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     2013.09.23 Monday
次の日がお客さんの到着日だった。どうしてもインストラクターが決まらなかったところに私が滑り込む形で飛べることになった。でも、契約書にはしっかりと「社長の同意なしには学生はアサインできません」って書かれている。その直近のお客さんは私の(師匠の)ゲストだから飛んでもいいけど、その後はまた別の話だからなって。うんまぁ何でもいいや、とりあえず制服を着るというのが重要なんだ。とりあえずいろいろと会話を交わしたが、あんまりよく覚えていない。完全に有頂天になっていたようだ。

一度YESをもらったら、話は驚くほど早く進んだ。まず、B-catから導入オリエンテーションを受けて、校長にスーパーバイズのステッカーをもらう。C-catは最初の6ヶ月と最初の100時間の教習が終わるまで、上級教官の監督下にあることになっている。6ヶ月経てば、あるいは2ヶ月で100時間教えればいいわけではない。両方とも満たす必要がある。スーパーバイズが終わらないと制度上「半人前」と見られてしまうため、最初の仕事を取る意味はこの点でも重要なのだ。

B-catのクリス[1]がうろうろしていたのでオリエンテーションをしてくれといったらクラブルームに連れて行ってパワーポイントをさくーっと流す。その後、インストラクタールームに移動、書類を持ってくるという。後に着いていく。いつもの癖でインストラクタールームの前で立ち止まると

「もう遠慮する必要は無いんだ、早く入れ。」

うーん、なんか待遇が違う。一通り中を見た後、そうだ、といいながら振り返り、タイがまだだったな、と言った。どこかの部屋に消えて、紺色のネクタイとエプレット(肩章)を持ってきた。クリスがふざけてお辞儀する。「Welcome on board」だそうだ。

カメラロール-210

こいつらは金では買えない。ついにやったぜ。



1. 昔この記事で「はらだ」といっていたのはこのクリスです。
     2013.09.02 Monday
もう永遠とこのループを繰り返すしかないのかもしれない。

どんなにがんばってもダメなものはダメなのかもしれない。最近は上手く行っている人への嫉妬心もコントロールできなくなってきた。もののけ姫に出てきたタタリ神のような黒いドロドロが自分の身体の中から出てきているようだ。それらは映画と同じように、払っても払っても自分の中からにじみ出てきてすべてを諦めて突っ走りたくなる。

休日に外へ出ると、上空を小型機が軽快な音をたてて通過していく。多分、City上空のトライアルフライトかNew Brightonでの初頭訓練だろう。この国ではエアラインまで行くのにたくさん飛行時間を貯めなければいけないというのに、そのスタートラインにすら立っていない。周りは皆、どんどん前に進んでいる。好きだった飛行機の音も、今は忌々しいだけだ。


それでも月曜日はやってくる
いつもどおり社長の邪魔と話をしに行くと、やっぱり忙しいから後でという。「お忙しいでしょうから、正式にアポイントメントをとりたいんですがいかがすかね」というと、「That's a good idea.」といってパソコンになにやら打ち込んだ。正式なアポか。なんか今までに無い展開だけど、最初からこうすれば良かったのかもしれない。アポは2日後に取れた。また希望の芽が性懲りもなく出てくるが、どうせ裏切られるんだろう。あまり期待しないようにしておこう。

その日は、別件で急ぎの仕事が入っていた。日本からくるお客さんの為に、フライトを予約しなければならなかったのだ。この方は師匠の友人で、日本で自家用操縦士として飛ばれている[1]が、技量維持と日本ではできない不時着訓練をやりたいということで定期的にNZにやってきて訓練をされている。実は、このブログを昔から読んでくださっていて今回はありがたいことに、お連れ様共々教官になった私と一緒に飛びたいと申し出てくれたのだった。

師匠からお世話を依頼され引き受けたは良いものの、なにしろまだ制服を着ていない。フライトは教官が決まらないとブッキングをいれてくれないので、仕方なく今居る日本人教官の名前で入れることにした。約10日分のフライトを何とかねじ込んだが、教官は通常の学校の仕事(アカデミーのオペレーション)があってそこまで暇ではない。到着当日とその次の日のブッキングは、どうしても教官が足りず、Kiwiの教官をアサインしてもらうしか無かった。自分をわざわざ指名してくれているお客さんの期待にも応えられず、他人の名前でブッキングを入れるのは悔しかった。それでもはるばる南半球までやってきたお客さんをがっかりさせるわけにはいかないので[2]面倒くさそうにブッキング内容が書かれた紙切れを受け取るスケジューラーに何回も念押しして落とさないようにチェックしておいた。とりあえず、ブッキングに穴はなくなった。

倍返しだ!
2日後、時間通りにガラス張りのオフィスのドアをノックすると、いつもはパソコンから目をそらさずに返事もしない[3]社長が手招きをした。目はパソコンに向いたままだったけど。先日出した日本からもっと学生を呼ぶために必要な訓練の改革案について、話をすることになった。

企画書について、いろいろと細かい突っ込みを受ける。

JCABとは何だ?

