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2010.08.31 Tuesday
8/29(日)に、気象予報士試験を受けてきた。初受験である。
試験会場は、東大の駒場キャンパス。東大です、トゥーダイ。渋谷から京王井の頭線で2駅で最寄の「駒場東大前」につく。電車を降りて、さてどっちかなと出口を探そうとして気づいた。なにやら駅員が拡声器を使って案内をしているぞ。
「東大での試験を受けられる方は、階段を出て左ですー。」
なんと。京王線の駅員が、気象予報士試験のアナウンスしている。キャンパスはもう、駅を降りて本当にすぐだった。電車を降りた人のほとんどが門に吸い込まれていく、、
かなりの規模である。試験日程はこんな感じ。
学科(一般知識) 9:45-10:45(60分)
学科(専門知識)11:05-12:05(60分)
実技1 13:10-14:25(75分)
実技2 14:45-16:00(75分)
長い。。
学科試験がマークシートなのに対し、実技試験は、記述問題の試験である。10枚以上の天気図(実況・予想)を組み合わせながら、問題で暗示されているキーワードを織り込んで、自分の言葉で解答を作成する。例えば、
☆低気圧の発達に結びつく要因を、850hPa気温・風と700hPa鉛直p速度の予想に着目し、述べよ。
なんていう場合は、気温、風、鉛直流という観点から低気圧の発達要因を説明しなければならない。つまり、
「低気圧の東側で暖気の移流と上昇、西側で寒気の移流と下降がある。」
というふうに。これが、
☆低気圧の発達の見通しを、850hPa気温・風と700hPa鉛直p速度の予想に着目し、エネルギー論から論ぜよ。
であれば、こうなる。
「低気圧の東側で暖気の移流と上昇、西側で寒気の移流と下降があり、位置エネルギーから運動エネルギーへの変換がなされるため、発達する。」
同じような問題でも、求められているキーワードがしっかり入っていないと、得点が伸びない。これが、合格率5%の難関たる所以だ。そして、試験が進むにつれ、だんだん難易度が増していくように思えた。専門知識では、細かい数字(気象衛星ひまわりの観測は「30分ごと」だったっけ?とか、竜巻注意情報の発表が「2-3時間以内」の発生が見込まれたときだったっけ?とか。。)があいまいで、カンで答えざるを得ない場合も。
実技2では時間が足りなくなってしまい、最後の大設問をまるまる落とした可能性が高い。加点方式なので、どのくらい粘れているかが問題だ。学科については、非公式の回答速報を確認したら、ぎりぎりだった。実技は、もっと解析のスピードをあげないとだめだ。結果は10月。NZで知ることになる。
それにしても、こんなに沢山の人が、日々自分と同じように、擾乱とか渦度とかプラネタリー波とか南方振動とか四次元変分法とかそういう言葉に日常的に接してきたのかと思うと、嬉しくなってしまった。皆それぞれ仕事をかかえながら、時間を見つけて家とか地元の図書館とか会社のラウンジとかでコツコツやってきたんだろうなー。
前の職場では、気象に限らず「勉強」している人なんかほとんどいなかった。家に帰って勉強してますっていうと、異様な目で見られた。「勉強する大人」が1000人以上集まっているのをみて、私だけじゃないんだと思ってなんだか安心した。
大人になってからの勉強は、楽しい。
試験会場は、東大の駒場キャンパス。東大です、トゥーダイ。渋谷から京王井の頭線で2駅で最寄の「駒場東大前」につく。電車を降りて、さてどっちかなと出口を探そうとして気づいた。なにやら駅員が拡声器を使って案内をしているぞ。
「東大での試験を受けられる方は、階段を出て左ですー。」
なんと。京王線の駅員が、気象予報士試験のアナウンスしている。キャンパスはもう、駅を降りて本当にすぐだった。電車を降りた人のほとんどが門に吸い込まれていく、、
かなりの規模である。試験日程はこんな感じ。
学科(一般知識) 9:45-10:45(60分)
学科(専門知識)11:05-12:05(60分)
実技1 13:10-14:25(75分)
実技2 14:45-16:00(75分)
長い。。
学科試験がマークシートなのに対し、実技試験は、記述問題の試験である。10枚以上の天気図(実況・予想)を組み合わせながら、問題で暗示されているキーワードを織り込んで、自分の言葉で解答を作成する。例えば、
☆低気圧の発達に結びつく要因を、850hPa気温・風と700hPa鉛直p速度の予想に着目し、述べよ。
