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2012.05.28 Monday
この記事で紹介したTTMRAに基づくオーストラリアのCPL発行。書類をスキャンしてメール添付して送ったのが5月5日のこどもの日。本当にスキャンして送るだけで発行されるんのかと半信半疑だったが、、、
23日目で日本の自宅に到着。
ちなみに、書類の元本は1枚もオーストラリアに渡っていない。なんだか、本邦との差に愕然とする。何しろ、日本の免許の申請はこどもの日の4日前に直接、航空局に渡したのだ。わざわざ現地まで行って(いったん行くとこ間違えて)ログブックのコピーを10枚以上とって書き直しだの何だので一日がかりだったのだ。orz
なのに、南半球の大陸から来る免許のほうが早いってのは一体全体どういう了見なんでぃ!ドンドン!!(机をたたく音。)
ニュージーランドでも感じたが、彼らは行政がシンプルな気がする。四角四面なところは変わらなのかもしれないが、私の経験上、ちゃんと当たり前のことを当たり前にやっている。(震災のときの対応の違いにも、それは強く感じたことだ。)インターネットも普通に、合理的に使う。たとえば、航空局のテストやライセンス記録だって一人一人にアカウントがあって管理されている。何で日本はやらないんだろうそういうの。免許が紙なのは同じだったが。笑
さて、その免許だが、いろいろな書類とともに封書で送られてきた。良く見ると、ニュージーランドと違うところも。。。
飛行機のType Ratingは「Aircraft Endorcements」という名前で登録されているが、単発5700kg未満はひとくくりにされている。セスナでもチェロキーでもなんでもいいってことか。ただし、PA34(セネカ)は引き込み脚と可変ピッチプロペラのレーティングがついている。ふむふむ、こういう区分けなんだな。。。
また、計器飛行の資格にはDGAという見慣れない表記、、、一緒についてきた略語一覧で調べてみると、DME or GPS Arrival Procedure だそう。ん?GPSもつくのかこれは?なんでDMEとGPSがひとくくりなんだろう。
私は、海外でやっていくと決めたので、ATPLが実機テストなしで取れるオーストラリアのライセンスが発行されたことは、もしかしたら将来大きな意味を持つかもしれない。また、CASA(オーストラリア航空局)に問い合わせたところ、私がこれからニュージーランドに戻って教官の資格を取れば、それを別途申請することでオーストラリアの教官資格も同じように書き換えできるらしい。ニュージーランドでの仕事がどうしても取れなかったら、オーストラリアに職を求めにいくか、、、
もちろんどうなるかは、そのときになってみないと分からないけれど、生き残っていくには、レールに乗っかることを考えていてはだめだ。自分で工夫して、人間関係を地道に構築し、誰にどんな形で自分を売り込むかを「自分の頭で」考える必要がある。成功した誰かのやり方をコピーしてもだめだ。電灯に群がる蛾のように、思考停止状態で希望に吸い寄せられていけば、高圧電流にやられて強制帰国だ。自分の売りを持っているだけではだめで、それを積極的に表現しなければならない。
でも、そういうのはキライじゃない。
さーて、日本のPPL免許はまだかなー。
23日目で日本の自宅に到着。
ちなみに、書類の元本は1枚もオーストラリアに渡っていない。なんだか、本邦との差に愕然とする。何しろ、日本の免許の申請はこどもの日の4日前に直接、航空局に渡したのだ。わざわざ現地まで行って(
なのに、南半球の大陸から来る免許のほうが早いってのは一体全体どういう了見なんでぃ!ドンドン!!(机をたたく音。)
ニュージーランドでも感じたが、彼らは行政がシンプルな気がする。四角四面なところは変わらなのかもしれないが、私の経験上、ちゃんと当たり前のことを当たり前にやっている。(震災のときの対応の違いにも、それは強く感じたことだ。)インターネットも普通に、合理的に使う。たとえば、航空局のテストやライセンス記録だって一人一人にアカウントがあって管理されている。何で日本はやらないんだろうそういうの。免許が紙なのは同じだったが。笑
さて、その免許だが、いろいろな書類とともに封書で送られてきた。良く見ると、ニュージーランドと違うところも。。。
飛行機のType Ratingは「Aircraft Endorcements」という名前で登録されているが、単発5700kg未満はひとくくりにされている。セスナでもチェロキーでもなんでもいいってことか。ただし、PA34(セネカ)は引き込み脚と可変ピッチプロペラのレーティングがついている。ふむふむ、こういう区分けなんだな。。。
また、計器飛行の資格にはDGAという見慣れない表記、、、一緒についてきた略語一覧で調べてみると、DME or GPS Arrival Procedure だそう。ん?GPSもつくのかこれは?なんでDMEとGPSがひとくくりなんだろう。
私は、海外でやっていくと決めたので、ATPLが実機テストなしで取れるオーストラリアのライセンスが発行されたことは、もしかしたら将来大きな意味を持つかもしれない。また、CASA(オーストラリア航空局)に問い合わせたところ、私がこれからニュージーランドに戻って教官の資格を取れば、それを別途申請することでオーストラリアの教官資格も同じように書き換えできるらしい。ニュージーランドでの仕事がどうしても取れなかったら、オーストラリアに職を求めにいくか、、、
もちろんどうなるかは、そのときになってみないと分からないけれど、生き残っていくには、レールに乗っかることを考えていてはだめだ。自分で工夫して、人間関係を地道に構築し、誰にどんな形で自分を売り込むかを「自分の頭で」考える必要がある。成功した誰かのやり方をコピーしてもだめだ。電灯に群がる蛾のように、思考停止状態で希望に吸い寄せられていけば、高圧電流にやられて強制帰国だ。自分の売りを持っているだけではだめで、それを積極的に表現しなければならない。
でも、そういうのはキライじゃない。
さーて、日本のPPL免許はまだかなー。
2012.05.19 Saturday
「今がつらい時期でしょ。」
埼玉の某居酒屋で開口一番、言われた言葉である。
なんでわかるんですかー!!と思ったがそりゃそうだ。前から不思議だったのだが、なぜか私はことごとくこちらとカブる経験が多い。もと車系のエンジニアだし、実家も近いし、日本に帰ってきてから派遣で働いているし。。。
だから、日本に帰ってきてから飛ぶことと疎遠になり、どのくらいでやばくなるかを言い当てられたのは、ある意味で当然だった。
実際、最近はこたえることが多い。
特に、電車に乗っているときが良くない。日本の通勤電車というのは、なにかマイナスのエネルギーに満ち満ちている気がする。そういう中でぼーっと、ドア際に立って外の景色を眺めていると、ふとした隙にもう一人の自分が忍び込んでくるのだ。
「パイロットになれると、本気で信じているのか。」
「できるわけないだろう。」
「お前は下手なんだから、どうせ落ちるさ。」
「どうせどこかでつまづくさ。うまくいくはずはない。。。」
多分、パイロットになってからもこういう声とは常に闘っていかなければならないはずだ。飛行機を飛ばす技術というのは、練習すればいくらでもうまくなる。でも、例えば試験でそれが発揮できなかったり、なんでもないミスを大きな事故につなげてしまうようなパイロットというのは、こういう声に対する力が弱かったのではないだろうか。自分自身をコントロールするというのは、本当に難しい。夢を持つと、よく分かる。目つきの悪いもう一人の自分が、滝の向こうから姿を現すのだ。
こういう心理状態に陥ることを、忍者を題材にした人気の漫画にあやかって「幻術にかかった。」と呼ぶことにしている。ある心理状態から脱するには、その状態を客観的に認識すればいい。客観視するのに最も効果的なのは、名前をつけることだ。「これは、なんだ。」という質問に答えられれば「得体の知れない何か」であった心理状態から抜け出せる。まぁ、そんなに言うほど簡単ではないが、最近では、上記のようにもう一人の自分が話しかけてきたとき「あぁ、また『幻術』か。」と思えるようになってきた。
こんな風に、揺れ動く心に耐えながら、毎日毎日毎日電車に揺られていると、いやでも考えざるを得ない。私が本当に欲しがっているものはなんなのか。ジョブズのスピーチをipodに落として窓の外の景色が後ろに吹き飛ぶのにまかせて何回も聞いていると、その気持ちはいよいよ確信に近くなる。
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.
