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     2013.09.02 Monday
もう永遠とこのループを繰り返すしかないのかもしれない。

どんなにがんばってもダメなものはダメなのかもしれない。最近は上手く行っている人への嫉妬心もコントロールできなくなってきた。もののけ姫に出てきたタタリ神のような黒いドロドロが自分の身体の中から出てきているようだ。それらは映画と同じように、払っても払っても自分の中からにじみ出てきてすべてを諦めて突っ走りたくなる。

休日に外へ出ると、上空を小型機が軽快な音をたてて通過していく。多分、City上空のトライアルフライトかNew Brightonでの初頭訓練だろう。この国ではエアラインまで行くのにたくさん飛行時間を貯めなければいけないというのに、そのスタートラインにすら立っていない。周りは皆、どんどん前に進んでいる。好きだった飛行機の音も、今は忌々しいだけだ。


それでも月曜日はやってくる
いつもどおり社長の邪魔と話をしに行くと、やっぱり忙しいから後でという。「お忙しいでしょうから、正式にアポイントメントをとりたいんですがいかがすかね」というと、「That's a good idea.」といってパソコンになにやら打ち込んだ。正式なアポか。なんか今までに無い展開だけど、最初からこうすれば良かったのかもしれない。アポは2日後に取れた。また希望の芽が性懲りもなく出てくるが、どうせ裏切られるんだろう。あまり期待しないようにしておこう。

その日は、別件で急ぎの仕事が入っていた。日本からくるお客さんの為に、フライトを予約しなければならなかったのだ。この方は師匠の友人で、日本で自家用操縦士として飛ばれている[1]が、技量維持と日本ではできない不時着訓練をやりたいということで定期的にNZにやってきて訓練をされている。実は、このブログを昔から読んでくださっていて今回はありがたいことに、お連れ様共々教官になった私と一緒に飛びたいと申し出てくれたのだった。

師匠からお世話を依頼され引き受けたは良いものの、なにしろまだ制服を着ていない。フライトは教官が決まらないとブッキングをいれてくれないので、仕方なく今居る日本人教官の名前で入れることにした。約10日分のフライトを何とかねじ込んだが、教官は通常の学校の仕事(アカデミーのオペレーション)があってそこまで暇ではない。到着当日とその次の日のブッキングは、どうしても教官が足りず、Kiwiの教官をアサインしてもらうしか無かった。自分をわざわざ指名してくれているお客さんの期待にも応えられず、他人の名前でブッキングを入れるのは悔しかった。それでもはるばる南半球までやってきたお客さんをがっかりさせるわけにはいかないので[2]面倒くさそうにブッキング内容が書かれた紙切れを受け取るスケジューラーに何回も念押しして落とさないようにチェックしておいた。とりあえず、ブッキングに穴はなくなった。

倍返しだ!
2日後、時間通りにガラス張りのオフィスのドアをノックすると、いつもはパソコンから目をそらさずに返事もしない[3]社長が手招きをした。目はパソコンに向いたままだったけど。先日出した日本からもっと学生を呼ぶために必要な訓練の改革案について、話をすることになった。

企画書について、いろいろと細かい突っ込みを受ける。

JCABとは何だ?

学科をセパレートして日本でやると書いてあるがそれは誰が、どの教科をやるんだ?

その場合、お金は誰がどこに払うんだ?

・・・

答弁するごとに話がこんがらがっていく感じ。私の答えに不満足らしい。できるだけ簡潔に答えているのだが、「そうじゃなくて、だからこれは一体どういう意味なんだ?」とイラついた態度を隠そうともしない。こちらの英語が詰まると我慢できずに質問を言い換えてかぶせてくるので、答えが完成しない。こちらから本当に話を引き出したいというよりも「お前がだめで、おれがすごい」という関係性をただ作りたいだけなのかもしれないという気さえしてきた。本当に嫌な上司だ。

一通り尋問が終わって、話すことがなくなってくる。そういえば、と言って引き出しから何か書類を出した。封筒に入っている書類だ。見覚えがあると思ったら私のCVだった。驚いたことに、封も開けていない。私の履歴書を見たのはこれが初めてだったということだ。BGTに合格する前のものはおそらく封をされたままどこかに埋もれているのだろう。私が半沢直樹だったら10倍返しじゃ済まないぞアンタ。Alrightを繰り返して話を結ぼうとしている。何事かごちゃごちゃと言った後、最後に「このプランはつめるところがたくさんあるから、この仕事のポジションを今与える訳にはいかない。」という結論を出してきた。





ちょっとまて。




私は、地上の営業職のポジションが欲しいわけじゃない、これは今新しくインストラクターを雇う理由が無いなかで、それでも今すぐ雇ってもらうためのいわば手土産だ。普通のインストラクターにはできないことができるから、特別に今、「インストラクター」として雇ってもらえないか、という提案をしているんだ。何をカンチガイしているんだこのおっさんは。

上記の内容をもう少し丁寧にして伝えた。返事は「あぁそうか」だった。JayとMasaにも話をしなきゃな、ってまたそれか!!!

