への態度を規定する】

でも私のやり方は、日本を目指す場合は合理的だった。就職試験ではまずSIMで技量についてふるいにかけられるし、副操縦士となったら今度は経験豊富な機長の技を「盗んで」自分の糧にしていく。自分より圧倒的に多くの情報を持つ人たちが隣にいる環境に飛び込んで、いかにそれを吸収するか。それがCADETたる新米副操縦士のもつべき資質だ。会社全体で若輩者を育てていく日本の企業の特徴が見える。

一方でKIWIは最初の就職がエアラインということはあり得ないから、まずは教官をやるわけだが、そこにはそれ以上自分を育ててくれる枠組みはない。教官トレーニングが終わったら、自分より下手な人が隣に乗る日々が続く。そういう環境にあってはだからもしかしたら「上手くなろう」という意識が邪魔になる可能性がある。教官の仕事は「上手くなること」ではなく「学生の命に責任を持つこと」だからだ。最初の仕事がジェット機の副操縦士か、小型機の教官かという違いが、日本人とKIWIの違いを生んでいるように感じる。

1年前とは少し意識を変える必要がありそうだ。でーんと構えることにしよう。












     2012.07.15 Sunday
航空会社の特集がテレビに映るとき、興味があるのでよく見るのだが、複雑な気持ちになる。

特にパイロット特集。操縦士として出てくる精悍な顔つきをした人たちは皆だいたい私と同じ年齢だ。彼らはとにもかくにも日本の航空業界という大きなフィールドの中に入って、仕事をし、給料を得ている。20代前半でしっかりと潮流に乗って、お金をかけた良い機材と訓練で一流になっていく。




私が、前の会社の先輩から翻訳の仕事を2日という納期でもらって週末つぶしてヒーコラ言っている間も、彼らは航空業界に貢献し続けている。給料だって違う。私が稼ぎだす給料の何倍のお金をもらって、大きな飛行機を飛ばして、盤石の人生を送っておられるようだ。


私はいったい何をやっているんだろうか、と思う。


人生は短い。30歳目前になって今の自分の立ち位置を俯瞰してみると、その疑問は現実的な恐怖にさえなる。でも、最近は日本の航空会社も積極的に自費で訓練してきた社会人経験のあるパイロットを訓練生として雇い始めている。がんばってパイロットになれれば、今からだって一流になることは全くもって不可能ではない。実際に私の先輩も順調に進んでいるようだ。日本でやれば、今からでも間に合うのだ。


わからないのは、私がなぜか日本の航空会社で一流を目指す道を選ばなかったということだ。


私はどうしてニュージーランドに戻ることを決めたのだろうか。かの地で教官からエアラインを目指すということは、わざわざ時間がかかるやり方を選ぶということだ。「一流」のなり方、過程が違う。ニュージーランド(というか日本以外)では、小型機で飛行時間をためて、時間がたまったら初めてエアラインの募集に手が届く。だいたい日本の訓練生がエアラインに応募できる時間のざっと3倍強。そして、機長としてどんなオペレーションをしてきたかを見られる。実質的にはその時間というのは最低ラインなので、さらにその倍以上飛行経験が必要とされることも少なくない。



小型機というのはお客さんがすぐ隣にいる。教官なんてまさにそうだ。ペーペーのときから自分が乗員乗客の最後の砦になる。それは、副操縦士としてライン機に乗るのとは違う感覚だろう。自分の経験からもそれは確かに言える。つまり機長として誰かを乗せて、その全責任を自分が負うという経験をどれだけしてきたか。少なくともニュージーランドでは、それをエアラインの仕事に就くスタートラインに据えている。ゆっくり、時間をかけてその責任の重さを自分の糧にしてきた人が、エアラインに行けるようになっている。



だから、小型機の教官というのはだいたい若い人の仕事なのだ。当然、給料も安い。マックのバイトより安い。笑


こんな状況に私はなぜあえて飛び込むのだろう。なんで最短距離を行かないのだろう。パイロットになりたいのなら、さっさと日本の航空会社に雇われることが普通に考えたら一番の近道なのに。(もちろんそれだってとても大変なことだけど。)このことについては、帰国してからさんざん考えた。言語化した理由もそれなりにある。でも、最もコアな部分は、もう直感としか言いようがない。私には、多分、こっちのほうがいいのだ、なんだか良くわからないが、自分の"intuition"がそう言っている。それが、宇宙に「へこみ」をつける最前の方法なのだと。それに従うには、確かに勇気が必要だ。