You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.
うん。知ってる。もうどっちに行きたいのかは言われなくてもよく分かっている。
自分でお金を貯めているからかもしれないが、どこにどうそのお金を投資するか、ものすごく慎重になっている。アウェーで外国人。とんでもないハンデだが、もう、本当にやりたいことをやらないと、どの道中途半端に終わる。そして、それを取り返すだけの時間は、いい加減、もう残っていない。
私は、New Zealandに戻ることにした。
まずは母校で教官を目指す。フライトタイムを貯めて、現地でラインパイロットを目指す。日本でやるのと比べて、3倍くらい時間はかかるが、グッドラックにあこがれているわけではないので、そこは問題ない。PICの経験をしっかり貯めて、キャプテンに英語でベラベラ意見が出来るF/Oを目指そう。うん、そのほうが性に合っている。
引き続きがんばるぞ!
埼玉の某居酒屋で開口一番、言われた言葉である。
なんでわかるんですかー!!と思ったがそりゃそうだ。前から不思議だったのだが、なぜか私はことごとくこちらとカブる経験が多い。もと車系のエンジニアだし、実家も近いし、日本に帰ってきてから派遣で働いているし。。。
だから、日本に帰ってきてから飛ぶことと疎遠になり、どのくらいでやばくなるかを言い当てられたのは、ある意味で当然だった。
実際、最近はこたえることが多い。
特に、電車に乗っているときが良くない。日本の通勤電車というのは、なにかマイナスのエネルギーに満ち満ちている気がする。そういう中でぼーっと、ドア際に立って外の景色を眺めていると、ふとした隙にもう一人の自分が忍び込んでくるのだ。
「パイロットになれると、本気で信じているのか。」
「できるわけないだろう。」
「お前は下手なんだから、どうせ落ちるさ。」
「どうせどこかでつまづくさ。うまくいくはずはない。。。」
多分、パイロットになってからもこういう声とは常に闘っていかなければならないはずだ。飛行機を飛ばす技術というのは、練習すればいくらでもうまくなる。でも、例えば試験でそれが発揮できなかったり、なんでもないミスを大きな事故につなげてしまうようなパイロットというのは、こういう声に対する力が弱かったのではないだろうか。自分自身をコントロールするというのは、本当に難しい。夢を持つと、よく分かる。目つきの悪いもう一人の自分が、滝の向こうから姿を現すのだ。
こういう心理状態に陥ることを、忍者を題材にした人気の漫画にあやかって「幻術にかかった。」と呼ぶことにしている。ある心理状態から脱するには、その状態を客観的に認識すればいい。客観視するのに最も効果的なのは、名前をつけることだ。「これは、なんだ。」という質問に答えられれば「得体の知れない何か」であった心理状態から抜け出せる。まぁ、そんなに言うほど簡単ではないが、最近では、上記のようにもう一人の自分が話しかけてきたとき「あぁ、また『幻術』か。」と思えるようになってきた。
こんな風に、揺れ動く心に耐えながら、毎日毎日毎日電車に揺られていると、いやでも考えざるを得ない。私が本当に欲しがっているものはなんなのか。ジョブズのスピーチをipodに落として窓の外の景色が後ろに吹き飛ぶのにまかせて何回も聞いていると、その気持ちはいよいよ確信に近くなる。
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.
You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.
うん。知ってる。もうどっちに行きたいのかは言われなくてもよく分かっている。
自分でお金を貯めているからかもしれないが、どこにどうそのお金を投資するか、ものすごく慎重になっている。アウェーで外国人。とんでもないハンデだが、もう、本当にやりたいことをやらないと、どの道中途半端に終わる。そして、それを取り返すだけの時間は、いい加減、もう残っていない。
私は、New Zealandに戻ることにした。
まずは母校で教官を目指す。フライトタイムを貯めて、現地でラインパイロットを目指す。日本でやるのと比べて、3倍くらい時間はかかるが、グッドラックにあこがれているわけではないので、そこは問題ない。PICの経験をしっかり貯めて、キャプテンに英語でベラベラ意見が出来るF/Oを目指そう。うん、そのほうが性に合っている。
引き続きがんばるぞ!
2012.05.17 Thursday
先日、某記事のコメントで以下のような質問をうけた。
「私の息子(10歳)がパイロットの夢を持っています。唐突に質問なんですが2〜3年後にニュージーランドに行こうと計画中です。IAANZへの入学できる年齢近くになって(いくつでは入れるかはわかりませんが)からニュージーに行ったほうがいいと思われますか?」
なんと素晴らしいお父様だろう。笑 コメント欄でお答えしたが、書いているうちにNZあるいは日本でパイロットになる道を改めてうまく整理できたので、記事という形で残しておくことにした。質問を下さったリョウさん、ありがとうございました。
以下、原文より。
ご質問にお答えします。確認なのですが、2-3年後にご家族でNZに移住されたいと希望しているということでしょうか。その上で、息子さんがパイロットになる道の可能性を探っているという理解でよろしいでしょうか。
その前提で話を始めますと、、、
【NZにくるのは早いほうが良いか】
NZの法律では、飛行機を操縦していい年齢が以下のように段階的に定められています。
http://www.caa.govt.nz/rules/Part_061_Brief.htm の「view current rule」より。( )はページ番号。
Solo:(練習などで単独飛行ができるがライセンスはなし):16歳〜 (p.35)
PPL:(自家用操縦士 無償でお客さんを乗せて飛べる免許)17歳〜 (p.38)
CPL:(事業用操縦士 お金を取ってお客さんを乗せて飛べる免許)18歳〜(p.41)
ATPL:(定期運送用操縦士 エアラインの機長として飛ぶための免許)21歳〜(p.44)
よって、自分で操縦するために飛行機に乗るとしたら、最も早くて16歳です。そして、PPLの試験を受けるぐらいで17歳の誕生日を迎えれば、PPLまでなら取ることが出来ます。
個人的にはそんなに急ぐ必要はないと思います。CPLまで取ったら取り合えずパイロットとしての職を探すことになるわけで、そのときに18歳である必要はありません。私なんか、CPLで29歳です。もうちょい早いほうが良いと思いますが。笑 訓練で同期だったkiwi(ニュージーランド人)は、ほとんど大卒でした。
ただ、早く来ることには別の意味もあります。それは、永住権と語学の問題です。最終的にエアラインパイロットとしてNZでの就職を目指すなら、永住権は必須です。もし移住されるのであれば、早く来てお子さんの永住権に向けて動く必要が出てくるかもしれません。語学に関しては、いうまでもなく英語に慣れるのは早いほうが良いということです。
あくまで参考として聞いて欲しいのですが、NZでパイロットを目指すなら、早めにNZに来て英語と永住権をクリアした上で大学に行き、勉強に対する耐性をつけてからパイロットの訓練に臨むというのがいいかもしれませんね。結構分厚いんですよ、教科書が。笑
それに、13歳でも教官同乗でFUN FLIHGTをするのは比較的簡単に出来ます。その状態でも、飛行時間は公式なものをつけることが出来ます。私の同期にも、一人だけデザインの違うログブックを使っているkiwiがいて、彼も子供のときに何度か飛びにきたことがあったそうです。日本ではセスナで1時間 5万円くらいしますが、NZでは12000円(1ドル60円換算)くらいなので、週末親子で気軽に飛びに来る人は結構います。