朝がそれだから昼間は何にも力が入らなかった。その日の夕方、Jayに話をした?とダメもとで聞いてみたら、やっぱりダメだった。理由は、「Jayがオフィスに居なかったんだ。会うなら明日だな。」だそうだ。ダメだこりゃ。師匠にダメでしたと英語でTextを打ったらなぜか「受かった気でいれば良いよ。」と楽観的なご意見。もう皆に受かったと吹聴して既成事実にしてしまえということか?それはそれで滑稽だが、確かにもうそれくらいしか道はないかもしれない。

翌日、それでも学校にいく。日本人が集まる部屋に用事があった。部屋に行くには社長室の前を通る必要がある。ガラス張りの向こう側には社長。目も合わさない。部屋に入って荷物を置いた。座席について一息ついた時、ドアからでかい身体の社長が入ってきてこっちに来いと言われた。そのまま社長のオフィスへ。Have a seatと言われたあと、おもむろに手を差し出された。


「Well, first, congratulations. Welcome onboard.」


インストラクターとして採用された瞬間だった。


つづく



1. 自家用パイロットというだけでなく、サルサも踊ってスキーも滑ってギターも弾けて水上スキーもヘリも乗るすごい人です。ちなみに初飛行は私が1歳のときだそうです。
2. この国では「お客さんをがっかりさせてはいけない」というコンセプトの優先順位が
「サービスの供給側たる自分の都合」より低いことがコンセンサスになっている。担当者がいないからしょうがない、ですべてがまかり通る。サービスを受けるときは非常にストレスを感じるが、皆自分がサービスの提供者になった時に同じことをするからあまり文句は言わない。だからこそ、お客さんにいいサービスを!と言っても響かないのだ。
3. これ、自分が忙しいときはときどきやってしまうけど、これからは絶対にやめようと思う。ものすごく失礼だ。

     2013.09.01 Sunday
Jayと1対1で話をした翌日、日本人チームリーダーと一緒に彼の部屋へ。

今回は時間をとってあったので、「またきたか!」という表情はされなかった。世間話のあと、チームリーダーから手紙を渡していろいろと説明。私がいかに日本人チームに対して、または学校全体に対して貢献できるかということを話してもらった。

Jayはその場のノリではすごく肯定的なことをいう。HPの刷新を考えているとか、訓練期間の無駄を省いて全体の訓練時間を短くしようとかいろいろ提案すると、とりあえず「それはすごくいい提案だね!是非やってくれ!」などとニコニコ笑いながら調子のいいことをいう。最初はこの肯定的な態度を採用に対するものだと勘違いして素直に喜んでいたものだが、どうやらそうではなさそうだ。これは、とりあえず今のこの会話を無難なものにしてやり過ごそうとする上っ面の仮面にすぎない。日本人は本音と建前が違うなどと言われるが、よく言うぜとおもう。否定的に思っていることを隠して肯定的な対応をするなんていうのは、日本人に限らずどこの世界でもある。否定的な結論を直接自分の口から言い渡せば、それは責任問題になる。にこやかに対応し、決して結論を出さないようにする。相手が諦めるのを待てば、諦めた側の責任になる。本当のことを言わないということは、つまり、相手をナメているのだ。そのうち諦めるだろうと思っているのだろう。まして相手は空気を読むことにかけては敏感な日本人なのだ。

ところが、最近オフィスに押し掛けてくるこの日本人は、どういうわけか空気を読むということをしない。

毎日毎日ちょっとずつ手を変え品を変え断りづらい話題で部屋に入ってきて、最後には必ず採用の話になる。昨日は大量の手紙だったし、今日はついに日本人チームリーダーを連れてきやがった。日本人は恥ずかしがりやでコミュニケーションが苦手なんじゃなかったっけ、このままではこの日本人を雇わない理由がなくなっていしまう。。。

と思っていたかどうかはわからないが、話題がなくなってくるに連れて何らかの結論を出さなきゃ、という雰囲気になってきた。チームリーダーもがっつり推し込んでくれた。脱線をいくつか繰り返したが、ついに観念したようだ。

「Congratulations, you did the right thing.」

そういって手を差し出してきた。こちらの世界では握手をするのは、契約が成立したときだ。やったー!とよろこんだのもつかの間、

「でもフライトはしばらくだめだからな」

制服もまだあげられないという。そういっていつ仕事がもらえるか具体的な日付は教えてもらえなかった。今回話をした私の役割について、ジョブリストが欲しいとのこと。どんな内容の仕事があるのか、もっと細かく記したものをもってこいという。それがないと社長と話ができないと。

やる気が萎える。ついにいったかと思ってもやはりいつ雇われるのか判らない。こんなことを数ヶ月繰り返してきた。このままうやむやにされる可能性もある。制服を着るまでは、全く安心できない。明らかに時間稼ぎの書類要求。。。いい加減諦める。。。