なんていう場合は、気温、風、鉛直流という観点から低気圧の発達要因を説明しなければならない。つまり、
「低気圧の東側で暖気の移流と上昇、西側で寒気の移流と下降がある。」
というふうに。これが、
☆低気圧の発達の見通しを、850hPa気温・風と700hPa鉛直p速度の予想に着目し、エネルギー論から論ぜよ。
であれば、こうなる。
「低気圧の東側で暖気の移流と上昇、西側で寒気の移流と下降があり、位置エネルギーから運動エネルギーへの変換がなされるため、発達する。」
同じような問題でも、求められているキーワードがしっかり入っていないと、得点が伸びない。これが、合格率5%の難関たる所以だ。そして、試験が進むにつれ、だんだん難易度が増していくように思えた。専門知識では、細かい数字(気象衛星ひまわりの観測は「30分ごと」だったっけ?とか、竜巻注意情報の発表が「2-3時間以内」の発生が見込まれたときだったっけ?とか。。)があいまいで、カンで答えざるを得ない場合も。
実技2では時間が足りなくなってしまい、最後の大設問をまるまる落とした可能性が高い。加点方式なので、どのくらい粘れているかが問題だ。学科については、非公式の回答速報を確認したら、ぎりぎりだった。実技は、もっと解析のスピードをあげないとだめだ。結果は10月。NZで知ることになる。
それにしても、こんなに沢山の人が、日々自分と同じように、擾乱とか渦度とかプラネタリー波とか南方振動とか四次元変分法とかそういう言葉に日常的に接してきたのかと思うと、嬉しくなってしまった。皆それぞれ仕事をかかえながら、時間を見つけて家とか地元の図書館とか会社のラウンジとかでコツコツやってきたんだろうなー。
前の職場では、気象に限らず「勉強」している人なんかほとんどいなかった。家に帰って勉強してますっていうと、異様な目で見られた。「勉強する大人」が1000人以上集まっているのをみて、私だけじゃないんだと思ってなんだか安心した。
大人になってからの勉強は、楽しい。
2010.08.09 Monday
薄暗い校舎の中に入ると、そこは吹き抜けのロビーになっていた。
手前に大きな帆船の模型がある。模型と反対側の壁に、受験番号ごとに割り振られた教室を示す張り紙がしてあるのだが、どれも文字が小さくてよくわからない。教室のレイアウトと、張り紙の中にある見取り図の向きが合っていなくて、アサッテの方向にみな散り散りに歩き出しては、違うだのここじゃないだのと文句をいってうろうろしている。
もちろん私も例に漏れず「どこだよ。。」なんてつぶやきながら2階に上がって、実は1階だったことに気づいて階下に戻り、また張り紙があるところまで戻って動き出す。そういうことが校舎のいたるところで起こっていた。暑さと湿度にいらいらしながら歩き回り、やっと教室を見つけてドアを開けると、教室の中はものすごく冷房が効いていていくらか安堵する。最初に目論見をつけたところと、階も違うし方向も正反対で、いったいどうしたらこんなにわかりづらい案内ができるだろうと、座席に座って考え込んでしまった。なにしろ、駅の出口を出てきてから40分は経っているのだ。
座席は受験番号ごとに決められていて、勝手な席に座ることはできない。私の前のおじさんは強い汗の臭いを漂わせて神経質そうに肩をすぼめて座っている。ふいに、そのおじさんの机の右隣に男性が座ろうとした。男性はバッグと受験票を机の上に置いて座席に半分腰掛けるようにすわり、ほかの荷物を出そうとしている。私の前のおじさんは、まるで尻の割れ目にダンゴムシが入ってしまったみたいにそわそわと動き出し、何かを言いたげな表情で、その男性と教室の前に立っている試験官のほうを何度も何度も交互に見るのだが、決して言葉を発しようとはしない。男性が、おじさんの異様な視線と、他の座席にはある番号札が自分の席にないことに気づき、教室の前の黒板と自分の受験票を見比べて、「ここは違うんですか?」とおじさんに声をかけた。おじさんは、何も答えない。汗の臭いが少し強くなったような気がする。ここは嗅覚疲労に期待するしかない。
試験は9時から14時で、つまりこんな感じ。
地味に長丁場なのだ。
ただし、今回の私の狙いは法規だけ。
ニュージーランドで取得する免許のうちPPLという初期段階技能証明は、実技や学科試験を受けずにそのまま日本の自家用操縦士技能証明に書き換えることができる。ただし、条件があって、それが自家用操縦士学科試験の「法規」に合格していること、なのだ。ところが、最初にこの試験を受けるものは、学科試験を全ての科目について受験しなければならないため、とりあえず全教科受けることになる。本来であれば、全教科合格するとその有効期限が延びたり、何よりニュージーでの訓練の予習にもなるため、全教科勉強していくことが望ましい。