【エアラインパイロットを目指す NZ編】
さて、NZで具体的にどのようにエアラインパイロットを目指すかというと、多くが以下のようなキャリアをたどります。
1.PPL取得。【↓学生スタート↓】
2.MEIR(エンジンが2個の飛行機で、計器だけで飛ぶための資格)取得。
3.CPL取得。
4.Instructor Rating(教官として働く資格)取得。
5.教官として(大体が訓練をしたその学校に)職を得る。【↓ここから小型機教官↓】
6.エアラインの応募要件になるまで、教官をしながらフライトタイムを貯める。
7.条件がそろったら、航空会社にCV(履歴書)を送る。
8.面接に呼ばれるのを待つ。
9.面接と数々のチェックを受け、合格する。【↓ここからラインパイロット↓】
10.副操縦士に向けて会社で訓練が始まる。
11.副操縦士として乗務開始。
3.から11.まで、人にもよりますが、大体5年から7年程かかります。また、簡単に書いていますが、5.と9.は職がなかったり、合格しないことだって当然あります。教官の資格を取れば、全員学校が雇ってくれるかというとそんなことはないため、厳しい競争があることは否めません。
【エアラインパイロットを目指す 日本編】
さて、日本ではまったく違ったキャリアをたどります。現在のところ日本で民間のパイロットになるには大きく分けて3つあります。
a.自社養成制度
大学卒業後、就職活動をして航空会社(ANAとかJALですね)入社、社員としてパイロットになる訓練を受けます。訓練内容は、上記でいうと9.1.2.3.10.11.です。
b.航空大学
大学卒業後(入学資格は大学2年次からありますが)独立行政法人の航空大学校というところに入校し、日本の空を飛ぶための免許を日本で取得します。全ての訓練を日本で行うため、費用は3000万円くらいと聞いたことがあります、ただし、そのほとんどは税金でまかなわれるため、学生側の負担額は自社養成に続いて小さくなります。その後、募集枠が確保されている航空会社に応募し、合格すればパイロットとして入社します。訓練内容は、1.2.3.9.10.11.といったところでしょうか。
c.自費訓練
航空大学校と同じような訓練(小型機で、人を乗せて飛べるようになるまでのフェーズ)を、費用全額自己負担で取得します。私がやっているのもこの形です。ほかには私立大が航空会社と提携して訓練プログラムを組んでいるところもありますが、やはり全額自己負担なので、こちらに含めました。訓練内容は、
1.2.3.2.3.9.10.11.です。
a.b.は、日本に「小型飛行機の教官」という需要が圧倒的に少ないことが背景にあります。つまり、普通は1500時間以上小型機で飛んだ経験がある人がエアラインに行くのが一般的なのですが、日本にはそもそもその時間をためるために小型機で飛ぼうとしても、需要(例えば教官)がありません。ですから、制度のほうもその現実に即すことを余儀なくされ、訓練学校卒業後すぐに航空会社に応募するシステムになっています。海外で要求される飛行時間の1/4くらいの飛行時間で応募できるということは、応募側からすれば魅力的にうつります。合格すれば、a.は基本的に会社負担、b.は大半を税金が払ってくれます。
デメリットは、倍率が高いこと、入社、合格できなければ、飛行機に携わる道が絶たれてしまうことと、この制度自体が何時まで存続できるか(会社も国も財政難ですから)ということです。こんな情報もあります。
c.は、私がやっている方法ですが、2.と3.が二回出てきています。これは、日本で飛べる免許を取るために、日本国内で一部の訓練をやり直すためです。これが最大のデメリットで、日本は飛行単価が高いので、訓練費だけで900万円ほどします。(海外の訓練費用は別。)それでも、海外で取得した免許の一部を、免除制度を使って書き換えるという仕組みを使うと、渡航費を考慮に入れても安くつきます。私がNZに行ったのもそのためです。また、自社養成のように会社に就職してから訓練を始めるわけではないので、合格できないというリスクもあります。
「私の息子(10歳)がパイロットの夢を持っています。唐突に質問なんですが2〜3年後にニュージーランドに行こうと計画中です。IAANZへの入学できる年齢近くになって(いくつでは入れるかはわかりませんが)からニュージーに行ったほうがいいと思われますか?」
なんと素晴らしいお父様だろう。笑 コメント欄でお答えしたが、書いているうちにNZあるいは日本でパイロットになる道を改めてうまく整理できたので、記事という形で残しておくことにした。質問を下さったリョウさん、ありがとうございました。
以下、原文より。
ご質問にお答えします。確認なのですが、2-3年後にご家族でNZに移住されたいと希望しているということでしょうか。その上で、息子さんがパイロットになる道の可能性を探っているという理解でよろしいでしょうか。
その前提で話を始めますと、、、
【NZにくるのは早いほうが良いか】
NZの法律では、飛行機を操縦していい年齢が以下のように段階的に定められています。
http://www.caa.govt.nz/rules/Part_061_Brief.htm の「view current rule」より。( )はページ番号。
Solo:(練習などで単独飛行ができるがライセンスはなし):16歳〜 (p.35)
PPL:(自家用操縦士 無償でお客さんを乗せて飛べる免許)17歳〜 (p.38)
CPL:(事業用操縦士 お金を取ってお客さんを乗せて飛べる免許)18歳〜(p.41)
ATPL:(定期運送用操縦士 エアラインの機長として飛ぶための免許)21歳〜(p.44)
よって、自分で操縦するために飛行機に乗るとしたら、最も早くて16歳です。そして、PPLの試験を受けるぐらいで17歳の誕生日を迎えれば、PPLまでなら取ることが出来ます。
個人的にはそんなに急ぐ必要はないと思います。CPLまで取ったら取り合えずパイロットとしての職を探すことになるわけで、そのときに18歳である必要はありません。私なんか、CPLで29歳です。もうちょい早いほうが良いと思いますが。笑 訓練で同期だったkiwi(ニュージーランド人)は、ほとんど大卒でした。
ただ、早く来ることには別の意味もあります。それは、永住権と語学の問題です。最終的にエアラインパイロットとしてNZでの就職を目指すなら、永住権は必須です。もし移住されるのであれば、早く来てお子さんの永住権に向けて動く必要が出てくるかもしれません。語学に関しては、いうまでもなく英語に慣れるのは早いほうが良いということです。
あくまで参考として聞いて欲しいのですが、NZでパイロットを目指すなら、早めにNZに来て英語と永住権をクリアした上で大学に行き、勉強に対する耐性をつけてからパイロットの訓練に臨むというのがいいかもしれませんね。結構分厚いんですよ、教科書が。笑
それに、13歳でも教官同乗でFUN FLIHGTをするのは比較的簡単に出来ます。その状態でも、飛行時間は公式なものをつけることが出来ます。私の同期にも、一人だけデザインの違うログブックを使っているkiwiがいて、彼も子供のときに何度か飛びにきたことがあったそうです。日本ではセスナで1時間 5万円くらいしますが、NZでは12000円(1ドル60円換算)くらいなので、週末親子で気軽に飛びに来る人は結構います。
【エアラインパイロットを目指す NZ編】
さて、NZで具体的にどのようにエアラインパイロットを目指すかというと、多くが以下のようなキャリアをたどります。
1.PPL取得。【↓学生スタート↓】
2.MEIR(エンジンが2個の飛行機で、計器だけで飛ぶための資格)取得。
3.CPL取得。
4.Instructor Rating(教官として働く資格)取得。
5.教官として(大体が訓練をしたその学校に)職を得る。【↓ここから小型機教官↓】