はずがなーい!時間稼ぎのつもりだったのかもしれないが、残念でした、すぐにジョブリストを書いて翌日持っていく。まったく時間を稼げてない。笑 これで文句ないだろう、と書類を渡す。はいはい、ありがとうねと紙を机にぱさっと置くJay。。。なんだよ、いい加減答えを出してくれよ。


こっちにも狸が
Jayに話をしにいったあと、社長の部屋へ。お決まりの「また来たか」というあきれ顔に挨拶をかわした後、「今日は何だ、何の話だ」と結論を急がされた。いつもはたわいない話をしてからだったのだがいい加減こちらのやり方が見えてきたのだろう、単刀直入に本題に入る。おれの雇用の話だ、と言ってから昨日今日あったことを説明した。具体的には、JayとMasaが良いといったから早く話をして結論を出してほしいと迫った。返答は相変わらず、

「彼らが私を説得しなければ行けない。現時点では結論は出せないし、何も言えない。」

そんな風に決断を先送りばかりしていてよくCEOが務まるもんだね、とのどまで出掛かったが、なんとか押さえて部屋を出る。こんなにいろいろと考えて、どうしたら学校に貢献できるか熱意を見せているインストラクターなんてどこにも居ないはずだ、パートタイムの、しかも飛んだときに金を払えば良いだけのC-catを雇うということがなぜそんなに難しいんだ。その一方でフルタイムのB-catを残業させて人件費がかかっている。そんな単純な算数ができないで何が元アカウンタントだよ、おとといきやがれってんだばーろー。

これが、この記事を書いた日だったというわけ。意気消沈。

つづく
     2013.08.29 Thursday
朝一番にチーフインストラクターJayのいる部屋へ。

ノックをすると生返事が返ってきた。Jayは私の顔を見るなり眉毛が一瞬寄ったあとにいつのの笑顔になった。「またきたか!」と思っているんだね、うん、また来たよ、手紙の束を持ってね♪

少しの沈黙のあと、意を決してしゃべり出す。

「明日、日本人チームリーダーと一緒にここへ来て私がどのように学校に貢献できるかを書類も添えて説明しにくるけど、その前1対1で話がしたかったんだ。」

なるほど、とJay。

「明日は多分、学生をどうやってリクルートするかとか、いかに日本人学生の面倒をみられるかとかそういうビジネスライクな話になると思うけど、今日はもっと根本的な話をしたいんだ。それは、私は単にGood Instructorになりたいってことなんだ。」

ここまで言うと、顔つきを変え、手を顎の下に持ってきて下から覗き見るような格好をした。値踏みされている。

「私はGood Instructorということをこう考えているんだ。それは学生の命を守れることと、クルーとして皆と協力できること。」

どうやったら学生の命を守れると思う?とJay、食いついてきた!

「まずは緊急事態に正しく対処できること、それを学生自身にも身につけてもらうこと。」

違う、それだけじゃない。とJay、よし、ここからアドバイスを聴く良い学生の眼差しを向ける。目はそらさない。

Situation awareness(状況認識)だよ。何もエマージェンシーだけが命に関わる問題じゃない、普通に飛んでいるだけでも周りにトラフィックはいるし、風が強い、Visが悪いみたいなことだってThreatだろう、つまり、、、

「TEM、ですね。。。」うやうやしく声をかぶせていく。まるで下手な演劇みたいだが、ラポールができつつある。

「ありがとう、明日は学生の数とかビジネスプランとかを話すと思うけど、もっと基本的でコアな部分の気持ちを伝えておきたかったんだ。それと、これはPPLリーダーとJohnのリファレンスレター、それと、これは学生がわざわざ私のために書いてくれたリファレンスレター。いいインストラクターになって、彼らを喜ばせてあげたいと思う。」

ありがとう、とJay、笑顔を交わして部屋を出る。。。

ブハ、疲れた。でも手応えはあったぞ!


つづく









     2013.08.21 Wednesday
秘密兵器を手に入れて、戦いの準備は整いつつあった。社長が提示した条件、チーフインストラクターと日本人チームリーダーの両方に「欲しい」と言ってもらうことを目指してきた。次は日本人チームリーダー。

営業の話をしよう。
私立学校は、毎年新しい学生を確保しないとつぶれてしまう。勢い、学生のリクルート活動がとても重要な仕事になってくる。普通は営業要員を雇い、一任する。うちの学校でも日本以外の国、主にインドやインドネシアなどのアジア方面の学生に関しては、学校がエージェントと契約して広告を出すことで学生を集めている。この方法ではインストラクターは学生を連れてくる作業をする必要は無いため、「飛ぶ」という本来の業務に集中できる。インストラクターとしては口を開けていれば学生があてがわれるので願っても無い制度だが、学生が来なければ一緒に飛ぶ相手も居なくなるということなので、一長一短だ。また、この制度では金銭的なリスクは学生がかぶる。エージェント利用料が必要なため、学費に値上げ圧力がかかるのだ。それでも、海外の学生は増えている。一定の成果をあげているようだ。


