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     2015.02.03 Tuesday
パイロットにはセンスが必要だ、

センスがない人はパイロットにはなれない、

なんて言う人がいる。

ある意味真実なんだけれど、それを言っちゃぁ御終いよ。

私はパイロットであると同時に今は「先生」だから、そんなことを言う前にセンスとは何か、という命題にきちんと向き合って、考えを開示する責任がある。センスがなければダメだよっていうのは、一度も学生を持ったことがない人が言えるセリフだ。

その「センス」とやらがよく話題になるのは、Aさんは上手く行くのに、同じトレーニングを受けてBさんはなぜかうまくいかない、という状況だ。自家用ライセンスのトレーニングでは、サーキット(場周飛行)とクロスカントリー(野外飛行)でよくこういうことがおこる。

たまに「センスが良くて」苦労しない学生もいるが、ほとんどの学生はぐしゃぐしゃになる。もちろん私もなった。自分もそうだったという過去があって、それを克服した経験があるのだから、教官になってからはさぞかし教えるのが上手かろうと思いきや、全くそんなことはない。どうがんばっても苦労する人が大多数だ。もちろん、皆スランプを抜け出してファーストソロ、またはクロカンソロを果たす訳だ。最近クロスカントリーを教えていて、ひょっとしたらこれがその答えじゃないかなというアイディアにたどり着いた。

センスとは「フライトに対して精度の高い臨場感を伴ったイメージを作れる能力」のことを指すのではないだろうか。

ここでいう「イメージ」とは、英単語の「Image」のカタカナ発音ではない。もっと具体的な、これから起きようとしていることがらを超リアルに脳内に構築しようとする試みのことをあえて、厳しく「イメージする」と表現したい。例えば、紙くずをゴミ箱に放り投げていれようとするとき、一度身体の動きを止めてゴミ箱に気持ちを集中し、紙くずに辿らせる放物線を空間に描くはずだ。そのときの脳みそがキューっと何かに集中して、まるで自分の分身がその放物線に沿って飛び出していくような様を一人称的に体験する感覚のことだ。

「イメージフライトが重要だ」なんていうのはパイロットなら誰だって知っていることだが、学生に「イメージフライトをたくさんしておいてくださいね」と言ってもその臨場感には学生によって差がある。飛行機に一度も乗ったことがない人は小型機のエンジン音や振動や風切り音やミニチュアみたいに見える地表の家々や遠くの山や海の見え方がどんなであるかをイメージできないから、イメージフライトをしてと言われてもそもそも臨場感を持つことが出来ない。

何かの本で読んだのだが、人間に限らず生物全般は「自分が今どこにいるか」ということが分からない状態に置かれると、ものすごい不安に教われるようになっているらしい。夕方にうたた寝してしまって、はっと起きる瞬間に感じる「しまった居眠りしちまった今何時で俺はどこで何をしているんだっけ!?」と焦るあの感覚。臨場感を持てないということは、それが継続して起こり「今自分がどこにいて何をしているかわからない」という状態だから、飛行機の中でそれが起こるともう次に何をしたらいいのか分からず、パニクってしまう訳だ。

私は、これが坂井三郎の本にあった、「パイロットの3割頭」の原因の一つではないかと思っている。エアラインで使われるシミュレータは臨場感をいかに作り出すかという方向に進化してきたし、グライダーの経験があったり、パソコンのフライトシムが得意な学生に「センス」がいい人が多いのもそういう理由かもしれない。「思考は現実化する」なんて言う人もいるから、イメージ出来ないことは実現が難しいのだろう。

思い出してみると、私が学生のときに一番乗った飛行機は「地上に置いてあるチェロキー」だった。毎日2時間、次の日のフライトのイメージフライトをしていた訳だが、そのとき無意識にコクピットからの景色、その動くスピード、コクピット内部の音まで再現して繰り返し繰り返し練習していた。それが上手くできないと、つまり、実際にコクピットに乗ったときに感じる臨場感がイメージフライトで予習できていないと、コクピットに閉じ込められてどこかに連れて行かれる感覚(よく、飛行機の後ろを飛んでいるなんて言いますね。)に陥って、頭がぶっ飛んでしまう。

飛行機の訓練における「センスがいい人」というのは、その人の人生経験の何かを応用して、飛行機のコクピットという非日常に置かれるイメージを早い段階でより臨場感をもって正確に構築できる能力に長けている人のことを指すのではないだろうか。その人生経験とは、やってきたスポーツかもしれないし、抱えきれない仕事を納期までにおさめたことかもしれないし、子供の頃にやった習い事かもしれないし、グライダーの経験やパソコンゲームかもしれない。何が吉と出るかはわからない。

もちろん、実際に飛ぶことで最も正確なイメージ材料を手にすることができるから、訓練を始めた後に「センス」をつけることは可能だ。その為には、ごく初期のフライトをイメージフライトを正確にするための材料集めと位置づけることが有効かもしれない。プロシージャや無線のセリフなどを覚えることはもちろん重要だが、暗記で頭を一杯にしてコクピットの中ばかり見ていてはいつまでたっても臨場感を持ったイメージを持ち帰ることはできない。

逆に言えば、正確にイメージする能力さえつけることが出来れば、大丈夫。それで全て上手く行く。

よく見ると、クロスカントリーに入ってもやっぱりイメージイメージ言っている。。。気づいていたのか、あれからたくさん失敗もしているが、センスがなくてもとりあえずパイロットにはなれました。
     2019.01.29 Tuesday



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