6.エアラインの応募要件になるまで、教官をしながらフライトタイムを貯める。
7.条件がそろったら、航空会社にCV(履歴書)を送る。
8.面接に呼ばれるのを待つ。
9.面接と数々のチェックを受け、合格する。【↓ここからラインパイロット↓】
10.副操縦士に向けて会社で訓練が始まる。
11.副操縦士として乗務開始。
3.から11.まで、人にもよりますが、大体5年から7年程かかります。また、簡単に書いていますが、5.と9.は職がなかったり、合格しないことだって当然あります。教官の資格を取れば、全員学校が雇ってくれるかというとそんなことはないため、厳しい競争があることは否めません。
【エアラインパイロットを目指す 日本編】
さて、日本ではまったく違ったキャリアをたどります。現在のところ日本で民間のパイロットになるには大きく分けて3つあります。
a.自社養成制度
大学卒業後、就職活動をして航空会社(ANAとかJALですね)入社、社員としてパイロットになる訓練を受けます。訓練内容は、上記でいうと9.1.2.3.10.11.です。
b.航空大学
大学卒業後(入学資格は大学2年次からありますが)独立行政法人の航空大学校というところに入校し、日本の空を飛ぶための免許を日本で取得します。全ての訓練を日本で行うため、費用は3000万円くらいと聞いたことがあります、ただし、そのほとんどは税金でまかなわれるため、学生側の負担額は自社養成に続いて小さくなります。その後、募集枠が確保されている航空会社に応募し、合格すればパイロットとして入社します。訓練内容は、1.2.3.9.10.11.といったところでしょうか。
c.自費訓練
航空大学校と同じような訓練(小型機で、人を乗せて飛べるようになるまでのフェーズ)を、費用全額自己負担で取得します。私がやっているのもこの形です。ほかには私立大が航空会社と提携して訓練プログラムを組んでいるところもありますが、やはり全額自己負担なので、こちらに含めました。訓練内容は、
1.2.3.2.3.9.10.11.です。
a.b.は、日本に「小型飛行機の教官」という需要が圧倒的に少ないことが背景にあります。つまり、普通は1500時間以上小型機で飛んだ経験がある人がエアラインに行くのが一般的なのですが、日本にはそもそもその時間をためるために小型機で飛ぼうとしても、需要(例えば教官)がありません。ですから、制度のほうもその現実に即すことを余儀なくされ、訓練学校卒業後すぐに航空会社に応募するシステムになっています。海外で要求される飛行時間の1/4くらいの飛行時間で応募できるということは、応募側からすれば魅力的にうつります。合格すれば、a.は基本的に会社負担、b.は大半を税金が払ってくれます。
デメリットは、倍率が高いこと、入社、合格できなければ、飛行機に携わる道が絶たれてしまうことと、この制度自体が何時まで存続できるか(会社も国も財政難ですから)ということです。こんな情報もあります。
c.は、私がやっている方法ですが、2.と3.が二回出てきています。これは、日本で飛べる免許を取るために、日本国内で一部の訓練をやり直すためです。これが最大のデメリットで、日本は飛行単価が高いので、訓練費だけで900万円ほどします。(海外の訓練費用は別。)それでも、海外で取得した免許の一部を、免除制度を使って書き換えるという仕組みを使うと、渡航費を考慮に入れても安くつきます。私がNZに行ったのもそのためです。また、自社養成のように会社に就職してから訓練を始めるわけではないので、合格できないというリスクもあります。
2012.05.14 Monday
オーストラリア大使館に行ってから11日。
必要書類がそろって数日後にCASAに問い合わせた。Applicationの中に「書類の提出は、スキャンしたPDFをメール送信でも良いよ」的なことが書いてあったのだが、ライセンスを発行してもらうのに電子データでいいってことはないだろうと思って念のために聞いてみたのだった。答えは、、、
「いいよー。」orz
なんてユーザーフレンドリー。日本とは偉い違いだ。orz
そして、本日仕事から帰ってくると届いていた。
いや、まだライセンスが届いたわけではない。CASAのデータベース上で私の情報を識別するためのARNという個人番号が割り振られたという通知。つまり、免許更新は順調に進んでいるということか。。。すばらしい。さすがTasman brothers(そんな言葉はありません。最近誤字脱字とかいろいろ突っ込み入るので。念為。)
。。。
実は、ここ1ヶ月ほどかなり頭を使った命題があった。結論が出つつある。
今日、仕事の合間にこんな動画を見た。有名なスピーチだ。
実は、全部聞いたことはなかった。でも、今日これを聞いてその一字一句に共感した。大学を中退したこと(いちいち自社養成で説明しなければならなかったので大変だったなー)自分の好きなクラスを取ったこと(直感を信じて専門学校にいっていなかったら、英語のスーパー師匠に出会えてなかったんだよなー)とかいちいち共感してしまう。最後まで聞いて、「結論が出つつある」というのは間違いだと気づいた。
結論は、出つつあるのではない。本当は、出ているのだ。自分にとって何が一番重要なことなのか、本当は私はよく分かっている。
10年後から見たら明らかに整合性の取れている2点を今つなぐことの、なんと怖ろしいことよ。
必要書類がそろって数日後にCASAに問い合わせた。Applicationの中に「書類の提出は、スキャンしたPDFをメール送信でも良いよ」的なことが書いてあったのだが、ライセンスを発行してもらうのに電子データでいいってことはないだろうと思って念のために聞いてみたのだった。答えは、、、
「いいよー。」orz
なんてユーザーフレンドリー。日本とは偉い違いだ。orz
そして、本日仕事から帰ってくると届いていた。
いや、まだライセンスが届いたわけではない。CASAのデータベース上で私の情報を識別するためのARNという個人番号が割り振られたという通知。つまり、免許更新は順調に進んでいるということか。。。すばらしい。さすがTasman brothers(そんな言葉はありません。最近誤字脱字とかいろいろ突っ込み入るので。念為。)
。。。
実は、ここ1ヶ月ほどかなり頭を使った命題があった。結論が出つつある。
今日、仕事の合間にこんな動画を見た。有名なスピーチだ。
実は、全部聞いたことはなかった。でも、今日これを聞いてその一字一句に共感した。大学を中退したこと(いちいち自社養成で説明しなければならなかったので大変だったなー)自分の好きなクラスを取ったこと(直感を信じて専門学校にいっていなかったら、英語のスーパー師匠に出会えてなかったんだよなー)とかいちいち共感してしまう。最後まで聞いて、「結論が出つつある」というのは間違いだと気づいた。
結論は、出つつあるのではない。本当は、出ているのだ。自分にとって何が一番重要なことなのか、本当は私はよく分かっている。
10年後から見たら明らかに整合性の取れている2点を今つなぐことの、なんと怖ろしいことよ。
2012.05.13 Sunday
先週は、天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉がよく使われていた。あのフレーズで、気象に興味のない人が空模様をイメージするのは難しいのではないだろうか。そこで、今回はこのフレーズに対する解説を自分なりに試みて見たい。
大気の状態が不安定というのは、簡単に言えば「雲が発達しやすい」状態を作ることだ。
例えば、巨大な風船につかまって上空10000メートルまでふわふわと登っていくとしよう。上空に寒気が入り込むと、風船が上昇していくにつれ辺りの気温が急激に下がり、ものすごく寒くなる。(真冬では、-40℃以下にもなる。)
うわぁもう町があんなに!