今は恐いけれど、多分これが正解なんだ。目の前のことに集中しよう。あぁ、納期が。。。











     2012.07.12 Thursday
手段と運用について

前回の記事で紹介したブログの炊事のロジスティクスという記事で、こんなことが書いてあった。


「「自炊で1年間を乗り切っていく」ことは、恐らくは相当に高度な知的作業であって、今日から1週間どんなものを食べ、それにはどんな材料が必要で、今日の買い物で何を買い、それをどう加工すれば一定期間の保存が利くのか、そのあたりを学ぶためには「クックパッド」では足りない気がする。」


前回の記事で書いた教科書に書かれていないけど存在する情報とは、まさにそういうことで、料理本を見ながら料理を作ることはできても、そのときに買った材料で1週間、1ヶ月、1年間と違うレシピでまわす、というのはまた違う技術がいる。筆者は、これを「手段と運用」と表現されている。


例えば、私がNZの学校に行ったときも似たようなことは経験していて、訓練そのものよりスムーズに渡航するということ自体、一大プロジェクトかと思えるほど大変だった。思いつくだけでも、

・学生ビザ取得
・NZドルへの両替(FX)
・シティバンク口座開設
・入学申し込み
・入学金の送金
・入学証明入手
・宿泊証明入手
・残高証明 
・健康診断
・ビザ
・渡航
・航空身体検査
・退職手続き
・自家用車売却
・失業保険手続き
・自家用操縦士法規受験
・気象予報士受験
・健康保険手続き
・年金手続き
・住民票取得
・住民票を抜く手続き
・航空チケット手配
・無犯罪証明取得
・国際免許証取得
・・・・

運用のプラットフォーム

ビザなどの優先順位が高いものからきわめて個人的な優先度の低いものまで、これだけのことを一緒くたに並行して進める必要があった。さらに、これらは複雑に絡み合っていて、例えばビザ取得までに残高証明を取得しなければ行けないが学費を送信してしまうと一時的に口座のお金が減るので、、、とか、ビザ申請のためにパスポートを大使館に預けてしまうと、他にパスポートが必要とされるタスク(無犯罪証明とか)を進めることができなくなる等。こういうのは、やってみて初めてわかるので、まさに「運用」を知らなければ苦労するところだろう。ただ南半球の小さな国に移動するだけで、こんなにやることがあるのだ。

私はこのとき、ガントチャートという製造業でよく使われるプロジェクト推進用のカレンダーを、自分でアレンジして使ってみた。別にすごいマクロを組んだりしているわけではなくて、適当に罫線を引いただけのただのエクセルシートだけど、そのときの経験は、今回再渡航を計画するにあたり大変役に立った。何週間もかかっていたスケジュール調整が、1時間でできてしまう。工夫したのは、工数の見積もりを省いたことと、最小単位を日単位ではなく、週単位にしたこと。このくらいのラフさがないと、決まっていないイベントを大胆に置いていけない。経験で得た運用を使い回すと、仕事が回りだす。このエクセルシートが、私にとって「運用」だったのだ。

ということで、試しに下記に置いてみた。よかったらお試しを。ただし、ビザ関係については資格のある人しか案内ができないことになっているようです。具体的な内容については、大使館のホームページを参照ください。また、このファイルを使用して発生したいかなる損失についても、私は責任を負いかねます。ご自分の責任においてご使用ください。(念為)

置き場所はこちら




ちなみに本当のガントチャートの作り方はこちら。ダウンロードもできるらしい。(ウィキペディアより)



すげー。5分19秒で作ってるぞ、私のなんか使うまでもないかも。笑 







     2012.07.11 Wednesday
最近首ったけになっているあるブログについて。

こちらのブログです。きっかけは、翻訳の仕事中に「ロバストネス」という概念について調べていて、グーグル先生に導かれてたどり着いた。読んでいくうちに頭が翻訳からパイロットになってしまい、仕事に支障が出そうになったので、タイトルをメモして家で読みあさった。現在、2008年の12月まで読んだ。筆者は医師の方で、危機管理とか過誤の防止とか、しかもそれを、経験の浅い研修医でもできるようにするとか、最近私が考えていたこととよくフィットした。記事の中に見出しをつけるスタイルも、こちらのブログの影響だ。こんな風に→


やってみないとわからないこと
考えてみれば、医者とパイロットというのは「時間的プレッシャーの中で人命に関わる意思決定をする」という点でいろいろと共通点が多い気がする。先日、池袋のジュンク堂でふと思い出して普段は行かない医療、看護系の棚に行くと、研修医のためのマニュアルというのがたくさん出ていた。「初めての当直」とか、「症状別当直マニュアル」とかいうタイトルを見て、ああ、パイロットにもこういうのがあればいいのにな、と思った。

