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一定期間更新がないため広告を表示しています

     2014.12.09 Tuesday
こういう仕事をしていてブログが長期間止まると、ひょっとしたら、と要らぬ心配をかけてしまうかもしれないが、生きています。

いや、イマイチ気乗りしないだけで、書きたいことはちらほら有るのだが、それを一つの文章に仕立て上げるほどの熱量が最近あまりない。なにか文章を一つ作るにはそういう「熱い」ものが必要なのだ。例えば上手く行かないことがあると、それを乗り越えようとして躍起になる。そのときのストレスがこのブログの推進力だった。書く気が起きないということは、悩みがないということになる。それはいいことのようにも見えるが、最近のこの落ち着き具合は少し良くないかもしれない。

ということで最近の自分の状況を整理してみる。

現在、私は総飛行時間で約750時間ぐらい。ほとんどシングルピストンエンジン機で、自家用操縦士を育てる課程の全体が一応見えていつつも、その引き出しを増やしている最中だ。最初は右も左も分からず学生が全員自分と同等か、あるいはひょっとしたら自分より上手いんじゃないか、なんて思うこともあったけれど、最近はだんだん学生それぞれの個性が分かるようになってきた。飛行機の操縦は、シングルのピストン機ならほぼ思い通りに飛ばせるようになった。リアルエマージェンシーも一度体験し、笑いながら無事におろすことが出来た。クロスカントリーは自家用までで、山岳飛行訓練の資格も持つ。そして、ここが最も重要なことだが、最近なんと、月給制になった。



うん、日本ではごく普通のことですね。



それまでは飛んだ分しかもらえない歩合制で、日雇いの港湾労働者とほとんど変わらない待遇だった。時給制、とも言えるが、一日4時間も飛んだらへとへとになる。地上のブリーフィングは時給に含まれているから、本当に空中にいた時間分しかもらえないので、日本で言ういわゆる「時給制」とは最終的な取り分に大分差があったはずだ。契約書には「仕事があるときだけ呼ぶから、普段はいなくてもいいからね」というふうに書かれていた。

それが「一日8時間ちゃんと働いてください。」になった。これからは家を借りるときに「フルタイム」という欄にチェックをつけて、堂々と借りることができるようになったのだ。今までは人の好意と運によってなんとか安いところに転がり込んでいた。いや、よかったよかった。普段、公衆便所のぬれている床を拭いたりとか、スーパーで異様に作業が遅いレジに当たったりとか、駐車場でなかなか入る場所が見つからないとかそういうときに「よっしゃ、また運が貯まったぞ」って思っていたのが良かったのかもしれない。普段つまらないところで積極的に損をするようにしていた甲斐があるってもんだ。



さて、「最近は学生の個性が見えるようになった」といった。端的に言えば「これやって」と言ってすぐにできる学生と、時間がかかる学生との二通りである。自身はと言えば、昔の自分のフライトを思い出してみると間違いなく後者だったし、それどころか、ごく最近までの様子を見ても、私の落ちこぼれ度合いは筋金入りだと思う。

そんな私でも、「シングルピストンならほぼ思い通り飛ばせるようになった」などとブチ上げるほどになっている。やはり経験というのはすごい。逆に言えば、小型機の操縦なんて時間をかければ誰にだって出来る。(キャロルの時間モデル)でも、時間をかけてできるようになる、というのは実はプロパイロットの世界では通用しないこともあって、訓練費が高額なため、ほとんどの場合は「一定期間内に」結果を出すことを求められる。まぁプロだったら納期と品質を守るのは当然だということだ。では、私は「プロの」インストラクターだから、私のミッションは以下のように表現できる。


一定期間内に結果を出す能力を、一定期間内に全ての学生に付与すること。


私は元々、下手で落ちこぼれで深く考えすぎるスランプ癖のある非常に厄介な底辺学生だったのだから、それを逆手に取ってプログレスが出なくて苦しんでいる学生に適切な対処ができるだろう、と思うかもしれないが、教えるというのはそう単純なことではない。C-catの時の記事を見返していてドキッとしたのは、当時違和感を持っていた教官と、端から見たら同じような教え方になっているんじゃないかということ。上空でとやかくいってもほとんど学生の頭には入らないのに、べらべらとしゃべったり、imposeしすぎてポイントがぼやけたり。ちょっと油断するとすぐ「わかりづらい」インストラクターになってしまう。

自分自身が学生なら、話は簡単だった。できないことに関してガンガン新しいアイディアを出しながら手当たり次第にそれらを試し、しっくりくるものを見繕ってとにかく反復をすればいい。でも、こういう「どうせバカなんだから根性で脳みそをキャリブレしましょう、出来るまで。」みたいなアプローチは「しんどい」ので、同じことを学生に「自発的に」やってもらうのはとても難しい。人にはそれぞれ合うやり方がある。自分が上手くなる方が全然簡単だ。などを読むと、教え方そのものの技術を勉強する必要を感じる。

いやぁ、この仕事は本当に難しくて楽しい。待遇は悪くてもやりがいの有るすばらしい仕事だ。皮肉ではなく、本心からそう思う。

いや、本当に皮肉ではなく、ね。



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プロフィール
2010パイロット訓練
2013インストラクター
2018エアライン

命を削って、ニュージーランドでキャリアを掴む
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