昇っていくうちに、自分の吐く息が白くなっていることに気が付く。周りが寒くなるにつれ、それまで見えなかった息の中の水分が目に見えるようになるためだ。もし風船ではなく、自分自身が空気で出来た透明人間だったとすると、もはや自分は透明ではいられない。全身が真っ白の雲人間になってしまうだろう。ここで、雲人間となった自分は、なにやら不思議なことに気が付く。
体が、どんどん軽くなっているのだ。
軽くなるにつれて、上にのぼる速さも速くなる。自分も気体なので、圧力が下がって少しずつ体温が下がっているのだが、周りの気温の変化はそれをはるかに上回る勢いで急激に寒くなっている。自分が相対的に暖かくなるので、何もしなくても浮力が生まれてどんどん上にのぼっていく。自分の中に含まれていた湿気が次々と姿を現し、自分の周りを包み、それが毛布のように自分を包む。自分が巨大化していくのが分かる。周りと自分の気温差は拡大するのでさらに加速、さらに巨大化、さらに加速、さらに、、、、
こんなかんじですか。
こうして出来るのが、積乱雲だ。(ほんとかよ)
さて、地上にいた透明人間がタコ入道にまで成長するかどうかは、今述べた「上空に行くにつれて周りが自分よりすごい勢いで冷たくなっていく」という状態(不安定「場」)がひとつ。だが、これはお膳立てに過ぎない。実際、天気予報で不安定不安定と言われている割に、何も起こらなかった、というところもあった。それは、地上にいた透明人間が、そもそもジャンプしたかどうかにかかっているのだ。
ジャンプしたひとたちの群れ。
透明人間は、地上で寝ていれば勝手に雲になるわけではない。山に登ったり、二人でぶつかり合った反動を利用したりして、まずは「ひとりでに上昇できるほど寒い」ところに行くまで、自分を持ち上げなければならない。まぁ、上に行くほど温度が高くなっていたり(逆転層)寒くなり具合が緩やかだったりすれば、上に行くに従い自分のほうが冷たくなってしまうので、いくらジャンプしてもまた下に落ちてしまう。でも、ジャンプしなかったら上空がいくら不安定でも、積乱雲は生まれない。
山を登りきったひとたち。
地表のでこぼこや、風の収束具合でジャンプするやつと寝たままのやつがころころ態度を変えるので、積乱雲の発達、それに伴う竜巻や雷雨は予測がつきにくいのである。我々にできることは「上空に寒気が」という天気予報を聞いたときに、用心することだけだ。空が暗くなってヒンヤリとした風が吹いてきたら、いけるところまでいって巨大化しきった雲人間が空から雨となって落ちてくる前兆だ。そういうときは、さっさと屋内に避難しましょう。
ねぇあなた大丈夫なのそんな白くなって。
大気の状態が不安定というのは、簡単に言えば「雲が発達しやすい」状態を作ることだ。
例えば、巨大な風船につかまって上空10000メートルまでふわふわと登っていくとしよう。上空に寒気が入り込むと、風船が上昇していくにつれ辺りの気温が急激に下がり、ものすごく寒くなる。(真冬では、-40℃以下にもなる。)
うわぁもう町があんなに!
昇っていくうちに、自分の吐く息が白くなっていることに気が付く。周りが寒くなるにつれ、それまで見えなかった息の中の水分が目に見えるようになるためだ。もし風船ではなく、自分自身が空気で出来た透明人間だったとすると、もはや自分は透明ではいられない。全身が真っ白の雲人間になってしまうだろう。ここで、雲人間となった自分は、なにやら不思議なことに気が付く。
体が、どんどん軽くなっているのだ。
軽くなるにつれて、上にのぼる速さも速くなる。自分も気体なので、圧力が下がって少しずつ体温が下がっているのだが、周りの気温の変化はそれをはるかに上回る勢いで急激に寒くなっている。自分が相対的に暖かくなるので、何もしなくても浮力が生まれてどんどん上にのぼっていく。自分の中に含まれていた湿気が次々と姿を現し、自分の周りを包み、それが毛布のように自分を包む。自分が巨大化していくのが分かる。周りと自分の気温差は拡大するのでさらに加速、さらに巨大化、さらに加速、さらに、、、、
こんなかんじですか。
こうして出来るのが、積乱雲だ。(ほんとかよ)
さて、地上にいた透明人間がタコ入道にまで成長するかどうかは、今述べた「上空に行くにつれて周りが自分よりすごい勢いで冷たくなっていく」という状態(不安定「場」)がひとつ。だが、これはお膳立てに過ぎない。実際、天気予報で不安定不安定と言われている割に、何も起こらなかった、というところもあった。それは、地上にいた透明人間が、そもそもジャンプしたかどうかにかかっているのだ。
ジャンプしたひとたちの群れ。
透明人間は、地上で寝ていれば勝手に雲になるわけではない。山に登ったり、二人でぶつかり合った反動を利用したりして、まずは「ひとりでに上昇できるほど寒い」ところに行くまで、自分を持ち上げなければならない。まぁ、上に行くほど温度が高くなっていたり(逆転層)寒くなり具合が緩やかだったりすれば、上に行くに従い自分のほうが冷たくなってしまうので、いくらジャンプしてもまた下に落ちてしまう。でも、ジャンプしなかったら上空がいくら不安定でも、積乱雲は生まれない。
山を登りきったひとたち。
地表のでこぼこや、風の収束具合でジャンプするやつと寝たままのやつがころころ態度を変えるので、積乱雲の発達、それに伴う竜巻や雷雨は予測がつきにくいのである。我々にできることは「上空に寒気が」という天気予報を聞いたときに、用心することだけだ。空が暗くなってヒンヤリとした風が吹いてきたら、いけるところまでいって巨大化しきった雲人間が空から雨となって落ちてくる前兆だ。そういうときは、さっさと屋内に避難しましょう。
ねぇあなた大丈夫なのそんな白くなって。
2012.05.07 Monday
オーストラリア大使館を出て、麻布十番駅から地下鉄で溜池山王へ。地上へ出ると、なにやら辺りが暗くなっている。ひんやりとした風が吹いてきて、だんだん強まってきているようだ。しばらく歩いていると、左手にローソンが見えてきて、その先に交差点が。そのローソンには、雑誌コーナーの代わりにカウンターが設置してあった。客が店内で、外を見ながら軽食がとれるようになっている珍しい店舗。。そこから交差点に向かって歩いているうちに、雨粒がひとつ、頬にあたった。
こいつはやばい。
「確か今日は上空は寒気移流、下層には南から湿った暖かい空気が入ってきており、不安定な場だったはず。このヒンヤリした風は積乱雲からのダウンバーストの端っこかもしれない。落下する雨粒に引きずられて下降した空気が、気化熱で冷やされて重くなりさらに落下速度を速めるあれだ。どうする、このまま航空局までいっちゃうか?だがこの感じだと歩いているうちに土砂降りになる可能性が高い。今日は5月の初めだ。積乱雲がマルチセルになるほど水蒸気の供給はないだろう、ということは単発のにわか雨だ、長くても30分とみた。」(はいはい。)