こむずかしい話になってきたので一息。Abel Tasman で撮った海。無加工の色です。

ところが、日本の学生はそうはいかない。パイロットに応募するまでの時間が短いため、訓練の質にこだわる傾向がある。また、取得した海外の免許を日本のものに切り替えるために、さらに日本で訓練をしなければならない。これにものすごいお金がかかる[1]。自社養成や航空大学じゃ無い限り、それらは全額自腹だ。だから「そんな大金を払って本当にパイロットになれるんですか?」という一点で、ものすごく慎重になっている。数ある海外訓練校の中から、高くて遠いニュージーランドの学校を選んでもらうには、広告をばらまいてあぐらをかいているだけではダメだったのだ。

上記のような理由から、日本人学生のリクルートはインストラクターが直接日本におもむき、主に口コミとインターネットで評判を聞きつけた人たちを集めて「座談会」という形で説明を行ってきた。これは私の師匠が初めてこの学校に日本人マーケットを開拓したときからつづくコンセプトだ。訓練を担当する当事者が対面で個人的に会話することで、信頼され、それが結果的に学校を選んでもらうことにつながってきた。私もその一人だが、学生に取っては親切なこの方法[2]は、しかし、営業を担当するインストラクターには重い負担になる。何しろ専門外の業務が一人分増えるのだからして。まるでLCCの乗務員みたいだ。[3]

日本人チームリーダーにアピールするなら、このテの業務負担を軽減できますという点になるだろう。

自画自賛
自分は小さいがメディアを持っているし、座談会を手伝ったこともある。日本で書き換え訓練をし、エアラインに就職した同期とも連絡を取り合える。13万もしたMacでちゃちゃっとチラシをつくることもできるし、付け焼き刃のCSSとHTMLの知識もあるのでWeb pageの書き換えも少しならできる。営業に応用できるスキルが多少はあることになる。しかも飛べるし、インストラクションもできる。その辺を押し込んでみた。


ビーバー!星形エンジン!

まぁ最終的にはそんなにビジネスライクな話にはならなかった。人となりは訓練生時代でよくわかってもらえていので、推薦してもらうことにあっさり同意してもらえた。よし。ここでもう一押し、ということで、手紙を書いてもらうことになったのだが、チームリーダーは忙しく、なかなか時間が取れない。すると、その日の路線業務を終えて顔を出していた師匠が思い出したようにこう言った。

「君がチームリーダーになり代わって手紙を書いて、後でチェックとサインしてもらえばいいんじゃないか。」

確かにその通りだが、今まで書いたものの中で最も難しい手紙のひとつとなった。何しろ、自分のことを手放しでほめまくるのだ。それでも何とか書き終えて、ドラフトとして渡す。校正してもらった後、サインを入れてもらえた。武器はそろった。まずはチーフインストラクターに確約をもらいにいき、そのあと社長だ。

つづく



1. 約1000万円ほど。詳しくはこちら。やこちらを参照。

2. 本来の仕事をする時間を圧迫するという意味で、人材を活用しきれていないともとれるこの方法は、理解がされづらい面もある。人を連れてきたいならインストラクターではなく営業マンを雇えばいいだろう、というわけだ。確かにそうかもしれない。でも、我々は工場で工業製品を造っているわけではない。学校は教育を提供するところだ。学生を数字と見なせば、その管理には工場のメタファーが有用かもしれないが、死なないパイロットをつくるという教育理念を実現するには、正論では思うとおりの結果が出せないこともあるだろう。

3. LCCの乗務員は、飛行機の重量計算や機内清掃、乗客の案内など一人何役もこなすという。以前一緒に住んでいたパイロットの友人もブーブー言っていたっけ。
     2013.08.10 Saturday
校長と日本人チームリーダーから「欲しい」と言われれば、社長にYesと言わせることができる。

よし。

まずは校長。校長が一番気にしているのが、既に教官が余っている状態で新たな教官を雇って、その新米教官がバンバン飛び始めるような事態になったら、今順番待ちをして地上で雑用をしている教官達から突き上げがくるんじゃないか、という臆病な理由からだった。私の技量や人間的なところは、今までのコミュニケーションで充分信頼を築けたと思っている。ただ、「今はマズい」と思っているだけだ。だから、彼を動かすには、私が今雇われることを他のKiwiも認めているという証拠を見せれば良い。

PPLリーダー(訓練初期の学生を教えるチームのリーダー)のところに相談にいくことにした。相談に行くというのも結構難しい。何しろ、相手はインストラクター、机に座って仕事をしている訳ではない。普段は空の上か職員室の中にいるわけだが、制服を着ていないので職員室には入りづらい。結構忙しそうにしているし、中々込み入った話をするタイミングが無い。

手紙
ある日の夕方、彼がブリーフィングルームで一人何かの計算をしているのを見た。声をかけると、プライベートで飛行機を借りて乗るために、燃料計算をしているという。iPhoneにその計算をするアプリが入っていて、それが上手く動かないらしい。紙でやればいいのだが、金を出して買ったアプリが機能しないのが悔しいらしく、「この役立たずめ、どういうわけだ!」といらついている。燃料の体積を重量に変換するために比重を掛けるところが上手く行かないらしい。確かに、80Lに0.72をかけて57.6kgになるはずのところが80のままだ。一緒に色々考えて入力する箇所を変えたり数字を変えたりしてやっとわかったのが、燃料の部分は表示は体積のままだけど、計算は重さに変換されて裏でやられているので、合計重量として正しく出てくるから問題ない、ということだった。