しかし、私は気象予報士の学習にかなりの時間と思考力が必要なので、こちらに関しては最小限の努力に抑えることにした。飛行機については、ニュージーランドにいってから英語で全部やる。(吉と出るか凶と出るか。。)
試験は、そこまで難しくはなかった。スタディガイドという問題集を通しで2-3回やり、ノートに重要項目をまとめただけだ。後日答え合わせをすると、細部の数字があいまいなところで4問ほど落としていた。マークミスがあったら危ないかもしれない。マークシートも「□」を「■」のように塗りつぶしてはいけない、という珍しい(?)もので、「日」のように、横棒線を引くというものだった。余計にやりづらかった。マークミスも、油断できないぞ。
結果はまた後日。
手前に大きな帆船の模型がある。模型と反対側の壁に、受験番号ごとに割り振られた教室を示す張り紙がしてあるのだが、どれも文字が小さくてよくわからない。教室のレイアウトと、張り紙の中にある見取り図の向きが合っていなくて、アサッテの方向にみな散り散りに歩き出しては、違うだのここじゃないだのと文句をいってうろうろしている。
もちろん私も例に漏れず「どこだよ。。」なんてつぶやきながら2階に上がって、実は1階だったことに気づいて階下に戻り、また張り紙があるところまで戻って動き出す。そういうことが校舎のいたるところで起こっていた。暑さと湿度にいらいらしながら歩き回り、やっと教室を見つけてドアを開けると、教室の中はものすごく冷房が効いていていくらか安堵する。最初に目論見をつけたところと、階も違うし方向も正反対で、いったいどうしたらこんなにわかりづらい案内ができるだろうと、座席に座って考え込んでしまった。なにしろ、駅の出口を出てきてから40分は経っているのだ。
座席は受験番号ごとに決められていて、勝手な席に座ることはできない。私の前のおじさんは強い汗の臭いを漂わせて神経質そうに肩をすぼめて座っている。ふいに、そのおじさんの机の右隣に男性が座ろうとした。男性はバッグと受験票を机の上に置いて座席に半分腰掛けるようにすわり、ほかの荷物を出そうとしている。私の前のおじさんは、まるで尻の割れ目にダンゴムシが入ってしまったみたいにそわそわと動き出し、何かを言いたげな表情で、その男性と教室の前に立っている試験官のほうを何度も何度も交互に見るのだが、決して言葉を発しようとはしない。男性が、おじさんの異様な視線と、他の座席にはある番号札が自分の席にないことに気づき、教室の前の黒板と自分の受験票を見比べて、「ここは違うんですか?」とおじさんに声をかけた。おじさんは、何も答えない。汗の臭いが少し強くなったような気がする。ここは嗅覚疲労に期待するしかない。
試験は9時から14時で、つまりこんな感じ。
地味に長丁場なのだ。
ただし、今回の私の狙いは法規だけ。
ニュージーランドで取得する免許のうちPPLという初期段階技能証明は、実技や学科試験を受けずにそのまま日本の自家用操縦士技能証明に書き換えることができる。ただし、条件があって、それが自家用操縦士学科試験の「法規」に合格していること、なのだ。ところが、最初にこの試験を受けるものは、学科試験を全ての科目について受験しなければならないため、とりあえず全教科受けることになる。本来であれば、全教科合格するとその有効期限が延びたり、何よりニュージーでの訓練の予習にもなるため、全教科勉強していくことが望ましい。
しかし、私は気象予報士の学習にかなりの時間と思考力が必要なので、こちらに関しては最小限の努力に抑えることにした。飛行機については、ニュージーランドにいってから英語で全部やる。(吉と出るか凶と出るか。。)
試験は、そこまで難しくはなかった。スタディガイドという問題集を通しで2-3回やり、ノートに重要項目をまとめただけだ。後日答え合わせをすると、細部の数字があいまいなところで4問ほど落としていた。マークミスがあったら危ないかもしれない。マークシートも「□」を「■」のように塗りつぶしてはいけない、という珍しい(?)もので、「日」のように、横棒線を引くというものだった。余計にやりづらかった。マークミスも、油断できないぞ。
結果はまた後日。
2010.08.01 Sunday
7/25(日)に、自家用操縦士の学科試験を受験してきました。