横断歩道の信号が青に変わった瞬間、一人だけ反対向きに歩き出して、急ぎさっきのローソンへ。戻っている途中もぽつぽつと雨足が強まってくる。店に入ってサンドイッチを買って外を見ると、、、
土砂降りだ。。。あぶねーあぶねー。
サラリーマンの人たちがあわてて駆け込んでくる。コンビニで昼飯を買って出ようとした人が、傘を持っていないらしく、温めた弁当を持って苦笑いしながら仲間と立ちすくんでいる。だが、皆しばらく外を見た後、意を決して出て行く。昼休みならカウンターで飯食ってから帰ればいいのに。。。
実際、サンドイッチを食べ終わる頃には雨はやんでいた。うーむ、持つべきものは、知識よのー。(うわーやなやつ)コンビニを出、交差点で警備をしている警察官に航空局はどこですか、と聞きながら行くのだが、彼らは警視庁の位置しか知らないらしい。よくみると、皆私と同じ位の年齢だ。もう社会機能の基盤をなす年齢になったんだな、と勝手に暗い気持ちになりながら向かった先は。
どーん。航空局は、国交省の中にあるんだ。ふーん、まぁ当たり前か。ライセンスの申請に来ましたと門のところで言うと、身分証明書を見せろという。ちょうどパスポートを持っていたので、それを渡そうとしたら受け取らずに、「名前の書いてあるところを開いて見せてください。」と。おぉ、プロだな。
入館証を首から提げ、エレベータで上まで行く。たしか運行安全ナンチャラ課だったな、とあたりを見回し、たどり着いた先は、だだっ広い雑然とした、まるでテレビドラマに出てくる出版会社の雑誌編集部みたいな雰囲気の部屋だ。近くの女の人にスミマセン、ライセンスの申請に来ました、というと、人を呼んできてくれた。
自家用の切替に来ましたというのだが何かおかしい、話がかみ合わない。海外でライセンスを取ってきたので、それを日本の自家用に変更したいんです、と改めて説明すると、
「あぁ、それは地方航空局、九段下にある東京航空局ですよ。」
。。。。
は?東京航空局って東京にある航空局じゃないの?!?
オーオーCbが発達しとるねー。んー。
確かに昔、封筒に九段下って書いた気がする。。。前日に適当にググって電車調べたら霞ヶ関が出てきたので何も考えずにそのまま、航空局の本部にきてしまいました、なにが持つべきものは知識だ、アホか私は。orz
幸い、九段下ならここからそんなに遠くない。意気消沈してたどり着いた先が、
クラーイ九段下の第二庁舎。以下、これから書き換えする人向けに、書き換えにあたっての参考情報を箇条書きで置いておきます。(「参考」情報です。確認は各自の責任においてなさってください。)
・記入ミスが怖くて持ち込んでも、ログブックの精査は結局コピーしたあとでやられる。
・そのため、ミスがあった場合は12階から地下一階のコピー機の間を何往復もすることに。(訂正印の捺印も必要。)
・特に見られるのは、出発時間と到着時間が飛行時間とあっているかどうか(例 20:36-21:38で1:02だが、たまに凡ミスで1:01などになっていないか)Nightの時間、PPLフライトテスト、単独飛行(機長時間ではなく)での270kmクロカン(NZの人はPPLクロカン3のCH-TU-AS-CHで274km強。)等。
・フライトテストは機長時間だが、サインは試験官でいいの?と聞いたら、腕組みして「ヴーん」などと唸りはじめたので「隣に自分のサイン併記しときます」とたたみかけ。笑
・NZの人は、自分のCAAのライセンス情報を外国の航空当局(この場合は日本)に送ってもらうためのCAA専用フォームに記入しなければならない。コンバージョンに関する新しいルールができたらしい。具体的にはform602のverification reportに、航空当局の宛先を記入するのだが、日本は白紙で提出。(NZ側のルールなので、日本以外の免許に換える場合にも同じ書類。実際、AUSのコンバージョンにもあり、こちらにはCASAの宛先を記入した(TAKAが調べた。)たまたまAUSのコンバージョンをやっていたので気づいたが、日本の航空局はこの点についてよくわかっていないようだ。パスポートのコピーを付けるんですよね、と聞いたら「付けたければ付けたらいいんじゃないですか。」だって。)
・おすすめ参考ページ: スカイテック 海外航空ライセンス切替 申請方法
なんとか、無事に受け取ってくれました。JCABのログブック見るたびに憂鬱になっていたが、これでやっと終わった。免許の発行には2−3ヶ月かかるらしい。長いな。。。
【番外編】せっかく航空局の本部に乗り込んだので、いろいろ質問してきました。
Q1. 私が持っているニュージーランドのCPLやMEIRをそのまま日本の事業用操縦士や計器飛行証明に書き換えできないのは、法律のどこにも書いていないんですけど、それはどこに書いてあるんですか??
A1.法律ではなく、通達という形で書いてあります。国際民間航空条約の締約国たる外国の政府が授与した航空業務等の技能に係る資格証書を有する者に対する取扱い(←pdfファイルで開きます。以下の通達も同じ。)に、自家用操縦士以外は試験の「一部を」免除すると書いてあり、具体的には、
国際民間航空条約の締約国たる外国の政府の授与した航空業務等の技能に係る資格証書を有する者のうち操縦士の資格証書を有する者に行う実地試験についてに、どの科目を免除するかが書いてあります。
免除されない科目については、先回の記事でも取り上げた航空法施行規則の別表第三にもともとやらなければいけない科目があるので、免除科目以外でこの表に載っているものについて、事業用操縦士や計器飛行証明、さらに言えば定期運送用操縦士も試験が必要です。
Q.2 海外のパイロットが日本の航空会社に雇われて飛ぶ場合は、免許の切替は同じようにするんですか。
A.2 その通りです。
Q.3 ということは、外国人でCPLで飛んでいたコーパイが事業用で日本で飛ぼうとしたら、わざわざバカ高い航法計算盤 AN-2型 フライトコンピューターを買って測風しながら、左の翼の真下ではなく、飛行機の中心の真下に発動点がくるように注意しながら野外飛行の試験をするってわけですか。
これは聞けなかったが(笑)ひとつ憶測をしてみよう。あるパイロット派遣会社のサイトでは、海外から派遣パイロットを受け入れる場合はCPLで募集せず、エアライン機長の資格であるATPLを持っていることを条件にしている。コーパイなのになぜ??