どこの業界でもそうだろうけど、知識を見て聞いただけですぐに仕事ができるようになるかというとそんなことはない。教科書に書いてある文章の行間にある情報というのは確かにあって、それが見えない人はテストでいい点をとっても、実際の運航はできない。運航を問題なく遂行するには、燃料を入れて、フライトプランを作って、プリフライト点検をして、、、といろいろとやることがある。こういうレベルでの情報は教科書に書いてあるんだけどたとえば、

「動きながらやるTaxi checkのときに各計器へ目を配るリズム」とか

「PAX席のシートベルト確認では、ベルトを強く握って揺するとお客さんにケアしている印象を与える」とか

「不時着時はバカみたいにゆっくりと、むしろルンルンで楽しそうに聞こえる無線を入れることで落ち着きを取り戻せる」とか

「お客さんに不安を与えないプロっぽい地図の見方」とか


そういうあほみたいなことは、書いていない。あほみたいだから。

だが、一見あほにみえることが、運航をスムースにする上で実は重要だったりする。こういうのがないと、点と点がつながったような仕事になってしまうので、フライトがどこかぎこちない。でもそれはなぜかは、教科書には書いていない。先日のジュンク堂で見たマニュアルには、どちらかと言えばそういう「教科書の行間」をついているようなものが多かったように思う。いろいろあるのだろうけど。

私のこのブログは、そういうニッチな情報を埋めていけるといいな、なんて思って書いているところがある。それは飛行機の運航レベルから、訓練中の生活レベルまで。空には素人だった20代後半の社会人がパイロットを目指すと、こういうことになりました、というのを日記形式で公開するのは、私のストレス発散という意味もあるが「手段」ではなく「運用」を公開したいと思っているところがあるのだ。

手段と運用の違い?それはどういうことかというと、、、続きは次回。











     2012.07.10 Tuesday
PPLの頃のブログを読み返していて気づいたこと。

なぜパイロットになりたいのか
とにかく、いろいろと考えているようだ。何せ、飛行時間3時間でうまく飛ばせないことに自己嫌悪を感じ始めている。凄まじいまじめっぷりだ。なんとつまらん男だろう。

私はパイロットになろうとして一度失敗していた人間だから、パイロットになることに対して、お金欲しいからとか、女の子にもてたいからとか、そういうフジュンな動機をあまり考えたことがなかった。(本当だって!笑) ただただパイロットになりたかった。で、そんなフジュンなことを考えてるやつは「なりたくてもなれない」というつらいことを経験したことがない人で、本当のパイロットじゃないんだと思っていたフシもある。でも、もちろんそんなことはない。

世の中には、死ぬほどパイロットになりたいと思っていなくてもなっている人や、女の子にもてたいからパイロットを目指した人というのは、きっといるだろう。運試しに自社養成を受けて、そのままうまくいった人もいるかもしれない。そして現実にはそういう人たちが今日も仕事をしているから、飛行機が飛んでいるわけだ。つまり「本当の」パイロットは彼らなのだ。多分、そういう人たちに対する嫉妬心があったのだと思う。

最近はだいぶ冷静になって、そういう「下世話な動機」というのもこれはこれで結構重要だとおもえてきた。そういう視点に立って思い出したのは、教官から言われたこんなこと。「トップガンをみたとか、木村拓哉になって柴咲コウみたいな整備士とハワイに行くとかどんなくだらないことでもいいから、なぜパイロットになるのか、という問いへのシンプルな答えを持っていた方がいい。」確か、そんな内容だったと思う。


言われたときは、実はそんなにピンとこなかった。


だって、私が「死ぬほど」パイロットになりたいというのは自明もいいところで、今更パイロット以外の仕事は考えられないし、自社養成の試験を受けていたときにさんざん自己PRで練ったストックもあるし、なぜパイロットになりたいのか、今更そんなことを考える必要がわからなかった。


でも、最近は少しずつわかってきた。


偶像としてのパイロット
まず言えるのは、そういう下世話なレベルでの動機がないと、パイロットというものを偶像化し、崇拝の対象にしてしまう可能性があるということ。自分が精一杯、真摯にこの職業に向き合えば向き合うほど、パイロットだってただの人間で数ある職業のひとつでしかないという単純な事実が見えなくなる。何かを崇拝することは、注意力がその一点に向いているということだから、業務レベルでも悪影響があるかもしれない。

パイロットなんて、どこにでもいるただのおっさん、おばさんだ。

欲も、野心も、親切心もあるし、家族を持っていれば、給料が気になる。それ以上でもそれ以下でもないし、いいことでも悪いことでもない。糧のために働き、生きているという側面。要はバランスだ。飲み込まれてはいけないのだ。