学科をセパレートして日本でやると書いてあるがそれは誰が、どの教科をやるんだ?

その場合、お金は誰がどこに払うんだ?

・・・

答弁するごとに話がこんがらがっていく感じ。私の答えに不満足らしい。できるだけ簡潔に答えているのだが、「そうじゃなくて、だからこれは一体どういう意味なんだ?」とイラついた態度を隠そうともしない。こちらの英語が詰まると我慢できずに質問を言い換えてかぶせてくるので、答えが完成しない。こちらから本当に話を引き出したいというよりも「お前がだめで、おれがすごい」という関係性をただ作りたいだけなのかもしれないという気さえしてきた。本当に嫌な上司だ。

一通り尋問が終わって、話すことがなくなってくる。そういえば、と言って引き出しから何か書類を出した。封筒に入っている書類だ。見覚えがあると思ったら私のCVだった。驚いたことに、封も開けていない。私の履歴書を見たのはこれが初めてだったということだ。BGTに合格する前のものはおそらく封をされたままどこかに埋もれているのだろう。私が半沢直樹だったら10倍返しじゃ済まないぞアンタ。Alrightを繰り返して話を結ぼうとしている。何事かごちゃごちゃと言った後、最後に「このプランはつめるところがたくさんあるから、この仕事のポジションを今与える訳にはいかない。」という結論を出してきた。





ちょっとまて。




私は、地上の営業職のポジションが欲しいわけじゃない、これは今新しくインストラクターを雇う理由が無いなかで、それでも今すぐ雇ってもらうためのいわば手土産だ。普通のインストラクターにはできないことができるから、特別に今、「インストラクター」として雇ってもらえないか、という提案をしているんだ。何をカンチガイしているんだこのおっさんは。

上記の内容をもう少し丁寧にして伝えた。返事は「あぁそうか」だった。JayとMasaにも話をしなきゃな、ってまたそれか!!!

朝がそれだから昼間は何にも力が入らなかった。その日の夕方、Jayに話をした?とダメもとで聞いてみたら、やっぱりダメだった。理由は、「Jayがオフィスに居なかったんだ。会うなら明日だな。」だそうだ。ダメだこりゃ。師匠にダメでしたと英語でTextを打ったらなぜか「受かった気でいれば良いよ。」と楽観的なご意見。もう皆に受かったと吹聴して既成事実にしてしまえということか?それはそれで滑稽だが、確かにもうそれくらいしか道はないかもしれない。

翌日、それでも学校にいく。日本人が集まる部屋に用事があった。部屋に行くには社長室の前を通る必要がある。ガラス張りの向こう側には社長。目も合わさない。部屋に入って荷物を置いた。座席について一息ついた時、ドアからでかい身体の社長が入ってきてこっちに来いと言われた。そのまま社長のオフィスへ。Have a seatと言われたあと、おもむろに手を差し出された。


「Well, first, congratulations. Welcome onboard.」


インストラクターとして採用された瞬間だった。


つづく



1. 自家用パイロットというだけでなく、サルサも踊ってスキーも滑ってギターも弾けて水上スキーもヘリも乗るすごい人です。ちなみに初飛行は私が1歳のときだそうです。
2. この国では「お客さんをがっかりさせてはいけない」というコンセプトの優先順位が
「サービスの供給側たる自分の都合」より低いことがコンセンサスになっている。担当者がいないからしょうがない、ですべてがまかり通る。サービスを受けるときは非常にストレスを感じるが、皆自分がサービスの提供者になった時に同じことをするからあまり文句は言わない。だからこそ、お客さんにいいサービスを!と言っても響かないのだ。
3. これ、自分が忙しいときはときどきやってしまうけど、これからは絶対にやめようと思う。ものすごく失礼だ。
     2013.09.01 Sunday
Jayと1対1で話をした翌日、日本人チームリーダーと一緒に彼の部屋へ。