航空法施行規則第四十六条の二 には、「国土交通大臣は、別表第三に掲げる科目について実地試験を行う場合には、その全部又は一部を模擬飛行装置又は飛行訓練装置を使用して行うことができる。」とある。
上記A.1の通達によると、外国の免許をもっている者がやらなければいけない科目の中で、CPLとATPLの最大の違いは、野外飛行がないことだ。野外飛行には、実機試験が必要。つまり、ATPLならSIMと法規の学科合格だけで日本のATPLを授けることが、理論上可能。。。ということは、、、なんじゃないかなー。
(それにしてもコーパイ1年目で月収11,288ドルか。。。767の経験はなくていいらしい。)
上記で紹介した通達は、国交省の告示・通達データベースシステムで見られます。
こいつはやばい。
「確か今日は上空は寒気移流、下層には南から湿った暖かい空気が入ってきており、不安定な場だったはず。このヒンヤリした風は積乱雲からのダウンバーストの端っこかもしれない。落下する雨粒に引きずられて下降した空気が、気化熱で冷やされて重くなりさらに落下速度を速めるあれだ。どうする、このまま航空局までいっちゃうか?だがこの感じだと歩いているうちに土砂降りになる可能性が高い。今日は5月の初めだ。積乱雲がマルチセルになるほど水蒸気の供給はないだろう、ということは単発のにわか雨だ、長くても30分とみた。」(はいはい。)
横断歩道の信号が青に変わった瞬間、一人だけ反対向きに歩き出して、急ぎさっきのローソンへ。戻っている途中もぽつぽつと雨足が強まってくる。店に入ってサンドイッチを買って外を見ると、、、
土砂降りだ。。。あぶねーあぶねー。
サラリーマンの人たちがあわてて駆け込んでくる。コンビニで昼飯を買って出ようとした人が、傘を持っていないらしく、温めた弁当を持って苦笑いしながら仲間と立ちすくんでいる。だが、皆しばらく外を見た後、意を決して出て行く。昼休みならカウンターで飯食ってから帰ればいいのに。。。
実際、サンドイッチを食べ終わる頃には雨はやんでいた。うーむ、持つべきものは、知識よのー。(うわーやなやつ)コンビニを出、交差点で警備をしている警察官に航空局はどこですか、と聞きながら行くのだが、彼らは警視庁の位置しか知らないらしい。よくみると、皆私と同じ位の年齢だ。もう社会機能の基盤をなす年齢になったんだな、と勝手に暗い気持ちになりながら向かった先は。
どーん。航空局は、国交省の中にあるんだ。ふーん、まぁ当たり前か。ライセンスの申請に来ましたと門のところで言うと、身分証明書を見せろという。ちょうどパスポートを持っていたので、それを渡そうとしたら受け取らずに、「名前の書いてあるところを開いて見せてください。」と。おぉ、プロだな。
入館証を首から提げ、エレベータで上まで行く。たしか運行安全ナンチャラ課だったな、とあたりを見回し、たどり着いた先は、だだっ広い雑然とした、まるでテレビドラマに出てくる出版会社の雑誌編集部みたいな雰囲気の部屋だ。近くの女の人にスミマセン、ライセンスの申請に来ました、というと、人を呼んできてくれた。
自家用の切替に来ましたというのだが何かおかしい、話がかみ合わない。海外でライセンスを取ってきたので、それを日本の自家用に変更したいんです、と改めて説明すると、
「あぁ、それは地方航空局、九段下にある東京航空局ですよ。」
。。。。
は?東京航空局って東京にある航空局じゃないの?!?
オーオーCbが発達しとるねー。んー。
確かに昔、封筒に九段下って書いた気がする。。。前日に適当にググって電車調べたら霞ヶ関が出てきたので何も考えずにそのまま、航空局の本部にきてしまいました、なにが持つべきものは知識だ、アホか私は。orz
幸い、九段下ならここからそんなに遠くない。意気消沈してたどり着いた先が、
クラーイ九段下の第二庁舎。以下、これから書き換えする人向けに、書き換えにあたっての参考情報を箇条書きで置いておきます。(「参考」情報です。確認は各自の責任においてなさってください。)
・記入ミスが怖くて持ち込んでも、ログブックの精査は結局コピーしたあとでやられる。
・そのため、ミスがあった場合は12階から地下一階のコピー機の間を何往復もすることに。(訂正印の捺印も必要。)
・特に見られるのは、出発時間と到着時間が飛行時間とあっているかどうか(例 20:36-21:38で1:02だが、たまに凡ミスで1:01などになっていないか)Nightの時間、PPLフライトテスト、単独飛行(機長時間ではなく)での270kmクロカン(NZの人はPPLクロカン3のCH-TU-AS-CHで274km強。)等。
・フライトテストは機長時間だが、サインは試験官でいいの?と聞いたら、腕組みして「ヴーん」などと唸りはじめたので「隣に自分のサイン併記しときます」とたたみかけ。笑
・NZの人は、自分のCAAのライセンス情報を外国の航空当局(この場合は日本)に送ってもらうためのCAA専用フォームに記入しなければならない。コンバージョンに関する新しいルールができたらしい。具体的にはform602のverification reportに、航空当局の宛先を記入するのだが、日本は白紙で提出。(NZ側のルールなので、日本以外の免許に換える場合にも同じ書類。実際、AUSのコンバージョンにもあり、こちらにはCASAの宛先を記入した(TAKAが調べた。)たまたまAUSのコンバージョンをやっていたので気づいたが、日本の航空局はこの点についてよくわかっていないようだ。パスポートのコピーを付けるんですよね、と聞いたら「付けたければ付けたらいいんじゃないですか。」だって。)
・おすすめ参考ページ: スカイテック 海外航空ライセンス切替 申請方法
なんとか、無事に受け取ってくれました。JCABのログブック見るたびに憂鬱になっていたが、これでやっと終わった。免許の発行には2−3ヶ月かかるらしい。長いな。。。
【番外編】せっかく航空局の本部に乗り込んだので、いろいろ質問してきました。
Q1. 私が持っているニュージーランドのCPLやMEIRをそのまま日本の事業用操縦士や計器飛行証明に書き換えできないのは、法律のどこにも書いていないんですけど、それはどこに書いてあるんですか??
A1.法律ではなく、通達という形で書いてあります。国際民間航空条約の締約国たる外国の政府が授与した航空業務等の技能に係る資格証書を有する者に対する取扱い(←pdfファイルで開きます。以下の通達も同じ。)に、自家用操縦士以外は試験の「一部を」免除すると書いてあり、具体的には、
国際民間航空条約の締約国たる外国の政府の授与した航空業務等の技能に係る資格証書を有する者のうち操縦士の資格証書を有する者に行う実地試験についてに、どの科目を免除するかが書いてあります。
免除されない科目については、先回の記事でも取り上げた航空法施行規則の別表第三にもともとやらなければいけない科目があるので、免除科目以外でこの表に載っているものについて、事業用操縦士や計器飛行証明、さらに言えば定期運送用操縦士も試験が必要です。
Q.2 海外のパイロットが日本の航空会社に雇われて飛ぶ場合は、免許の切替は同じようにするんですか。
A.2 その通りです。
Q.3 ということは、外国人でCPLで飛んでいたコーパイが事業用で日本で飛ぼうとしたら、わざわざ
これは聞けなかったが(笑)ひとつ憶測をしてみよう。あるパイロット派遣会社のサイトでは、海外から派遣パイロットを受け入れる場合はCPLで募集せず、エアライン機長の資格であるATPLを持っていることを条件にしている。コーパイなのになぜ??