なんだ紛らわしい、とイライラを共有したところで話を切り出してみた。

「Jay(校長)とPeter(社長)に営業をかけているんだけど、インストラクターはフルだっていうんだ、どうしたらJayを説得できるだろうか。」とか、「例えばおれが雇われて、次の日にいきなり日本人学生と飛んだりしたら、みんなどう思うかな?」とか、いろいろと聞いてみた。彼は顔が少しエミネムに似ていて、普段はおちゃらけたキャラなのだがこういうときは親身になって話を聞いてくれるとてもいいやつだ。年も近い。色々アドバイスをもらった。最後にReference letter[1]を書いてもらえないだろうかと聞いてみたら快諾してくれた。

自分の担当教官だったJasonにも、どうやったらJayを落とすことができるだろうかと相談し、手紙をお願いした。彼には「I'm a bad speller.」といって手紙は辞退されたが、Jayに口頭で推してくれると約束してくれた。

リーサルウェポン
また、少し前にやったBGTコースの講師だったJohnというおっちゃんにも手紙をお願いした。オフィスに何度も押し掛けて質問しているうちに仲良くなり、書いてくれることになった。彼はJayとすごく仲がよく、尊敬もされているらしい。BGTのテストで93点を取ったことを告げると、ジェットエンジンの絵が薄く背景に印刷された質の良い紙に喜んで書いてくれた。よし、秘密兵器を手に入れた、Jayを手紙攻めにしてやるぞ!


二人の手紙。もったいないお言葉の数々が並ぶ。

つづく。



1. 仕事の取り方について日本との違いを最初に感じるのがこれ。誰かからの推薦状というのがすごく重要で、当たり前に用いられる。履歴書にも、Refereeと言って自分の人となりを知る人の連絡先を記載するのが一般的で、実際にその人に連絡することが多い。



     2013.08.03 Saturday
普通はC-catの訓練中に面接があり、訓練が終わった時点である程度見込みがあるかないかがわかるのだが、私ともう一人のKiwiの場合はそれがなかった。どういうことなんだろうと思ってCVを出すときにそれとなく校長に聞いてみると、

「今は確定的なことは言えない。でも要らなかったら要らないというが、今言えるのはそれだけだ。」

もうこの話題には触れないでくれ、とでも言いたげに目をそらす校長。なんだこれは。聞いていた話と大分違うぞ。同期のMAKIによると、校長に気に入られることがかなり重要らしかった。だから、訓練は一生懸命やっているところを見せた。スムースな舵やポイントをついたパター等の技術面だけではなく、自分の訓練をGoProで録って意見を求めたり、飛行前ブリーフィングで変えた方が良いところ[1]等を積極的に具申し、インストラクターとして自分がどうフライトに向き合っているかを行動で示した。実際、インストラクターをエアラインへのステッピングストーン、踏み石と考え、自分のフライト時間を貯めることしか考えていない手合いは残念ながらかなり多い。校長はそれを知ってか知らずか、「君がそうじゃないことが分かってうれしい。」と言ってくれた。だから、手応えを感じていた。しかしいざ訓練が終わってみると、面倒くさいのが来た、という顔をされる。話が違うぞこれは。なにか対策を考えないと。

ひとつづつ攻略
次に、校長(インストラクターのボス)ではなく社長(CEO)に会いにいった。彼にはおそらく、インストラクターとしてではなく私を雇うことで学校にどんないいことがあるのかを説明するのが良いと思った。C-catインストラクターの裏書きが入った新しい免許を見せにきた、という口実で社長の部屋に入り、とりとめの無い話をする。他のインストラクターにできない、私にできることをさりげなく説明。例えば、日本語が話せるので日本人の学生の満足度を上げることが出来るぞ、とか、ブログのアクセス記録を見せて「一日1000人が私のHPを訪れているから、これを使ってマーケティングをすれば日本人が大挙してやってくるぞ」とか、そういうことだ。実際にはこのブログの訪問者は一日300人程度で1000までいくのはPV(ページビュー)だし、マーケティングといっても私の訓練の様子ををありのまま正直に書いて問い合わせが来たら答えるくらい[2]だから日本人が大挙してやってくるかどうかは未知数だが、嘘は言っていないのでまぁいいだろう。

だがこの社長も「とても素晴らしいね」とは言うのだが、採用についてはJay(校長)の許可が必要だしMasa(日本人のチームリーダー)ともよく話し合わないといけない、と逃げる。誰が採用の権限を持っているのかよくわからない。その後何度も顔を出し、最終的に社長からは「JayとMasaがOKと言うのが先、私がするのは最終判断だけだ。」という言質を取った。忙しそうにしている所をわざと選んで繰り返し攻撃したのが良かったのかもしれない[3]。これで優先事項が決まった。この二人からまずはOKをもらえば、最終権限のある社長と話ができる。責任の所在をはっきりさせた。もう逃がさねぇぞ。