シンプルにする
もう一つ言えるのは、航空業界と離れているときにモチベーションを保つ糧になるということ。下世話な動機は具体的だから、そういうものを持っていると、なぜなりたいのか、という問いに0.2秒で答えられる。目の前に見える「おいしい」状況が欲しいと思っているだけだ。難しい理屈はいらない。いつでも動機をシンプルに保っていられる。

そういう、ある種がんばらない姿勢が、息の長い努力を結果的に支えるのだろう。下手に考えだすと、訓練をしているときはいいが、居間の私のように飛行機から離れてお金を貯めるときなどに本当にパイロットになりたいのだろうか、などと自問し始める。私の場合、それはNZに戻るという決断をしたきっかけになったが、日本をターゲットにしている人が悩みだすと、ハマる可能性がある。訓練に必要な金額がとにかく膨大だから。ひょうひょうとしている人がうまくやるのはその辺に秘密があるのかもしれない。


PPLの記事、読み進めるとこんなことを書いている記事が。

「飛行機は、難しい。今は、あんなでっかくて速いやつを飛ばせる気になんかこれっぽっちもせぬ。でもいつかあそこの窓から、こっち側を見る日が来るのかな。そのときはどんな気持ちでこの文章を読むのかな。」


西風の日にAir NZの飛行機でNZCHのRWY29に着陸して、Taxi way Echoをタキシングするコクピットの中から給油中のトマホークに向かって手を振る。

全然下世話じゃないが、いい絵じゃないか。この絵を目指していこう。長い道のりだなー。



     2012.05.17 Thursday
先日、某記事のコメントで以下のような質問をうけた。

「私の息子(10歳)がパイロットの夢を持っています。唐突に質問なんですが2〜3年後にニュージーランドに行こうと計画中です。IAANZへの入学できる年齢近くになって(いくつでは入れるかはわかりませんが)からニュージーに行ったほうがいいと思われますか?」

なんと素晴らしいお父様だろう。笑 コメント欄でお答えしたが、書いているうちにNZあるいは日本でパイロットになる道を改めてうまく整理できたので、記事という形で残しておくことにした。質問を下さったリョウさん、ありがとうございました。




以下、原文より。


ご質問にお答えします。確認なのですが、2-3年後にご家族でNZに移住されたいと希望しているということでしょうか。その上で、息子さんがパイロットになる道の可能性を探っているという理解でよろしいでしょうか。


その前提で話を始めますと、、、


【NZにくるのは早いほうが良いか】
NZの法律では、飛行機を操縦していい年齢が以下のように段階的に定められています。
http://www.caa.govt.nz/rules/Part_061_Brief.htm の「view current rule」より。( )はページ番号。


Solo:(練習などで単独飛行ができるがライセンスはなし):16歳〜 (p.35)

PPL:(自家用操縦士 無償でお客さんを乗せて飛べる免許)17歳〜 (p.38)

CPL:(事業用操縦士 お金を取ってお客さんを乗せて飛べる免許)18歳〜(p.41)

ATPL:(定期運送用操縦士 エアラインの機長として飛ぶための免許)21歳〜(p.44)


よって、自分で操縦するために飛行機に乗るとしたら、最も早くて16歳です。そして、PPLの試験を受けるぐらいで17歳の誕生日を迎えれば、PPLまでなら取ることが出来ます。

個人的にはそんなに急ぐ必要はないと思います。CPLまで取ったら取り合えずパイロットとしての職を探すことになるわけで、そのときに18歳である必要はありません。私なんか、CPLで29歳です。もうちょい早いほうが良いと思いますが。笑 訓練で同期だったkiwi(ニュージーランド人)は、ほとんど大卒でした。



ただ、早く来ることには別の意味もあります。それは、永住権と語学の問題です。最終的にエアラインパイロットとしてNZでの就職を目指すなら、永住権は必須です。もし移住されるのであれば、早く来てお子さんの永住権に向けて動く必要が出てくるかもしれません。語学に関しては、いうまでもなく英語に慣れるのは早いほうが良いということです。

あくまで参考として聞いて欲しいのですが、NZでパイロットを目指すなら、早めにNZに来て英語と永住権をクリアした上で大学に行き、勉強に対する耐性をつけてからパイロットの訓練に臨むというのがいいかもしれませんね。結構分厚いんですよ、教科書が。笑