航空法施行規則第四十六条の二 には、「国土交通大臣は、別表第三に掲げる科目について実地試験を行う場合には、その全部又は一部を模擬飛行装置又は飛行訓練装置を使用して行うことができる。」とある。
上記A.1の通達によると、外国の免許をもっている者がやらなければいけない科目の中で、CPLとATPLの最大の違いは、野外飛行がないことだ。野外飛行には、実機試験が必要。つまり、ATPLならSIMと法規の学科合格だけで日本のATPLを授けることが、理論上可能。。。ということは、、、なんじゃないかなー。
(それにしてもコーパイ1年目で月収11,288ドルか。。。767の経験はなくていいらしい。)
上記で紹介した通達は、国交省の告示・通達データベースシステムで見られます。
2012.05.03 Thursday
GWの合間を利用して、ライセンスの切替にいってきた。(読書録は、中断します。笑)
訪れたのはここ!!
オーストラリア??
オーストラリアとニュージーランドには、Trans Tasman Mutual Recognition Agreement(TTMRA)という取り決めがあり、お金を払うだけで相当するライセンス、レーティングを両国間で切り替えることが出来る。私は、ニュージーランドのCPL、つまり事業用操縦士を持っているので、オーストラリアのCPLに160AUSドルで書き換えられる。また、多発の計器飛行証明(MEIR)というレーティングを持っているので、これも書き換えが可能だ。
申請に際し、ログブックのコピーなどを送らなければならないのだが、このコピーは「Certified copy」でなければならない。日本にはあまりなじみない習慣だが、ちゃんとした人(笑)にこのコピーは本物と間違いありません、とサインしてもらうこと。これにより、パスポートなどの重要書類の元本提出をしなくて良いということらしい。日本では、大使館に行くのが手っ取り早い。でも、1文書2600円(2012年5月現在)もする。高い!
でも、なんでオーストラリア??実は、オーストラリアでは航空従事者として最上位であるAir Transport Pilot Licence (ATPL:定期運送用操縦士)が、学科試験と飛行経験だけで手に入るというのだ。CAR5.172、 参考サイト
そんなうまい話があるものだろうか。
ATPLというのは、そもそもエアラインで機長として飛ぶための免許。副操縦士は、CPLでできる。CPLに切り替えたからって、今すぐATPLがとれるわけではもちろんない。でも、オーストラリアのATPLは、ほかの国と違って実地試験が要求されていない。(取ったあと、2年ごとのチェックは勿論ある。)
例えば日本では、航空法第29条に国土交通大臣が免許を申請してきたもの(つまりパイロット)が、必要な知識と能力があるかを判定するために、試験を行わなければならないとある。さらに2項でその試験は、学科試験と実地試験とするとしている。航空法施行規則第43条では、「法29条の試験は、別表第三に掲げる科目について行う。」とあり、その別表第三の「実地試験」の箇所には、各資格ごとにどんな課目について試験をしなければいけないかが明記されている。うーむ、まったくややこしい。。。
つまり、飛行機の免許を取る場合は、学科試験と実地試験を受けなければその資格を受けることはできないという、まぁ、当たり前の話だ。ニュージーランドでも、CAR Part 61.253 Eligibility requirementsの (a)(6)に、テストをせよ、と書いてある。どんな試験かは、こちらのHPを見てほしい。ところが、オーストラリアのATPLはどうだ。PICで250時間とかクロカンで200時間とか色々書いてあるが、テストをせよ、とはどこにも書いていない。つまり、学科試験を先に受けて合格しておき("Frozen" ATPLと俗に呼ばれている。)飛行時間の要件が法律に定められている時間になった時点で、ATPL。これは珍しい。(のか?)
世界中のほとんどのエアラインの募集には、ジェット機で何百時間という要件があるし、そもそもライセンスを持っていたって、社内のチェックに落ちたらそれまでだ。だから、棚ぼたみたいにライセンスだけ手に入れたパイロットがそのままエアラインの機長になれるかといったらそんなことはない。ということで、今回の記事は、とりあえず、NZとOZがTTMRAという制度でそれぞれの免許の交換が可能というあまり知られていない事実を書いてみただけだ。そんなこともあるんだね、と参考程度にみておいてほしい。
日本の免許への書き換えは、次回へ続く。
訪れたのはここ!!
オーストラリア??
オーストラリアとニュージーランドには、Trans Tasman Mutual Recognition Agreement(TTMRA)という取り決めがあり、お金を払うだけで相当するライセンス、レーティングを両国間で切り替えることが出来る。私は、ニュージーランドのCPL、つまり事業用操縦士を持っているので、オーストラリアのCPLに160AUSドルで書き換えられる。また、多発の計器飛行証明(MEIR)というレーティングを持っているので、これも書き換えが可能だ。
申請に際し、ログブックのコピーなどを送らなければならないのだが、このコピーは「Certified copy」でなければならない。日本にはあまりなじみない習慣だが、ちゃんとした人(笑)にこのコピーは本物と間違いありません、とサインしてもらうこと。これにより、パスポートなどの重要書類の元本提出をしなくて良いということらしい。日本では、大使館に行くのが手っ取り早い。でも、1文書2600円(2012年5月現在)もする。高い!
でも、なんでオーストラリア??実は、オーストラリアでは航空従事者として最上位であるAir Transport Pilot Licence (ATPL:定期運送用操縦士)が、学科試験と飛行経験だけで手に入るというのだ。CAR5.172、 参考サイト
そんなうまい話があるものだろうか。
ATPLというのは、そもそもエアラインで機長として飛ぶための免許。副操縦士は、CPLでできる。CPLに切り替えたからって、今すぐATPLがとれるわけではもちろんない。でも、オーストラリアのATPLは、ほかの国と違って実地試験が要求されていない。(取ったあと、2年ごとのチェックは勿論ある。)
例えば日本では、航空法第29条に国土交通大臣が免許を申請してきたもの(つまりパイロット)が、必要な知識と能力があるかを判定するために、試験を行わなければならないとある。さらに2項でその試験は、学科試験と実地試験とするとしている。航空法施行規則第43条では、「法29条の試験は、別表第三に掲げる科目について行う。」とあり、その別表第三の「実地試験」の箇所には、各資格ごとにどんな課目について試験をしなければいけないかが明記されている。うーむ、まったくややこしい。。。
つまり、飛行機の免許を取る場合は、学科試験と実地試験を受けなければその資格を受けることはできないという、まぁ、当たり前の話だ。ニュージーランドでも、CAR Part 61.253 Eligibility requirementsの (a)(6)に、テストをせよ、と書いてある。どんな試験かは、こちらのHPを見てほしい。ところが、オーストラリアのATPLはどうだ。PICで250時間とかクロカンで200時間とか色々書いてあるが、テストをせよ、とはどこにも書いていない。つまり、学科試験を先に受けて合格しておき("Frozen" ATPLと俗に呼ばれている。)飛行時間の要件が法律に定められている時間になった時点で、ATPL。これは珍しい。(のか?)
世界中のほとんどのエアラインの募集には、ジェット機で何百時間という要件があるし、そもそもライセンスを持っていたって、社内のチェックに落ちたらそれまでだ。だから、棚ぼたみたいにライセンスだけ手に入れたパイロットがそのままエアラインの機長になれるかといったらそんなことはない。ということで、今回の記事は、とりあえず、NZとOZがTTMRAという制度でそれぞれの免許の交換が可能というあまり知られていない事実を書いてみただけだ。そんなこともあるんだね、と参考程度にみておいてほしい。
日本の免許への書き換えは、次回へ続く。
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