つづく。




GoProで録った動画の一部をMacで編集してみた。スピンリカバリーの訓練で、全部じゃないけど字幕付き。それにしても、よーしゃべるな Jason。




1. インストラクターが飛ぶ前に学生に対して行うブリーフィングなのだが、変えたほうがいいところがわんさかある。
2. 良い所も悪い所も正直に書くのが一番のマーケティングだと思っている。私が学校を選んだときも、一次情報(現地の情報)を重視した。下手に雑誌に広告を出している所はボッタクリだとも思っていた。なぜなら、その広告費は結局学生の学費から出ているのだから。
3. 採用の話を直接しにいくと追い返されるかもしれなかったので、毎回なにか提案のような形で持っていった。そういうトピックなら、社長は話すことそれ自体は断れない。んで最後に思い出したように採用の話をするのだ。
     2013.07.26 Friday
今日はいいニュースである!

同期のRYOが、某青い会社(正確には子会社)に本内定したとの連絡を受けた!

その1ヶ月前には同期のTAKAが、某派手な色の会社に合格していた!

そして4月には同期のMAKIが、ニュージーランドで他の学校に教官として採用された!

同期が3人、無事パイロットとして職を得たことはとても誇らしいことだ。訓練を始めたのが2010年の10月だから、約2年半。彼らはニュージーランドから帰国して日本で資金を貯めるために働く必要が無かったので、日本で就職したRYOとTAKA、ニュージーランドで就職したMAKIともに考えられる最短コース例となる。RYOはもっと前に内々定していたし、MAKIは母校に雇われたのが1年くらい前だから、実績としては1年半〜2年半という範囲で就職が決まったことになる。RYOはB737、TAKAはA320だ。皆これからが本番だから安全第一でがんばってほしいと思う。



で。



私はいまだに使う当てのない免許だけ持ってプラプラしている。いや、実は今週、考えうる限り最高の準備をして、持ちうるかぎり全ての武器の火力を集中して総攻撃を仕掛けたのだが、アッサリ跳ね返されて意気消沈しているところだ。今までやってきたことはなんだったんだろうか。プロパイロットとしてこの文章を書けないのは非常に残念だ。


CURRICULUM VITAE
話は昨年の11月にさかのぼる。

私が日本で働いているときに、C-catの募集があった。まだ日本でやるか、海外でやるか決めかねていた頃だが、当然その募集には間に合わない。でもやる気を見せる意味で一丁出してみるか、と初めて海外の会社にCV(履歴書)と呼ばれるものを出すことにしたのだが、現地の教官からは「でも明日締め切りらしいよ」と言われた。多分教官は書けるとは思わなかったかもしれない。何しろ、連絡があったのは締め切り日前日の夜。次の日は平日だったのでもちろん仕事だった。でも夜2時までかかってドラフトを仕上げ、次の日も目を血走らせながら通勤電車の中や休み時間を利用して書き上げ、何とか昼休みまでに送ることが出来たのだった。[1]命を削って書いた履歴書は結構評判が良かったらしく、うれしかった。

再渡航
そして今年の1月にニュージランドへ再渡航した。母校でやるつもりではあったが、インストラクターとしての就職は保証できないということだったので、最も可能性の高いところを探そうと色々調べた。旅行ついでに行ったNelson Aviation CollegeではCEOたちと面接して、好印象を得た。のちにコース参加へのオファーをもらったが、色々勘案した結果結局古巣で飛ぶことにして、C-catコースが始まるまでお客さんを乗せたり子供を乗せたりしてフライト時間を貯めていた

力仕事
C-catが始まる前までは、毎日朝7時半に学校に行って自分が乗らない飛行機をハンガーから引っ張り出し、駐機場に並べていった。朝飛ぶ学生がやらなければならないことなのだが、寒くなってくるとだんだん人手が減ってくる。それでも仕事が欲しいと思っていたので汚れ仕事を進んでした。文字通り一日も欠かさず毎日やった。飛行機を出せば仕事がもらえる訳ではないことは分かっている。自分で決めたことを守り通せば何か良いことが起きるかもしれないと思っただけだ。

夕方になると受付がよく校内放送をするようになる。「All available students to the reception please」というのが定形文なのだが、要するに手が空いている人は駐機場の飛行機をハンガーに片付けて、と言う意味だ。これも受付のKiwiが恐縮するぐらい引き受けた。ほとんどの学生は一度放送が入ったくらいでは席を立たない。受付とは仲良くなったので飛行機のブッキングが少しスムースになった。

C-catコース
いよいよコースが始まって、ものすごく苦労して訓練した。地上でしっかり準備してやる私のスタイルと、上でやりながら覚えるKiwiのスタイルの歯車が全く噛み合ずに非常にストレスフルだった。試験の前日まで受かる気がしなかったが、やってみると試験自体は大したこと無かった。今まで試験のレポートを書いていなかったのも、以外とあっさり終わってしまったからだ。