今回は時間をとってあったので、「またきたか!」という表情はされなかった。世間話のあと、チームリーダーから手紙を渡していろいろと説明。私がいかに日本人チームに対して、または学校全体に対して貢献できるかということを話してもらった。

Jayはその場のノリではすごく肯定的なことをいう。HPの刷新を考えているとか、訓練期間の無駄を省いて全体の訓練時間を短くしようとかいろいろ提案すると、とりあえず「それはすごくいい提案だね!是非やってくれ!」などとニコニコ笑いながら調子のいいことをいう。最初はこの肯定的な態度を採用に対するものだと勘違いして素直に喜んでいたものだが、どうやらそうではなさそうだ。これは、とりあえず今のこの会話を無難なものにしてやり過ごそうとする上っ面の仮面にすぎない。日本人は本音と建前が違うなどと言われるが、よく言うぜとおもう。否定的に思っていることを隠して肯定的な対応をするなんていうのは、日本人に限らずどこの世界でもある。否定的な結論を直接自分の口から言い渡せば、それは責任問題になる。にこやかに対応し、決して結論を出さないようにする。相手が諦めるのを待てば、諦めた側の責任になる。本当のことを言わないということは、つまり、相手をナメているのだ。そのうち諦めるだろうと思っているのだろう。まして相手は空気を読むことにかけては敏感な日本人なのだ。

ところが、最近オフィスに押し掛けてくるこの日本人は、どういうわけか空気を読むということをしない。

毎日毎日ちょっとずつ手を変え品を変え断りづらい話題で部屋に入ってきて、最後には必ず採用の話になる。昨日は大量の手紙だったし、今日はついに日本人チームリーダーを連れてきやがった。日本人は恥ずかしがりやでコミュニケーションが苦手なんじゃなかったっけ、このままではこの日本人を雇わない理由がなくなっていしまう。。。

と思っていたかどうかはわからないが、話題がなくなってくるに連れて何らかの結論を出さなきゃ、という雰囲気になってきた。チームリーダーもがっつり推し込んでくれた。脱線をいくつか繰り返したが、ついに観念したようだ。

「Congratulations, you did the right thing.」

そういって手を差し出してきた。こちらの世界では握手をするのは、契約が成立したときだ。やったー!とよろこんだのもつかの間、

「でもフライトはしばらくだめだからな」

制服もまだあげられないという。そういっていつ仕事がもらえるか具体的な日付は教えてもらえなかった。今回話をした私の役割について、ジョブリストが欲しいとのこと。どんな内容の仕事があるのか、もっと細かく記したものをもってこいという。それがないと社長と話ができないと。

やる気が萎える。ついにいったかと思ってもやはりいつ雇われるのか判らない。こんなことを数ヶ月繰り返してきた。このままうやむやにされる可能性もある。制服を着るまでは、全く安心できない。明らかに時間稼ぎの書類要求。。。いい加減諦める。。。


はずがなーい!時間稼ぎのつもりだったのかもしれないが、残念でした、すぐにジョブリストを書いて翌日持っていく。まったく時間を稼げてない。笑 これで文句ないだろう、と書類を渡す。はいはい、ありがとうねと紙を机にぱさっと置くJay。。。なんだよ、いい加減答えを出してくれよ。


こっちにも狸が
Jayに話をしにいったあと、社長の部屋へ。お決まりの「また来たか」というあきれ顔に挨拶をかわした後、「今日は何だ、何の話だ」と結論を急がされた。いつもはたわいない話をしてからだったのだがいい加減こちらのやり方が見えてきたのだろう、単刀直入に本題に入る。おれの雇用の話だ、と言ってから昨日今日あったことを説明した。具体的には、JayとMasaが良いといったから早く話をして結論を出してほしいと迫った。返答は相変わらず、

「彼らが私を説得しなければ行けない。現時点では結論は出せないし、何も言えない。」

そんな風に決断を先送りばかりしていてよくCEOが務まるもんだね、とのどまで出掛かったが、なんとか押さえて部屋を出る。こんなにいろいろと考えて、どうしたら学校に貢献できるか熱意を見せているインストラクターなんてどこにも居ないはずだ、パートタイムの、しかも飛んだときに金を払えば良いだけのC-catを雇うということがなぜそんなに難しいんだ。その一方でフルタイムのB-catを残業させて人件費がかかっている。そんな単純な算数ができないで何が元アカウンタントだよ、おとといきやがれってんだばーろー。

これが、この記事を書いた日だったというわけ。意気消沈。

つづく



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