海外の技能証明の書き換えには、日本の学科試験のうち、少なくとも「法規」に合格していることが必要条件となっていて、そのためにヒートアイランド現象でものすごい暑さの中、越中島の海洋大学に赴きました。
試験時間は、朝9時から14時まで。その中で、航空気象、航空工学、航空法規、航空通信、(お昼挟んで)航空航法という日程。9時か、地味に早いな。それにしても何でこんなに丸の内線と京葉線のホームは離れているんだ。日曜の東京駅の朝で、ほとんど人がいないからまだいいが。
ガラーン。
JR京葉線の越中島駅のA5出口から地上に出たあと、海洋大学を探す。探すも何も、海洋大学の地下から這い出てきたようなもので、学校は自分の背後にある。受験票には、「必ず正門から入れ」との指示がある。ところが、正門がわからず学生寮に入りそうになったり、逆方向に歩いたり、鍵のかかっている門越しに構内を凝視したり。。。うんざりして受験票をもういちどよくみると「清澄通りに面する正門から入れ」とある。あぁ、清澄通りね。もちろん知ってたよ、うん。周りを見ると同じような目つきでうろうろと歩いている人たちが結構いた。
それにしても暑い。
やっと構内に入り、なかば鬱蒼と木々が立ち並ぶ暗い歩道に沿って、レンガ造りの校舎が並んでいる。わりと、こういう古臭さは好きだ。
「海洋」大学っぽいこんなモチーフもある。
試験が実施される校舎にたどり着くと、モテなそうなさえない男子や男性が、そこかしこの日陰に座り込んで問題集やノートをひろげてなにやらぶつぶつ唱えている。なんと、建物のドアがまだ開いていないのだ。試験開始の5分前に着席してくださいと赤字で注意書きがある割には、30分前になってもドアが開いておらず、受験生に夏の直射日光を避ける努力を強いるってのはどういうことだろう。ただ、国家試験なんてこんなものかと、別段驚きもせずに同じように、適当な日陰を見つけて座り込んだ。きっと、周りに負けないほど、さえない顔をしていただろう。ふいに、小柄で七三分けのおじさんが汗だくで突進してきたかと思うと、目の前を通り過ぎて校舎の玄関の前に立ち、鍵を開けた。
やっと入れる。それにしても暑い。
【後編につづく】
海外の技能証明の書き換えには、日本の学科試験のうち、少なくとも「法規」に合格していることが必要条件となっていて、そのためにヒートアイランド現象でものすごい暑さの中、越中島の海洋大学に赴きました。
試験時間は、朝9時から14時まで。その中で、航空気象、航空工学、航空法規、航空通信、(お昼挟んで)航空航法という日程。9時か、地味に早いな。それにしても何でこんなに丸の内線と京葉線のホームは離れているんだ。日曜の東京駅の朝で、ほとんど人がいないからまだいいが。
ガラーン。
JR京葉線の越中島駅のA5出口から地上に出たあと、海洋大学を探す。探すも何も、海洋大学の地下から這い出てきたようなもので、学校は自分の背後にある。受験票には、「必ず正門から入れ」との指示がある。ところが、正門がわからず学生寮に入りそうになったり、逆方向に歩いたり、鍵のかかっている門越しに構内を凝視したり。。。うんざりして受験票をもういちどよくみると「清澄通りに面する正門から入れ」とある。あぁ、清澄通りね。もちろん知ってたよ、うん。周りを見ると同じような目つきでうろうろと歩いている人たちが結構いた。
それにしても暑い。
やっと構内に入り、なかば鬱蒼と木々が立ち並ぶ暗い歩道に沿って、レンガ造りの校舎が並んでいる。わりと、こういう古臭さは好きだ。
「海洋」大学っぽいこんなモチーフもある。
試験が実施される校舎にたどり着くと、モテなそうなさえない男子や男性が、そこかしこの日陰に座り込んで問題集やノートをひろげてなにやらぶつぶつ唱えている。なんと、建物のドアがまだ開いていないのだ。試験開始の5分前に着席してくださいと赤字で注意書きがある割には、30分前になってもドアが開いておらず、受験生に夏の直射日光を避ける努力を強いるってのはどういうことだろう。ただ、国家試験なんてこんなものかと、別段驚きもせずに同じように、適当な日陰を見つけて座り込んだ。きっと、周りに負けないほど、さえない顔をしていただろう。ふいに、小柄で七三分けのおじさんが汗だくで突進してきたかと思うと、目の前を通り過ぎて校舎の玄関の前に立ち、鍵を開けた。
やっと入れる。それにしても暑い。
【後編につづく】
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