5月中旬にC-cat試験に合格。すぐに就職できるものと踏んでいた。Jay(校長先生)の評判がかなり良いとも言われていたし、社長には日本人教官の需要があるぞ!と言われていたからだ。今から思うと寝言は寝て言えば良いのにという感じだが、当時は真に受けてヘラヘラしていた。

本当の戦いはここからだった。


つづく




1. 時差があるので日本時間の13時、現地時間の16時までには出したかった。ニュージーランド人が17時以降も働いているワケがないからだ。
     2013.07.13 Saturday
仕事がなくて暇なので、ニュージーランドのATPL(エアラインの機長として飛ぶのに必要な免許)の要件の一つであるBGT(Basic Gas Turbine)という学科試験を受けることにした。

ガスタービンというのは筒状になっているジェットエンジンの心臓部に使われている装置だ。ジェットエンジンとは、簡単に言うと空気を加速するための筒である。筒の前から空気を吸い込み、筒の中で燃料と混ぜて点火、熱エネルギーを付与された空気が高温・高速のガスとなって筒の後ろから吐き出される。ジェットエンジンは、この空気を加速する力の反作用として推力を得る。[1]

空気を継続的に加速するメカニズムにはいくつかある[2]のだが、飛行機によく使われているのがガスタービンというわけだ。その仕組みについては、動画を見た方が分かりやすいだろう。便利な時代になったものだ。



ちょうど学校が外部の講師を招聘してBGTのクラスを開催するという。費用は3日間で250ドル。土日を座学、月曜にAir Force Museumに行ってエンジンのカットモデルを見ながらやるというものだ。校長先生のJayにも「相談」し、勉強してるぜ雇ってくれアピールを続ける。講師はJayの友人らしく、250ドルで彼の授業ならお買い得らしい。面白そうなので受けてみることにした。


教室の空気
クラス当日、朝8時半から授業開始。学生として参加するのは学校の生徒が10人、インストラクターが3人、外部から2人。講師はJohnという元キャセイパシフィックの航空機関士のおっちゃん。今はヴァージンアトランティック航空でグラウンドコースを専門にやっている。空軍[3]にいたこともあるらしい。自己紹介をそこそこに授業を始めた。

熱力学の上っ面をおさらいし、ジェットエンジンが開発された歴史的経緯をエンジンの実例を挙げながら説明。だんだんとテクニカルな内容に入っていく。面白い。でも本当にざっくりざっくりやっていくので、細かい所が気になる。

例えば、コンプレッサについて。ガスタービンエンジンでは、筒が吸い込む空気を圧縮して空気の密度を大きくするためにコンプレッサを使っている。これにより、後で火をつけたときにより多くのエネルギーを取り出せる。軸流式コンプレッサは「ベルヌーイの法則」を利用して圧力を上げていくという。この法則によれば、流れの中にある空気の速度と圧力は一方が下がったら他方が上がるというトレードオフの関係にある。にもかかわらず、Johnが平気でこんなことを言い放った。

「吸い込んだときの空気の速度をほとんど変えること無く、圧力を20倍くらいにできるんだ。」

なにー!?!?!とハニワ顔で驚いているのは私だけ。教室はしんとしている。速度と圧力はトレードオフの関係にあるはずだろ?圧力が20倍になるなら速度は1/20にならなければならないじゃないか![4]おかしいじゃないか。。。

授業を受けている連中のなかには、そんなことを気にするものはいないらしい。皆、しーんとしながら聞いている。いや、寝てるやつもいる。なんだか高校時代を思い出す。いや、そんなことはどうでもいい。なんで皆、疑問に思わないのだろうか。びっくりしたのは今回学生として参加しているうちの学校のインストラクター達だ。ある女性のインストラクターは、Johnが当てても「わからない」としか言わない。普段自分たちが教えている学生の前で間違いをするのが怖いのだろうか。それにしても、なんかもうちょっとないのかね。


B787についている最新エンジン、GEnxが出来るまで。軽快な音楽とともに。


その後も細かい疑問を発掘してはいちいち授業を止めにかかる私。その後、少し空気を読んである程度ためてからにしたけれども、質問するのはやはり孤独に私一人。皆、もったいないと思わないのだろうか、250ドルも払っているのに。授業の後半になってやっとだんだん質問をするやつが出てきた。ほとんど前に座っている学生の数人と、外部から来た、この試験に2回フェイルしているという兄ちゃん。少し活気が出てきた。


根掘り葉掘りの
家でもうんうんうなりながら日本語のジェットエンジンの教科書とインターネットにかじりついてノートに書き出していく。やればやるほど疑問が出てくる。例えば、

・ガスタービンの理論サイクルであるブレイトンサイクルの熱効率は燃焼温度に無関係で圧力比のみに依存するのに、実際のガスタービンはタービン入り口温度に応じた圧力比の向上が高効率化のカギだとか