それに、13歳でも教官同乗でFUN FLIHGTをするのは比較的簡単に出来ます。その状態でも、飛行時間は公式なものをつけることが出来ます。私の同期にも、一人だけデザインの違うログブックを使っているkiwiがいて、彼も子供のときに何度か飛びにきたことがあったそうです。日本ではセスナで1時間 5万円くらいしますが、NZでは12000円(1ドル60円換算)くらいなので、週末親子で気軽に飛びに来る人は結構います。




【エアラインパイロットを目指す NZ編】
さて、NZで具体的にどのようにエアラインパイロットを目指すかというと、多くが以下のようなキャリアをたどります。


1.PPL取得。【↓学生スタート↓】

2.MEIR(エンジンが2個の飛行機で、計器だけで飛ぶための資格)取得。

3.CPL取得。

4.Instructor Rating(教官として働く資格)取得。

5.教官として(大体が訓練をしたその学校に)職を得る。【↓ここから小型機教官↓】

6.エアラインの応募要件になるまで、教官をしながらフライトタイムを貯める。

7.条件がそろったら、航空会社にCV(履歴書)を送る。

8.面接に呼ばれるのを待つ。

9.面接と数々のチェックを受け、合格する。【↓ここからラインパイロット↓】

10.副操縦士に向けて会社で訓練が始まる。

11.副操縦士として乗務開始。


3.から11.まで、人にもよりますが、大体5年から7年程かかります。また、簡単に書いていますが、5.と9.は職がなかったり、合格しないことだって当然あります。教官の資格を取れば、全員学校が雇ってくれるかというとそんなことはないため、厳しい競争があることは否めません。





【エアラインパイロットを目指す 日本編】
さて、日本ではまったく違ったキャリアをたどります。現在のところ日本で民間のパイロットになるには大きく分けて3つあります。

a.自社養成制度
大学卒業後、就職活動をして航空会社(ANAとかJALですね)入社、社員としてパイロットになる訓練を受けます。訓練内容は、上記でいうと9.1.2.3.10.11.です。

b.航空大学
大学卒業後(入学資格は大学2年次からありますが)独立行政法人の航空大学校というところに入校し、日本の空を飛ぶための免許を日本で取得します。全ての訓練を日本で行うため、費用は3000万円くらいと聞いたことがあります、ただし、そのほとんどは税金でまかなわれるため、学生側の負担額は自社養成に続いて小さくなります。その後、募集枠が確保されている航空会社に応募し、合格すればパイロットとして入社します。訓練内容は、1.2.3.9.10.11.といったところでしょうか。

c.自費訓練
航空大学校と同じような訓練(小型機で、人を乗せて飛べるようになるまでのフェーズ)を、費用全額自己負担で取得します。私がやっているのもこの形です。ほかには私立大が航空会社と提携して訓練プログラムを組んでいるところもありますが、やはり全額自己負担なので、こちらに含めました。訓練内容は、
1.2.3.2.3.9.10.11.です。



a.b.は、日本に「小型飛行機の教官」という需要が圧倒的に少ないことが背景にあります。つまり、普通は1500時間以上小型機で飛んだ経験がある人がエアラインに行くのが一般的なのですが、日本にはそもそもその時間をためるために小型機で飛ぼうとしても、需要(例えば教官)がありません。ですから、制度のほうもその現実に即すことを余儀なくされ、訓練学校卒業後すぐに航空会社に応募するシステムになっています。海外で要求される飛行時間の1/4くらいの飛行時間で応募できるということは、応募側からすれば魅力的にうつります。合格すれば、a.は基本的に会社負担、b.は大半を税金が払ってくれます。

デメリットは、倍率が高いこと、入社、合格できなければ、飛行機に携わる道が絶たれてしまうことと、この制度自体が何時まで存続できるか(会社も国も財政難ですから)ということです。こんな情報もあります。



c.は、私がやっている方法ですが、2.と3.が二回出てきています。これは、日本で飛べる免許を取るために、日本国内で一部の訓練をやり直すためです。これが最大のデメリットで、日本は飛行単価が高いので、訓練費だけで900万円ほどします。(海外の訓練費用は別。)それでも、海外で取得した免許の一部を、免除制度を使って書き換えるという仕組みを使うと、渡航費を考慮に入れても安くつきます。私がNZに行ったのもそのためです。また、自社養成のように会社に就職してから訓練を始めるわけではないので、合格できないというリスクもあります。









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プロフィール
飛行機訓練終了後、日本で1年間翻訳で稼ぎ、 今年1月にNZに再渡航しました。 インストラクター試験には合格しました。 3ヶ月無視され続けることに耐えてやっとインストラクターの端くれに。 とりあえず、両親に感謝。
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