・ジェットエンジンの熱効率の公式に圧力の項がないとか

コンプレッサーストールコンプレッサーサージの違いが曖昧だとか

・ターボファンエンジンのファンの先端はものによっては明らかに音速を超えているのになんで損失が無いんだとか

・ターボプロップ(ジェットエンジンの先端にプロペラをつけたもの)やターボシャフト(ヘリのエンジン等)は回転力を取り出すから軸馬力で性能を測るという一方で、回転するファンが推力の8割を作り出すターボファンはなぜターボジェットと同じくスラストで性能を測るのだろうかとか

・FCUが定常状態で理論空燃比を維持するなら、加速したくてスロットルレバーを進めたら空燃比が濃くなってガスの温度が下がり、タービンひいてはコンプレッサ回転数は下がるだろうから出力が増えるはずがないじゃないかとか

・大雨でもなんでエンジンは止まらないんだとか

・吸い込んだ鳥や雹はどうなっちまうんだとか。。。

最後の2つに関しては下記の動画が面白い。実際に冷凍チキンや氷やそのエンジンが経験し得ないだろう量の水を吹き込む性能試験。




わかってますよ
そんなことを知る必要がないってことは。原因と結果だけ知っていれば、とりあえず試験には受かる。実運航にしたって、ものすごく乱暴に言えば、何をいじると何が増えるのか、どれをいじるとどれが減るのか。パイロットが覚えなければいけない知識の大半はこの二つの関係に帰着する。あとはそれを組み合わせて自分の判断の根拠にすれば良いだけだ。スロットルを進めれば燃料の流量が増えてガスの温度が上がってパワーが出るんだけどタービンが融けないようにEGTに注意しておく、そういうことがわかっていればいいのだ。なぜ燃焼温度が最も高いはずのの理論空燃比から外れるのに温度が上がるんだという疑問は別に持たなくていい。

でも、気になってしまうんだからしかたがない。コースが終わったあとも、空港の反対側にあるJohnのオフィスに連日押し掛け質問攻めに。いいかげん辟易されるかと思いきや、ここまで興味を持つ学生が珍しいのかまんざらでもない様子。ただ、話好きでどんどん論点がズレていくタイプなので、議論しているうちに聞きたかったことが何だったか忘れることも多かった。

そして迎えた試験当日。1時間の試験を20分で解答、20分を見直しに当てて質問をいくつか覚えて退席。結果は93点でパス。よしよし、無駄ではない、無駄ではないのだ。。。

報告がてらスカイプで日本にいる父と話す。なにやら家の結露対策で壁紙を張り替えるらしい。へー、そうなんだ、家中張り替えるとなると結構大変だね、相見積もり取って値段と相談か。


「結露が出来る仕組みから、断熱材の種類や効果まで全部下調べして業者と話した。」




・・・血筋か。





1. 初期のジェットエンジンであるターボジェットがこの仕組みで推力を得る。現代ではうるさくて効率の悪いターボジェットはほとんど使われていない。最前部につけた巨大なファンやプロペラで推力のほとんどをカバーするターボファンやターボプロップが主流。

2. ガスタービン使わない筒の例。コンセプトだけど凄い。宇宙船みたいだ。

3. ニュージーランド空軍には戦闘機がない。こんな南極に近い島国なんて誰も攻めて来ないだろうということで2001年にA-4からF-16へのリニューアルを蹴ってそのまま戦闘能力を保有することをやめてしまった。

4. この疑問の答えはこうだ。軸流式コンプレッサは、このWikipediaのページにあるとおりロータという動く羽とステータと呼ばれる動かない羽が交互に並んでいる。それらは断面図で見るとダイバージェント・ダクトと呼ばれる末広がりのダクトを形成している。ダイバージェント・ダクトを通る空気は、拡散作用を受けて圧力が上がるのだが、速度は下がる。回転するロータは、その下がった空気の速度を回復させて次のロータ・ステータに送る役割をするのだが、私はここで速度が回復するならそれに伴って圧力は下がるのでは?と思った訳だ。だが、ロータそのものもダイバージェント・ダクトを形成しているため、ロータに対する速度は低下する。この減速は動いているロータに対しての相対速度なので、ロータの外から見る人(絶対速度しか見えない人)には加速しながら圧力が上がるという不思議なことが起きる。私がハニワ顔になったのもそのためだ。元に戻った絶対速度は次のステータでまた減速、圧力の上昇に使われる。最終的にそれらが積み重なって絶対速度は一定、圧力だけが上昇という状態を作り出せる。

よく考えればベルヌーイの法則はエネルギーの保存則だから、速度のエネルギーを段階的に「付与」されたら全体のエネルギーは増えていく訳で、本来ならステータとロータで速度を圧力に換えられて元の絶対速度より遅くなっているはずの空気を、ロータが回転していることで元のレベルまで回復させているというだけの話だ。言われてみれば当たり前なのだが、そのエネルギーの増分を全て圧力として出口で取り出せるその工夫に私は関心したのだ。驚きポイントだと思うんだけどなー。



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